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第三章 花咲くロベリア革命

第七十七話 ロベリアへの潜入

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 零夜達は異世界グラディアスにあるロベリアの近くの街に転移し、目の前の光景に視線を移す。そう。そこはロベリアの街である。
 外観は西洋で、まさに中世フランス其の物と言える。この光景に誰もが心を奪われていた。

「あれがロベリア……凄い景色ね……」

 倫子達はロベリアの景色に心打たれていて、見た事のない景色にうっとりしていた。しかし、零夜は真剣な表情をしながら、この国の事を気にかけていた。
 
「ロベリアがアークスレイヤーと絡んでいるとなると、住民達も奴等によって染まり果てているだろうな」

 零夜の真剣な推測に、アミリスも同様に頷きながら同意する。アークスレイヤーが革命軍と組んでいるとなると、放ってはおけないのも無理はない。さらに今回は国を相手に戦う事になるので、一筋縄ではいかないのだ。
 
「そうね。革命の行き過ぎは国の崩壊に繋がるしね」

 マリーがロベリアの状況を見ながら真剣な表情をする中、杏は気になる事を彼女に質問してきた。

「ロベリアにあるアークスレイヤーのアジトは何処にあるんだ?」
「私にも分からないわ。ただ、アークスレイヤーの旗があれば良いけど……」

 杏からの質問にマリーは首を横に振りながら否定する。ロベリアの現状は知っても、流石にアークスレイヤーの基地の位置は流石に分からないのだ。アークスレイヤーの旗があれば助かると思うが、ロベリア国内にその旗は流石にないのだ。
 
「それなら私の千里眼で見てみるわ」

 アミリスは自らのスキルである千里眼を発動させ、アークスレイヤーのアジトを探し始める。するとアジトの位置が分かり、全員に視線を移す。

「アジトはロベリアから離れた場所にあるわ。そこを抜けてから突撃しないと駄目みたい」

 アミリスの真剣な表情での説明に、零夜達は危機感を感じる。民衆達にマリーの事がバレたら一大事であり、ここは彼女を変装させて行くしかないだろう。

「ともかく、ここは変装させるしかないな」

 零夜はマリーに帽子を被せ、サングラスもつけておく。まあ、ここまですれば怪しまれるのも無理ないが、突破するにはこうするしかない。

「私の為にそこまでしてくれてごめんね」
「気にしないの。私達はもう仲間でしょ?」
「そうですよ。皆で力を合わせれば乗り越えられます!」

 マリーは皆に対して申し訳なさで謝罪するが、皆は気にせず笑顔を見せる。さらにキララとジェニーからの励ましにマリーは笑顔で頷き、すぐに前を向く。

「そうね。皆がいるから大丈夫!」
「そうだな。すぐに行くぞ!」

 マリーの決意とノースマンの合図で全員が出発し、彼女の周りを固めながらロベリアへと入って行った。



「それにしても、凄い人が多いみたい」
「ええ。ロベリアはグラディアスの最強国の一つですからね」

 ロベリアの中に入った零夜達は、集団で固まりながらザッザッと兵隊の様に歩いていた。ロベリアの街並みをキョロキョロ辺りを見回す倫子に、ミミが補足で冷静に説明をしている。

「ここでは何が有名かしら?」
「レモネードやクレープが有名みたいよ」
「レモネードか……炭酸飲めないんだよな……」

 ヒカリはロベリアの有名名物の質問にマリーが優しく応えるが、零夜は頬を掻きながら嫌な表情をする。何故なら彼は炭酸が苦手なので、あまり飲めない。だからコーラやビール、スパークリング系は飲まないのだ。

「零夜、好き嫌いはよくですよ。何でも食べないと!」
「そ、そうだな……」

 ジャンヌの真剣な意見に零夜が苦笑いする中、一人の男性が彼等に近付いてきた。年齢からすれば三十代で、筋肉質の大男だ。

「なあ、アンタ達は他所から来たのか?」
「ああ。アークスレイヤーが関わっていると聞いたが……」
「それならあれを見な。アンタ等の手配書が壁に貼り付けられているぞ」

 零夜からの説明に男性が指差す方を見ると、彼等の手配書が壁に貼られていた。それに彼等は驚きを隠せないのも無理はない。

「まさか手配書が貼られるとは……」
「これって逃げないとまずいんじゃ……」

 零夜達がどうすればいいのか冷や汗を流しながら考える中、男性は彼の肩を優しく叩いてきた。その様子だと捕まえる確率は高いと感じてしまうので、零夜達は思わず逃げようとしてしまう。

「大丈夫だ。この辺りではアークスレイヤーに反発している者達が住んでいる。それに……ここはレジスタンスの拠点でもあるからな」

 男性からの優しい説明に零夜達は思わず安堵するが、レジスタンスという言葉に疑問を浮かべていた。ロベリアに革命軍があるのは知っているが、レジスタンスもあるのは聞いた事がない。
 
「レジスタンス?」
「そうだ。その名もリベリオン。因みに俺は幹部のアランだ!」

 疑問に感じるエヴァ達に、アランという男は胸を叩きながら自己紹介をする。レジスタンスは革命軍に対抗する組織であり、彼もその一人なのだ。

「この街がレジスタンスの本拠地なのですね。捕まるかと思いました……」
「私もつい暴走しそうと……」

 ジャンヌとマーリンは安堵のため息をつき、他の皆も同じ行動をする。もし、革命軍だったら戦う事は避けられなかったのだろう。

「ここで話をすると革命軍に見つかる。一時俺達のアジトで話をしよう。付いてきな」

 アランは零夜達をアジトに案内する為、その場から歩きながら移動し始めた。



 零夜達はアランの案内で、レジスタンスの本拠地に辿り着く。そこは普通の建物だが、看板も建てているので丸わかりと言えるだろう。

「丸わかりじゃないですか」

 零夜は唖然としながらアランに声をかけ、それに倫子達も頷く。
 
「そうだろな。俺達はこの革命を終わらせる為にここを本拠地としている。人権宣言は賛成で国民達による政治は賛成するが、いくら何でも人を殺し過ぎるのはどうかと思う。あのロベスピエールが首謀者じゃな……」

 アランはため息を付きながら悩んでいて、彼の話にミミ達は共感する。しかし、零夜はロベスピエールという言葉が気にかかり、彼について疑問に感じていた。

(ロベスピエールと言ったら、フランス革命の中心的人物で最後はクーデターで処刑された……何故この世界に?)

 零夜は真剣な表情でロベスピエールについて考えていた。ロベスピエールはテルミドールのクーデターで処刑されてしまい、それによってフランス革命は終わりを告げられた。しかし、彼がこの世界に転生したとなれば、何者かの陰謀による確率が高いだろう。
 零夜の様子を見たマリーは、心配の表情で彼の顔を覗き込む。

「どうしたの?真剣な顔をしたけど」
「いや、そこまでは……」

 マリーの心配そうな表情を見た零夜は、照れ臭そうに頬を掻きながら否定していた。その様子を見た彼女は優しい笑顔をしながら、彼の頭をよしよしと優しく撫でる。

「ほら、すぐに中に入りましょう」
「ああ……」

 零夜は前を向いて決意したと同時に、アラン達と共にレジスタンスの建物の中に入り始めた。
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