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第二章 隠されたホムラの陰謀

第五十話 アルカス襲撃作戦

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 アルカスの本拠地前に着いた零夜達は、敵がいないか確認しつつ、潜入しようとしていた。中にいる敵の数については七百人ぐらいはいるが、外に三百人いる為、千人以上はいるだろう。

「人数は多いから油断ならない。ここは奴等が出て来るのを待つしかないだろう」
「さて、ここからどうするか……ん?」

 零夜が真剣な表情でどう潜入するか考えたその時、ヒカリがシャボン玉を用意して吹き始める。シャボン玉はそのまま本拠地まで向かっていて、この様子に零夜は唖然とした後にヒカリの方に視線を移す。

「ヒカリさん!何やっているんですか!シャボン玉で遊んでいる場合じゃ……」

 零夜がヒカリに対して注意しながら叫んだ直後、シャボン玉は本拠地に直撃し、盛大な大爆発を起こしてしまった。シャボン玉なのにいきなりこの様な爆発を起こすのは前代未聞であり、誰だって思わずポカンと口を開けてしまうのも無理ないだろう。

「シャボン玉が爆発した……どういう事だ?」

 零夜がポカンとしながら唖然とする中、トラマツがすまなさそうな表情で手を挙げる。どうやら彼とヒカリの間で何かとんでもない事をしたに違いない。

「ごめん……実はヒカリから頼まれていたんだ。戦いを有利にする為に、爆発するシャボン玉を作ってくれと……」
「なんじゃそりゃー!」

 トラマツが観念しながら説明し、その内容に零夜は盛大にずっこけてしまう。あの様な馬鹿げた発明をヒカリが頼んでいたのは、彼にとっても想定外すぎるとしか言えないだろう。

「それだけじゃないわ!私も新たな技をお披露目しないと!」

 更に倫子も自身の新たな武器である大きな魔法の筆を、自身の手元に召喚する。それと同時に施設から出てきた兵士達に視線を移し、そのまま彼等に立ち向かう。

「マジカルペイント!」

 倫子は兵士達を筆で次々とペイント塗れにしたと同時に、間合いを取って指を鳴らす。すると、ペイントが突然爆発を起こし、兵士達に爆発ダメージを与える。

「「「うわっ!」」」

 爆発にやられた兵士達は前のめりに倒れてしまい、これを見た他の兵士達はゾッと後ずさってしまう。

「凄い……」

 この光景にヒミカは思わずポカンとするしかなく、零夜はため息をつくしかなかった。こんな展開で兵士達があっという間にやられてしまうのは、予想外すぎるのも無理ない。

「私も負けないわ!ここはパンパカ体操で……」

 ヒカリが自らの固定スキルを発動しようとするが、零夜が彼女に接近して抱き上げながら運び始める。その様子だとあの地獄を二度と味わいたくない気持ちがとても強く、それを阻止する為に彼女に顔を近づけ始める。

「戦闘中にそんなスキルを使うのは止めてください。今の状況を分かっているのですか?」
「嫌だ!したいの!」

 零夜からの忠告にヒカリは逆ギレで反論し、そのまま彼の後ろに回り込んでガブリと頭に噛み付いた。自身の職業を使うなと言われたら、逆切れしながら怒ってしまうのも無理ないだろう。

「あ゙あ゙ーっ!ごめんなさい、俺が悪かったですー!」

 零夜の悲鳴が辺り一面に響き渡ってしまい、そのまま彼は噛みつかれたダメージでバタンと前のめりに倒れてしまった。

「お、おい!あの女やばいぞ!」
「殺されてしまう……」

 兵士達がヒカリの行動にガタガタと怯える中、ヒカリは笑顔で両手を上に挙げて体操する事を宣言する。

「皆ー!パンパカ体操、始まるよー!」

 ヒカリの笑顔の合図と同時に、パンパカ体操の音楽が何処からか響き渡り始める。それと同時に兵士達は彼女の姿にドッキンと心が揺れ動いたその時、彼等は一斉に音楽に合わせて踊り出してしまった。
 
「私達も踊りましょう!」
「この踊りは面白いからね!」
「私も踊りたくなります!」
「私も!」

 更にルリカ達も後に続いて自ら踊り出してしまい、踊ってないのは零夜、ヒューゴ、ガンテツ、トラマツ、ノースマン、アカヤマ、ヒミカ、味方の兵士達だけだった。

「こんな踊りはもう勘弁してくれ……悪夢としか言いようがない……」
「苦労しているみたいだな……」

 零夜はズーンと退屈座りで落ち込んでしまい、ヒミカは苦笑いしながらよしよしと彼の頭を撫でていた。

「けど、今がチャンスじゃないか?前と同じ展開になると思うが……」
「そうかもな……ヒカリさんが作ってくれたチャンスは無駄にせず、覚悟を決めて立ち向かうのみだ!行くぞ!」
「「おう!」」

 零夜、ヒューゴ、ガンテツは素早く行動を開始し、踊りまくる兵士達を次々と倒しまくる。踊りながら操られている兵士達は成すすべもなく倒れてしまい、次々と倒れている者もいれば、塵となって消滅してしまう者もいた。

「おお!数は減っちょっぞ!そろそろ奴等が出て来っとじゃなかか?」
「言われてみればそうかもな。これだけ倒せば無理もないだろう!」

 ガンテツの推測に零夜も頷いたその時、施設からベルカマスとルシアが慌てながら出てきた。彼等は目の前の光景に唖然としてしまうのも無理なく、ワナワナと震えるのも無理なかった。

「えーい!何をしている!馬鹿な踊りをしている暇があったら戦え!」

 ベルカマスの叫びに兵士達が慌てながら彼等に視線を移すが、音楽が流れ続けているので戦う事ができない状態となっていた。

「戦いたくても戦えません!変な音楽が終わるまでは!」
「しかも、数は減らされて大変な事になっています!残りは我々二人となりました!」
「そうかそうか……ならば我々の手でその元凶を始末してやる!覚悟しろ!」

 ルシアがヒカリに向けて魔術を放とうとしたその時、零夜が駆け出して彼に接近しながら襲い掛かってきた。

「させるか!」
「ガハッ!」

 零夜の強烈なアッパーがルシアの顎を捉え、彼はそのまま勢いよく殴り飛ばされた。ルシアはそのまま宙を舞い、地面に背中を強く打ち付けてしまった。

「こ、こいつが……思う存分やってくれるな……」

 ルシアが痛みを堪えながらも起き上がる中、ベルカマスは零夜の姿を見て真剣な表情で剣を構える。その目はどうやら獲物を狙う目で、完全に零夜を倒そうとしていた。

「貴様がアルフレッド様を殴り飛ばした忍者か……」
「俺の事を知っているのか。アルフレッドの依頼なら……お断りだ!」
「ならば無理やり捕まえるのみだ!」

 ベルカマスが剣を構えて零夜に襲い掛かるが、彼は跳躍したと同時に刃の上に着地した。その光景にベルカマスは驚きを隠せずに戸惑ってしまう中、零夜は再びジャンプして前方宙回転をした。

「そこだ!」
「ぐはらっ!」

 零夜のライダーキックがベルカマスの顔面に直撃し、たった一撃で彼は失神して倒れてしまった。彼は騎士団長でも零夜達の敵ではないレベルなので、簡単に倒れてしまうのも無理なかった。

「なんだ。無茶苦茶弱いじゃん」
「私がいる事を忘れるな!」
「おっと!」

 零夜が手を叩いた直後、ルシアが魔術を発動させて彼を拘束しようと黒い鞭を飛ばす。零夜はすぐにその攻撃を次々と回避したその時だった。

「ファイアー!」

 ルシアは口から盛大な炎を吹いて零夜に火炎ダメージを与える事に成功した。

「くっ!」
「あっ!アクアキャノン!」

 零夜はすぐに炎のダメージを受けてしまうが、それを見たクロエは踊りを中断し、水魔術を杖から放って炎を消した。
 それによって零夜のダメージは僅かながらで済み、彼はすぐにルシアに視線を移す。

「ありがとう、クロエ。まさか油断してしまうとはな……」
「この私を甘く見るな。兵士達を倒した分、徹底的に始末する。それだけだ」

 ルシアは零夜に対して宣言をしたと同時に、そのまま彼等を睨みつける。同時に兵士達も倒れて音楽は一時中断になった。

「また音楽が止まった……けど、それどころじゃ無いみたいね」 

 ヒカリ達は零夜がルシアと対峙している状況に気付き、彼女達も戦闘態勢に入る。戦いは更にエスカレートしていたのだった。
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