ヒーローズエイト〜神に選ばれし8人の戦士達による新八犬伝最強救世主伝説〜

蒼月丸

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第一章 戦士達の集結

第四話 動き出す闇

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 ここは闇に覆われた世界のダークゾーン。闇の霧が所々に出ていて、お化けやアンデッド達がわんさかいる危険な世界と言われている。普通の人が入ったらすぐに死んでしまう可能性も高く、まさに死の世界と言えるだろう。
 その世界にあるアークスレイヤー本部基地は、外観が西洋の大きな宮殿となっていて、ベルサイユ宮殿の様な豪華さを保っている。この世界にしかない最高の城だと噂されるのも無理ないのだ。



「全員揃っているな。これより会議を始める。」
 
 さて、その中にある会議室ではザルバッグと部下達が緊急会議を開いていた。
 メンバーは総勢十六人で、ザルバッグ以下の部下達は何れも幹部クラス。全員がフード付のローブを被って素顔を見えない様にしている。
 ザルバッグは白い髪の男性で年齢は零夜と同じ二十五歳ぐらい。服装は王族の服を着用していて、最強と貴族のオーラを全身から漂わせているのだ。

「神々達が八人を探しに動き出したそうだ。では、それぞれの報告を頼むぞ」

 ザルバッグの合図と同時に、部下達が報告書を持ちながら真剣な表情で読み上げ始める。

「はい!セントクールではオーラリアがヒコマツ一行を探しています!」

 一人の部下はセントクールの状況を伝え、設置されているウインドウにもその情報が映し出される。
 赤い髪で熱血漢の男性がヒコマツで、本名は大和彦松やまとひこまつ。年齢に関しては高校生ぐらい。その情報に全員が納得の表情をする。

「ラリウスではオーディンが勇者レンタロー一行と合流しています!」

 二人目の部下はラリウスの現状を伝え、ウインドウの画面も切り替えられてレンタローの情報が映し出される。
 黒い髪の高校生であり、本名は黒原廉太郎くろはられんたろう。お調子者の一面もあるが、正義感がとても強いのだ。

「地球では女神メディアの使いであるトラマツとノースマンが東零夜と出会い、プロレス大会で説明をするそうです!そこには彼だけでなく、プロダンサーの春川ミミ、モデルレスラーの藍原倫子、歌のお姉さんの国重ヒカリもいます!」

 三人目は零夜達の情報を伝え、彼等のデータがウインドウに映し出される。四人の映像を見た全員が納得の表情をしていて、ザルバッグも真剣な表情で見ていた。

「なるほど。まあ、こんなメンバーを集めてもどうせ返り討ちに遭うのがオチだ。となると、ここは早めに戦力を減らす必要がある」
「ええ。出る杭は早めに打たなければ、あとは確実にやられてしまう。だからこそ、動かなければやられてしまいますぞ」
「そうだな。しかし、どうすれば良いのだろうか……」

 ザルバッグ達が真剣な表情で考える中、一人の男が手を挙げた直後にローブを脱ぎ捨てる。
 男の名前はベクトル。彼はシルクハットを被っていて、タキシードを着用。年齢は四十歳前後でフランス人の様な立派な髭を生やしている。まさに西洋のイケメンおじさんと言えるだろう。
 更に彼はマジシャンとして戦うだけでなく、手品師としても活動。どんなマジックでも簡単にできる為、アークスレイヤーのミラクルマジシャンの異名を持っている。

「それなら私にお任せを。まずは地球に向かい、奴等を始末してみせましょう」

 ベクトルは礼儀正しく敬語で一礼し、その姿に他の部下達は紳士的な礼儀正しさに尊敬している。
 彼等は自らも真似しようとしているが、彼になりきるにはなかなか難しく、無理するなと言われてしまう為に自分らしく生きようと決意をしているのだ。

「マジシャン紳士のベクトルか。よし、この件はお前に任せておく。頼んだぞ!」
「はっ!確実に成功してみせましょう!」

 ベクトルはザルバッグに礼儀正しく一礼したと同時に、マントを広げてその場から姿を消す。
 去り方も一流である為、殆どの部下達がベクトルを尊敬の眼差しで見ていたのは言うまでもない。

「ベクトルさん、格好良いな……けど、彼に任せて大丈夫でしょうか……」
「出る杭は早めに打たなければ、侵略行動に今後の影響が走るだろう。上手くやる事を信じているぞ」

 ザルバッグはあくどい笑みを浮かべながらも、ベクトルの行動を信じ、会議はこの時点で終わりを告げられて解散となった。



 それから数時間後、後楽園前は多くの人だかりができていて、その中には零夜とミミの姿もいた。
 零夜は黒いTシャツと黄緑のカーゴパンツコーデというラフな格好で、ミミは帽子にピンクのTシャツ、青いオーバーオールを着用している。まさにボーイッシュコーデ其の物である。

「今朝、彼等と会ったみたいだけど、本当にここで話をするつもりなの?」

 ミミは今朝起きた事を真剣な表情で零夜に質問し、その内容に彼は真剣な表情をしながら頷く。

「ああ。本当に話すつもりだが、恐らくこの件に関してはアークスレイヤーも黙ってはいられないだろうな……」

 零夜が真剣な表情にミミも危機感を感じながら同意する中、ヒカリが慌てて走りながら駆けつけてきた。
 彼女の姿は白い半袖ブラウスに青いロングスカート。更にハイヒールも履いていて、まさに清純な乙女の姿と言えるだろう。

「遅くなってごめんなさい。ちょっと準備に手間取ってしまって……」

 ヒカリは苦笑いしながら謝罪し、顔には汗がべったりとついていた。
 その姿を見たミミは懐から汗ふきシートを取り出し、彼女の汗を拭き取り始める。
 
「大丈夫ですよ。それよりも今朝あった事ですが……」

 零夜はミミにも話した事をヒカリにも説明し始める。その内容を聞いた彼女は驚きを隠せなかったのも無理ない。

「トラマツとノースマンに出会ったのね。でも、それが現実だとしたら、戦わなくてはならないからね……」
「ええ。アークスレイヤーについては私達も警戒していますし、他の人が戦おうとしても返り討ちに遭ってしまう。だからこそ、私達が動かなければいけませんね」

 ヒカリとミミの推測に、零夜も真剣な表情で頷く。アークスレイヤーを倒せるのは選ばれし戦士である自分達しかいない以上、真剣に覚悟を決めて立ち向かうしか方法はない。
 その事については夢の中でメディアから既に教えられているのだ。

「後はトラマツ達がこの場所に来るだけだが、アークスレイヤーの襲撃がどうなるかだな。よし!そろそろ行くとするか!」

 後楽園の開場と同時に、零夜達はそのまま後楽園の入口へと向かい出す。その光景をベクトルがビルの屋上から冷静な表情でじっと見ていた。

「彼等が地球の選ばれし戦士達か……さて、私は私のやるべき事に集中するとしよう。最大のショータイムをする為にも……」

 ベクトルはあくどい笑みでニヤリと笑った後、マントを広げてその場から姿を消したのだった。
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