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第18話 告白
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アメリアはディーンが自分を思い出してくれたことを奇跡のように感じた。嬉しすぎて心が追いつかなかった。
(でも、喜んでばかりはいられないわよね。私は肝心なことをこれからディーンに伝えなければならない。はたしてディーンは受け入れてくれるだろうか?)
アメリアは自分がもう普通の人間ではないことをディーンに打ち明ける事にした。
もしかしたら恐れられるかも知れない。嫌われるかも知れない。
そんな考えが頭を掠めたが、ディーンには黙っているわけにもいかないと思った。
200何前、ディーンが死んでから起こったこと、自分が吸血鬼になった事を包み隠さず話した。
「心配することはない、俺はどんなアメリアでも受け入れられる。ああ、本当に君に会えたことは僥倖だよ。アメリア、もう二度と離さないよ」
「ディーン……」
ディーンの腕の中でアメリアはホッとして更に涙が溢れてきた。
これまでディーンを待ち続けた長い年月は決して無駄じゃなかった。
でも、これで終わりじゃない。ディーンとはこれからずっと悠久の時を一緒に過ごすためにアメリアと同じ存在になって貰う必要があった。
そうでなければ、ディーンの命が消えてしまうのだ。
「ねぇ、ディーン聞いて、もう一つ話さなきゃならない事があるの。さっきも言ったとおり、ディーンにかけたのは治癒魔法じゃないの。私はディーンの時間を戻しただけなの」
アメリアは、自分の異能のことについてディーンに説明する。
アメリアの異能は、時間を操ること。
それは時間そのものではなく生き物や物質に対してしか出来ないこと。
ディーンの身体は3日前に戻っただけだと言うこと。
時間は操作出来るが、生死は操作出来ないので傷を負ったとき死ぬ運命だったならディーンは3日後に死んでしまうこと。
「このカプセルの中に私の血が入っているの。これを飲めばあなたも私と同じになれる。でもそれは人であることを捨てること」
アメリアは摘んだカプセルを見せ、ディーンの表情を確認しながら恐る恐る話し始めた。
ディーンに拒否される可能性も考えた。それでもアメリアはこのままだとまたディーンを失ってしまう。今度は果たして何年待てばいいのか。
これまでの辛さを思い出し、アメリアは覚悟してディーンに告げたのだった。
ディーンは何も言わず只アメリアの不安に揺れる瞳を見つめていた。
「だからね、ディーンとこれから一緒に生きる為に私と血の契約を結んで欲しいの。でも、それは人間ではいられなくなること、異能は授かるけど魔力は消滅して魔法が使えなくなるの。それに、この契約は私の血の眷属になるのよ。だから万が一私がこの世から消えたときあなたも一緒に消えることになるのよ。だから、よく考えて……」
「!! えっ?」
アメリアが言い終わらないうちにディーンはアメリアの手から即座にカプセルを奪い飲み込んでしまった。
深い蒼色の双眸はしっかりとアメリアの瞳を覗き込み優しく微笑んだ。
「アメリア、さっきも言っただろう、心配することはないと。君と生き、君と死ねるなら願ってもないことだ……ああ、でもこれを飲めば死ぬことはないのか」
ディーンはアメリアを安心させるように微笑んだ。
「ディーン……」
アメリアは、気持ちが高まり言葉に詰まった。
「ああ、疲れたのだろうか……何だか眠気が……」
そう呟いたと同時にディーンの身体がゆっくりと傾いて行く。
アメリアは急いで支え長いすにディーンを横たえた。
「ディーン……」
アメリアは、穏やかに眠るディーンの顔を見て、これまで待ち続けた長い年月に思いを巡らせた。
(ああ、これであなたは永遠に私と離れられないわ。あなたはもう私の血の眷属になったのだから。あなたの命が流れる音が私に伝わってくるわ)
アメリアの紅い唇は弧を描き、月明かりの中妖艶に微笑むのだった。
(でも、喜んでばかりはいられないわよね。私は肝心なことをこれからディーンに伝えなければならない。はたしてディーンは受け入れてくれるだろうか?)
アメリアは自分がもう普通の人間ではないことをディーンに打ち明ける事にした。
もしかしたら恐れられるかも知れない。嫌われるかも知れない。
そんな考えが頭を掠めたが、ディーンには黙っているわけにもいかないと思った。
200何前、ディーンが死んでから起こったこと、自分が吸血鬼になった事を包み隠さず話した。
「心配することはない、俺はどんなアメリアでも受け入れられる。ああ、本当に君に会えたことは僥倖だよ。アメリア、もう二度と離さないよ」
「ディーン……」
ディーンの腕の中でアメリアはホッとして更に涙が溢れてきた。
これまでディーンを待ち続けた長い年月は決して無駄じゃなかった。
でも、これで終わりじゃない。ディーンとはこれからずっと悠久の時を一緒に過ごすためにアメリアと同じ存在になって貰う必要があった。
そうでなければ、ディーンの命が消えてしまうのだ。
「ねぇ、ディーン聞いて、もう一つ話さなきゃならない事があるの。さっきも言ったとおり、ディーンにかけたのは治癒魔法じゃないの。私はディーンの時間を戻しただけなの」
アメリアは、自分の異能のことについてディーンに説明する。
アメリアの異能は、時間を操ること。
それは時間そのものではなく生き物や物質に対してしか出来ないこと。
ディーンの身体は3日前に戻っただけだと言うこと。
時間は操作出来るが、生死は操作出来ないので傷を負ったとき死ぬ運命だったならディーンは3日後に死んでしまうこと。
「このカプセルの中に私の血が入っているの。これを飲めばあなたも私と同じになれる。でもそれは人であることを捨てること」
アメリアは摘んだカプセルを見せ、ディーンの表情を確認しながら恐る恐る話し始めた。
ディーンに拒否される可能性も考えた。それでもアメリアはこのままだとまたディーンを失ってしまう。今度は果たして何年待てばいいのか。
これまでの辛さを思い出し、アメリアは覚悟してディーンに告げたのだった。
ディーンは何も言わず只アメリアの不安に揺れる瞳を見つめていた。
「だからね、ディーンとこれから一緒に生きる為に私と血の契約を結んで欲しいの。でも、それは人間ではいられなくなること、異能は授かるけど魔力は消滅して魔法が使えなくなるの。それに、この契約は私の血の眷属になるのよ。だから万が一私がこの世から消えたときあなたも一緒に消えることになるのよ。だから、よく考えて……」
「!! えっ?」
アメリアが言い終わらないうちにディーンはアメリアの手から即座にカプセルを奪い飲み込んでしまった。
深い蒼色の双眸はしっかりとアメリアの瞳を覗き込み優しく微笑んだ。
「アメリア、さっきも言っただろう、心配することはないと。君と生き、君と死ねるなら願ってもないことだ……ああ、でもこれを飲めば死ぬことはないのか」
ディーンはアメリアを安心させるように微笑んだ。
「ディーン……」
アメリアは、気持ちが高まり言葉に詰まった。
「ああ、疲れたのだろうか……何だか眠気が……」
そう呟いたと同時にディーンの身体がゆっくりと傾いて行く。
アメリアは急いで支え長いすにディーンを横たえた。
「ディーン……」
アメリアは、穏やかに眠るディーンの顔を見て、これまで待ち続けた長い年月に思いを巡らせた。
(ああ、これであなたは永遠に私と離れられないわ。あなたはもう私の血の眷属になったのだから。あなたの命が流れる音が私に伝わってくるわ)
アメリアの紅い唇は弧を描き、月明かりの中妖艶に微笑むのだった。
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