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第17話 後悔と歓喜
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黒曜石の居城にある塔の天辺の部屋は微かな月灯りが部屋をうっすらと照らしていた。
その部屋の主アメリアは、魔窟の森で助けたディーンを自分の部屋に寝かせ、銀色の髪をそっと撫でながら何度も何度も後悔の念に駆られていた。
(ディーン、ごめんなさい。私があなたの目を離していたから)
あのパーティーでディーンの婚約者を目にしたときから辛すぎて水鏡を通してさえディーンの顔を見ることができなかった。
そのせいで又ディーンを失っていたのかも知れないことに気付いたアメリアは自分の愚かさを戒めていた。
(あなたが私を覚えていなくても私があなたを覚えているから大丈夫よ)
そう自分に言い聞かせ、ディーンが目覚めたときどんな反応をしても受け入れようと心に誓った。
すると、長いすに横たわっていたディーンが微かに動いた。
「ん……う~ん」
眉間に皺を寄せながらディーンはゆっくりと瞼を上げた。
数秒の間、周りを見渡した深い蒼色の瞳がアメリアを捉えた。
アメリアは長いすの前に膝をつき、微笑を浮かべながらディーンの顔を覗いた。
「君は……あの時のパーティーで会った……」
ディーンは上体を起こしながらアメリアに問いかけた。
「そう、私はアメリア。ディーン殿下」
ディーンの瞳がゆっくり部屋を見渡した。
「心配しないで、私はあなたの味方だから」
アメリアがそう言いながらディーンの頬に触れようとすると、ディーンは身体をビクッとさせて強ばらせた。
「ごめんなさい。そうは言ってもあなたにとって私は得体が知れない女よね。」
アメリアは悲しそうに目を伏せた。
ディーンはアメリアを凝視するとハッとして自分の横腹に手を当てた。
「傷が塞がってる……? これは……君が?」
「ええ……」
ディーンの疑問にアメリアはどこか柔らかな微笑みを向けた。
「君は治癒魔法が使えるのか?」
「いいえ、これは治癒魔法じゃないわ」
ディーンの問いをアメリアは否定した。
「ではどうやって……傷がすっかり治っているではないか?あの傷は致命傷だった。あのままでは俺は命が無かったはずだ……なのに……」
「こうやってよ」
被りぎみに答えるとアメリアは自分の唇でディーンの口を塞いだ。
アメリアが顔を離すと耳まで真っ赤に染まったディーンが片手で口を抑えたまま金縛りに会ったように固まっていた。
「ふふふ、もう遠慮はしないことにしたの。だって又あなたを失ったら後悔するもの」
そう言って、アメリアは妖艶に笑った。
だが、ディーンはそれどころではなかった。
突然の口づけに一瞬だけ戸惑い胸が高鳴るのを覚えたが、その瞬間膨大な記憶がディーンの頭に流れ込んできたのだ。
その記憶の中にある金髪に翡翠の瞳の愛する女性の記憶はディーンの心を覆い尽くし目の前のアメリアと重なった。
髪の色や瞳の色は違うが顔かたちはまさに愛する女性のものだった。
魂に刻まれた記憶はアメリアこそが愛する女性だということを如実に示していた。
「ディーン?ご、ごめんなさい。揶揄ったわけではないのよ。ただ会えて嬉しくて我慢出来なくなったの」
暫く微動だにしないディーンに忌避感を抱かれたのではないかと不安になったアメリアは戸惑うように言った。
その瞬間、ディーンはアメリアを強く抱きしめた。
「アメリア、会いたかった」
その声が耳に届いた途端、アメリアは全てを理解した。
そして、アメリアの頬に一筋の涙が流れた。
「ディーン、思い出してくれたのね」
アメリアの心は歓喜に震え涙が止め処なく流れるのだった。
その部屋の主アメリアは、魔窟の森で助けたディーンを自分の部屋に寝かせ、銀色の髪をそっと撫でながら何度も何度も後悔の念に駆られていた。
(ディーン、ごめんなさい。私があなたの目を離していたから)
あのパーティーでディーンの婚約者を目にしたときから辛すぎて水鏡を通してさえディーンの顔を見ることができなかった。
そのせいで又ディーンを失っていたのかも知れないことに気付いたアメリアは自分の愚かさを戒めていた。
(あなたが私を覚えていなくても私があなたを覚えているから大丈夫よ)
そう自分に言い聞かせ、ディーンが目覚めたときどんな反応をしても受け入れようと心に誓った。
すると、長いすに横たわっていたディーンが微かに動いた。
「ん……う~ん」
眉間に皺を寄せながらディーンはゆっくりと瞼を上げた。
数秒の間、周りを見渡した深い蒼色の瞳がアメリアを捉えた。
アメリアは長いすの前に膝をつき、微笑を浮かべながらディーンの顔を覗いた。
「君は……あの時のパーティーで会った……」
ディーンは上体を起こしながらアメリアに問いかけた。
「そう、私はアメリア。ディーン殿下」
ディーンの瞳がゆっくり部屋を見渡した。
「心配しないで、私はあなたの味方だから」
アメリアがそう言いながらディーンの頬に触れようとすると、ディーンは身体をビクッとさせて強ばらせた。
「ごめんなさい。そうは言ってもあなたにとって私は得体が知れない女よね。」
アメリアは悲しそうに目を伏せた。
ディーンはアメリアを凝視するとハッとして自分の横腹に手を当てた。
「傷が塞がってる……? これは……君が?」
「ええ……」
ディーンの疑問にアメリアはどこか柔らかな微笑みを向けた。
「君は治癒魔法が使えるのか?」
「いいえ、これは治癒魔法じゃないわ」
ディーンの問いをアメリアは否定した。
「ではどうやって……傷がすっかり治っているではないか?あの傷は致命傷だった。あのままでは俺は命が無かったはずだ……なのに……」
「こうやってよ」
被りぎみに答えるとアメリアは自分の唇でディーンの口を塞いだ。
アメリアが顔を離すと耳まで真っ赤に染まったディーンが片手で口を抑えたまま金縛りに会ったように固まっていた。
「ふふふ、もう遠慮はしないことにしたの。だって又あなたを失ったら後悔するもの」
そう言って、アメリアは妖艶に笑った。
だが、ディーンはそれどころではなかった。
突然の口づけに一瞬だけ戸惑い胸が高鳴るのを覚えたが、その瞬間膨大な記憶がディーンの頭に流れ込んできたのだ。
その記憶の中にある金髪に翡翠の瞳の愛する女性の記憶はディーンの心を覆い尽くし目の前のアメリアと重なった。
髪の色や瞳の色は違うが顔かたちはまさに愛する女性のものだった。
魂に刻まれた記憶はアメリアこそが愛する女性だということを如実に示していた。
「ディーン?ご、ごめんなさい。揶揄ったわけではないのよ。ただ会えて嬉しくて我慢出来なくなったの」
暫く微動だにしないディーンに忌避感を抱かれたのではないかと不安になったアメリアは戸惑うように言った。
その瞬間、ディーンはアメリアを強く抱きしめた。
「アメリア、会いたかった」
その声が耳に届いた途端、アメリアは全てを理解した。
そして、アメリアの頬に一筋の涙が流れた。
「ディーン、思い出してくれたのね」
アメリアの心は歓喜に震え涙が止め処なく流れるのだった。
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