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第13話 転生
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それから2人は徐々に愛を育んでいった。
時にはライバルとして、時には恋人同士として周囲からも温かい目を向けられていた。
最終学年に進級して間もなくのことだった。アメリアはいつもの様にディーンとデートをしていた。そして、その帰りにディーンはアメリアを森の近くの湖まで連れて行った。
その湖の周りには星を模した小さな白い花、スノーエトワールが咲き乱れていた。その直ぐ傍にある小高い丘の上には1本の大きなセコイアの木が立っている。
太陽が姿を隠し、辺りが薄暗くなってくると満月が空に浮かんだ。月の光を浴びたスノーエトワールはキラキラと輝き、湖の周りを幻想的に飾っていた。
丘の上から街の方を見下ろすと次第にポツポツと灯りが増えていった。
セコイアの木の下で2人は街の景色に見とれていた。すると、ディーンはアメリアに向き合い、真剣な顔で跪き、アメリアの手を取った。
「アメリア、君を心から愛している。一生、俺の傍にいてくれ。結婚しよう」
そう言って、サファイアの石が付いた指輪をアメリアの薬指に嵌めてくれた。
「あぁ、ディーン、嬉しいわ。私もあなたを心から愛しているわ」
一滴の涙がアメリアの頬を伝った。
そうして2人は初めての口づけを交わしたのだった。
200年前に失った幸せに思いを馳せるアメリア。
心の奥に眠る思い出は意識を向ければ昨日のことの様に蘇る。
今でもディーンを思い、ディーンを求めている。
心にポッカリと空いた暗い穴を埋め尽くすために……。
ディーンの温もりを思い出し自分自身を抱きしめる。
吸血鬼になったときから涙は流れなくなった。
それでも心の中では涙を流す。
もう一度あなたに会いたい…………
ただそれだけを願って…………
ーーーー
長い月日が流れ、アメリアはいつもの様に自分の部屋の水鏡を眺めていた。愛しい人の魂の顕現を期待しながら……。
水鏡には亡くなった時のディーンの身体から採取した血液が数滴垂らされている。
魂と深い繋がりを持つ血液を水鏡に含ませることによってその魂を持つ者を特定してくれる。
血の導きを辿り愛しい人の魂を宿す転生者を捜す。
それが吸血鬼になってから200年近く経った今も続いているアメリアの日課だった。
ところが、この日は水鏡の輝きがいつもと違ってた。
徐に水鏡が光り出すと、そこには一人の赤子が映し出されていた。
最初に目についたのは輝かんばかりの銀髪だった。
アメリアの心の奥がザワザワした。
吸血鬼になってしまってもアメリアの魂はディーンを求めていた。狂気を含む程のその思いはどんなに月日を重ねても消えることはなかった。
そして、その魂は間違いなく水鏡に映る赤子に引き継がれているのが分かった。
「あぁ、ディーン……あなたなのね……」
アメリアの頬に一雫の涙が流れた。
それからアメリアは毎日何度も水鏡を覗くようになった。
スレイル帝國の第二王子ディーン・ラルク・スレイル。
それが今世でのディーンの名前だった。
前世と同じファーストネーム。
そこには何らかの因縁めいたものが隠されているのか、それともただの偶然なのか。
それはアメリアにも分からなかった。
毎日ディーンの成長を見守るアメリア。
「ふふっ、可愛いわね」
微笑ましげに零した後、アメリアはふと思った。
(これってのぞき見よね。なんか私って危ない人みたい……ストーカーとか)
背徳感が募るアメリアは首を左右に降り、
(でも、これはディーンを守るためだわ)
そう自分に言い聞かせながらも少しだけ水鏡を見る回数を減らすようにした。
とは言え、1日に20回を18回にしただけなのであまり変わりがないだろうが……。
そして、その代わりにディーンに命の危険が及んだときに水鏡が反応するように自分の血を垂らした。
時にはライバルとして、時には恋人同士として周囲からも温かい目を向けられていた。
最終学年に進級して間もなくのことだった。アメリアはいつもの様にディーンとデートをしていた。そして、その帰りにディーンはアメリアを森の近くの湖まで連れて行った。
その湖の周りには星を模した小さな白い花、スノーエトワールが咲き乱れていた。その直ぐ傍にある小高い丘の上には1本の大きなセコイアの木が立っている。
太陽が姿を隠し、辺りが薄暗くなってくると満月が空に浮かんだ。月の光を浴びたスノーエトワールはキラキラと輝き、湖の周りを幻想的に飾っていた。
丘の上から街の方を見下ろすと次第にポツポツと灯りが増えていった。
セコイアの木の下で2人は街の景色に見とれていた。すると、ディーンはアメリアに向き合い、真剣な顔で跪き、アメリアの手を取った。
「アメリア、君を心から愛している。一生、俺の傍にいてくれ。結婚しよう」
そう言って、サファイアの石が付いた指輪をアメリアの薬指に嵌めてくれた。
「あぁ、ディーン、嬉しいわ。私もあなたを心から愛しているわ」
一滴の涙がアメリアの頬を伝った。
そうして2人は初めての口づけを交わしたのだった。
200年前に失った幸せに思いを馳せるアメリア。
心の奥に眠る思い出は意識を向ければ昨日のことの様に蘇る。
今でもディーンを思い、ディーンを求めている。
心にポッカリと空いた暗い穴を埋め尽くすために……。
ディーンの温もりを思い出し自分自身を抱きしめる。
吸血鬼になったときから涙は流れなくなった。
それでも心の中では涙を流す。
もう一度あなたに会いたい…………
ただそれだけを願って…………
ーーーー
長い月日が流れ、アメリアはいつもの様に自分の部屋の水鏡を眺めていた。愛しい人の魂の顕現を期待しながら……。
水鏡には亡くなった時のディーンの身体から採取した血液が数滴垂らされている。
魂と深い繋がりを持つ血液を水鏡に含ませることによってその魂を持つ者を特定してくれる。
血の導きを辿り愛しい人の魂を宿す転生者を捜す。
それが吸血鬼になってから200年近く経った今も続いているアメリアの日課だった。
ところが、この日は水鏡の輝きがいつもと違ってた。
徐に水鏡が光り出すと、そこには一人の赤子が映し出されていた。
最初に目についたのは輝かんばかりの銀髪だった。
アメリアの心の奥がザワザワした。
吸血鬼になってしまってもアメリアの魂はディーンを求めていた。狂気を含む程のその思いはどんなに月日を重ねても消えることはなかった。
そして、その魂は間違いなく水鏡に映る赤子に引き継がれているのが分かった。
「あぁ、ディーン……あなたなのね……」
アメリアの頬に一雫の涙が流れた。
それからアメリアは毎日何度も水鏡を覗くようになった。
スレイル帝國の第二王子ディーン・ラルク・スレイル。
それが今世でのディーンの名前だった。
前世と同じファーストネーム。
そこには何らかの因縁めいたものが隠されているのか、それともただの偶然なのか。
それはアメリアにも分からなかった。
毎日ディーンの成長を見守るアメリア。
「ふふっ、可愛いわね」
微笑ましげに零した後、アメリアはふと思った。
(これってのぞき見よね。なんか私って危ない人みたい……ストーカーとか)
背徳感が募るアメリアは首を左右に降り、
(でも、これはディーンを守るためだわ)
そう自分に言い聞かせながらも少しだけ水鏡を見る回数を減らすようにした。
とは言え、1日に20回を18回にしただけなのであまり変わりがないだろうが……。
そして、その代わりにディーンに命の危険が及んだときに水鏡が反応するように自分の血を垂らした。
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