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第11話 王国の崩壊
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王城の会議室ではドラキュリア一族が消えたことを受けてその対策を練るために主要貴族の代表が集合していた。
「陛下、ドラキュリア一族は類い希な魔法技術を持っています。我々の考えもよらぬ方法で逃げ出したに違いありません」
「待て、あのドラキュリア一族がおめおめ逃げるとは思えぬ。何か良からぬことを考えているに違いない。我々も対処しなくてはならない。最高峰の魔導師を集め奇襲に備えよ」
高官の意見を退け、命を下したのはアテナ王国第十三代目国王エンディバルロ13世である。
奇しくもその予想は的中していた。
しかし、どんなに精強な魔導師でも彼らに敵わないことは思いも寄らなかった。
そう、この時エンディバルロ13世どころかこの城に集う者達誰にも予測は出来なかったのだ。これから最悪の時を迎えなければならないことを…………
暫くすると、場内が慌ただしくなってきた。
「まて!!!! これ以上城内に進むことを禁じる!」
「第一級魔導騎士団に即時連絡を!!」
緊迫する指示が遠くで聞こえ、直ぐにバタバタと廊下を走る音がすると同時に会議室の扉が強く開け放たれた。
「何事だ!!」
エンディバルロ13世が立ち上がり、開け放たれた扉の前に跪く近衛兵に言葉を投げた。
「ご無礼をお許し下さい。ドラキュリア一族と思われる者達が侵入し、ここに向かっていると確認されました!」
「これはこれは、皆さんお揃いで、探す手間がはぶけましたよ」
近衛兵の報告の直ぐ後に聞こえてきたのは、ドラキュリア伯爵家当主フレデリックの声だった。
それを皮切りに会議室の入り口には、伯爵夫人ミルドレッド、嫡男のレイナード、次女メイファが姿を現した。
「この者等を捉えよ!」
その姿が見えるやいなや命を下すエンディパルロ13世。
しかし、近衛兵が駆けつけ捉えようとしても見えぬ速さでその場所から他の場所へ移動する彼らだった。
「何だと? 転移魔法か?」
「いや、しかし魔力は感じないぞ!」
「どういうことだ?」
口々に会議に参加していた貴族達は疑問の声をあげた。
「そんな事はどうでもいい! 第一級魔導騎士団はどうした?」
業を煮やしたエンディバルロ13世は声を荒げた。するとその瞬間、魔方陣が現れ五人の魔導師が転移してきた。魔導師達は即座に魔法を放ち四人に攻撃を仕掛けた。
一人は光り魔法を、一人は水魔法を、一人は氷魔法を、一人は風邪魔法を、一人は雷魔法を……
五人の魔導師達が放つ魔法は確かにドラキュリア一族の四人に届いていたはずだった。しかし、彼らは何のダメージも受けていないように見えた。
「私達は魔法はもう使えないんですよ、魔力をもう持っていませんからね」
「そう、でも同時に私達には魔法も効かないんですよ」
「さあ、それでは次は私達の番ですね」
「もう、抵抗しても無駄よ」
フレデリック、レイナード、ミルドレッド、メイファの四人がそう言うと右手を上げ掌を彼らに向けた。エンディバルロ13世を初め貴族達が床に倒れた。
ドラキュリア一族は彼らの生命エネルギーを吸い取ったのだった。
エネルギーを吸い取られた人々は精気を失い、床に伏せるようになった。
王族を中心に多くの貴族が倒れたが、王宮に従事するどんな凄腕の医師でもその原因を解明することができなかった。
それに伴い、悪政を強いていたアテナ王国の王族やそれに追随するアテナ王国の貴族達は淘汰されていったのだった。
それから間もなく、アテナ王国は王家を中心に原因不明の疫病が蔓延したという噂が近隣諸国に広がった。
その結果、国力が次第に弱まり国政が徐々に乱れて行った。
王家や貴族の力では回復が難しくなったアテナ王国。
ついには隣国であるスレイル帝國に呑まれて行ったのだった。
その裏にドラキュリア一族の暗躍があったのは誰も知らない。
「陛下、ドラキュリア一族は類い希な魔法技術を持っています。我々の考えもよらぬ方法で逃げ出したに違いありません」
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高官の意見を退け、命を下したのはアテナ王国第十三代目国王エンディバルロ13世である。
奇しくもその予想は的中していた。
しかし、どんなに精強な魔導師でも彼らに敵わないことは思いも寄らなかった。
そう、この時エンディバルロ13世どころかこの城に集う者達誰にも予測は出来なかったのだ。これから最悪の時を迎えなければならないことを…………
暫くすると、場内が慌ただしくなってきた。
「まて!!!! これ以上城内に進むことを禁じる!」
「第一級魔導騎士団に即時連絡を!!」
緊迫する指示が遠くで聞こえ、直ぐにバタバタと廊下を走る音がすると同時に会議室の扉が強く開け放たれた。
「何事だ!!」
エンディバルロ13世が立ち上がり、開け放たれた扉の前に跪く近衛兵に言葉を投げた。
「ご無礼をお許し下さい。ドラキュリア一族と思われる者達が侵入し、ここに向かっていると確認されました!」
「これはこれは、皆さんお揃いで、探す手間がはぶけましたよ」
近衛兵の報告の直ぐ後に聞こえてきたのは、ドラキュリア伯爵家当主フレデリックの声だった。
それを皮切りに会議室の入り口には、伯爵夫人ミルドレッド、嫡男のレイナード、次女メイファが姿を現した。
「この者等を捉えよ!」
その姿が見えるやいなや命を下すエンディパルロ13世。
しかし、近衛兵が駆けつけ捉えようとしても見えぬ速さでその場所から他の場所へ移動する彼らだった。
「何だと? 転移魔法か?」
「いや、しかし魔力は感じないぞ!」
「どういうことだ?」
口々に会議に参加していた貴族達は疑問の声をあげた。
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一人は光り魔法を、一人は水魔法を、一人は氷魔法を、一人は風邪魔法を、一人は雷魔法を……
五人の魔導師達が放つ魔法は確かにドラキュリア一族の四人に届いていたはずだった。しかし、彼らは何のダメージも受けていないように見えた。
「私達は魔法はもう使えないんですよ、魔力をもう持っていませんからね」
「そう、でも同時に私達には魔法も効かないんですよ」
「さあ、それでは次は私達の番ですね」
「もう、抵抗しても無駄よ」
フレデリック、レイナード、ミルドレッド、メイファの四人がそう言うと右手を上げ掌を彼らに向けた。エンディバルロ13世を初め貴族達が床に倒れた。
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