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第7話 慟哭
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アメリアを伴って逃げるディーン。
しかし、現役の騎士達から逃げ切るのは難しかった。
直ぐに追いつかれ、捉えられそうになる。
氷魔法を放ち応戦するディーンだったが多勢に無勢。
魔法を封じられているアメリアを守りながら闘うのは目に見えて不利だった。
「ディーン、降伏しましょう、このままではあなたが殺されてしまう……」
「大丈夫だよ。いくら兄上でも流石に俺を殺すことはないだろうからね。それに降伏すれば兄上はアメリアをどうするか分からない」
だが、その考えが甘かったのは身をもって知る事になった。
騎士達は加減をすることなく攻撃を仕掛けてくる。それに加えレスターの氷魔法が炸裂する。
右手に剣を握りレスターが放った氷の刃を薙ぎ払う。
左手で放つ氷魔法はレスターよりも多く鋭いが騎士達が邪魔をする。
ディーンが応戦する中、いつの間にかアメリアの後ろに剣を振り上げた騎士の姿があった。
間違いなくその剣はディーンの背中を狙っていることに気づいた。
「ディーン、危ない!」
アメリアは咄嗟にディーンの背中を庇うように足を踏み出した。
それに気付いたディーンは、アメリアの方を振り返り魔法を放つべく左手を振り上げた。
ーーーー
一瞬の隙。
その刹那、ディーンの胸を貫く鋭い氷の刃。
「兄…………上……なぜっ……」
胸から血を噴き、アメリアの方に倒れてくるディーン。
アメリアには全てがスローモーションに見えるなか信じられない思いが駆け巡っていた。
後妻の子供とは言え、レスターとディーンは半分は血のつながりが有るはずだ。それなのにそう簡単に実の弟を殺せるはずがない。
その考えは、現実に起こった光景がまるで全てが幻だったように消し去っていった。
「まったく、昔からじゃまだったんですよ」
アメリアにはレスターの忌々しげに発した言葉さえ届かなかった。
ディーンの身体を受け止め、ドレスが赤く染まっていく。アメリアは目の前の光景を直ぐには受け止められなかった。
「いやぁぁぁぁぁぁっっ!!」
地の底から響くような声が辺りに谺した。
ゴォォォォォォォ
アメリアの叫び声が辺りに響いたと同時に魔力の波が押し寄せた。
アメリアとディーンだけを避けるように強風が吹き荒れた。
「私の妹に害を為すとは万死に値する」
冷たく言い放ったのはアメリアの兄のレイナードだった。
怒りにまかせて放った風魔法は、辺りを容赦なく蹂躙し尽くしていた。
周辺には、衣服が切り裂け体中から血が噴き出している騎士達がそこら中に倒れていた。
レイナードの風魔法は凄まじい威力であることはこの光景を見れば明らかだった。
「アメリア、大丈夫か?」
レイナードは、アメリアの傍に駆けつけ声をかけるがアメリアはその声に反応することもできないほど混乱していた。
「ディーン、ああディーン、どうして……私のせいだわ……」
傷ついたディーンの身体を抱きしめ涙を流しながら譫言のように呟き続けるアメリア。
ディーンの痛ましい姿を見ればアメリアの反応は当然のことだとレイナードは理解していた。
しかし、今は時間が無い。王国騎士団がもう既にドラキュリア伯爵邸を取り囲んでいる可能性もあるのだ。
「アメリア、急げばまだディーンを助けることが出来るかも知れない。だから、直ぐに邸に戻ろう」
その声にやっと我に返るアメリア。
レイナードはディーンの様子に助かる見込みが薄いことは分かっていた。しかし、アメリアを動かすためにはそう言うしかなかった。
何とかアメリアを宥め、虫の息のディーンとアメリアを馬車の上に乗せたレイナードは森の方に向かって馬車を走らせていた。
アメリアはワンピースの裾を引きちぎり、ディーンの胸を押さえるが血が止まる気配は無い。
「ディーン、お願い死なないで、お願い、どうか…………」
アメリアの頬に涙が伝い、静かな森に慟哭だけが響いていた。
しかし、現役の騎士達から逃げ切るのは難しかった。
直ぐに追いつかれ、捉えられそうになる。
氷魔法を放ち応戦するディーンだったが多勢に無勢。
魔法を封じられているアメリアを守りながら闘うのは目に見えて不利だった。
「ディーン、降伏しましょう、このままではあなたが殺されてしまう……」
「大丈夫だよ。いくら兄上でも流石に俺を殺すことはないだろうからね。それに降伏すれば兄上はアメリアをどうするか分からない」
だが、その考えが甘かったのは身をもって知る事になった。
騎士達は加減をすることなく攻撃を仕掛けてくる。それに加えレスターの氷魔法が炸裂する。
右手に剣を握りレスターが放った氷の刃を薙ぎ払う。
左手で放つ氷魔法はレスターよりも多く鋭いが騎士達が邪魔をする。
ディーンが応戦する中、いつの間にかアメリアの後ろに剣を振り上げた騎士の姿があった。
間違いなくその剣はディーンの背中を狙っていることに気づいた。
「ディーン、危ない!」
アメリアは咄嗟にディーンの背中を庇うように足を踏み出した。
それに気付いたディーンは、アメリアの方を振り返り魔法を放つべく左手を振り上げた。
ーーーー
一瞬の隙。
その刹那、ディーンの胸を貫く鋭い氷の刃。
「兄…………上……なぜっ……」
胸から血を噴き、アメリアの方に倒れてくるディーン。
アメリアには全てがスローモーションに見えるなか信じられない思いが駆け巡っていた。
後妻の子供とは言え、レスターとディーンは半分は血のつながりが有るはずだ。それなのにそう簡単に実の弟を殺せるはずがない。
その考えは、現実に起こった光景がまるで全てが幻だったように消し去っていった。
「まったく、昔からじゃまだったんですよ」
アメリアにはレスターの忌々しげに発した言葉さえ届かなかった。
ディーンの身体を受け止め、ドレスが赤く染まっていく。アメリアは目の前の光景を直ぐには受け止められなかった。
「いやぁぁぁぁぁぁっっ!!」
地の底から響くような声が辺りに谺した。
ゴォォォォォォォ
アメリアの叫び声が辺りに響いたと同時に魔力の波が押し寄せた。
アメリアとディーンだけを避けるように強風が吹き荒れた。
「私の妹に害を為すとは万死に値する」
冷たく言い放ったのはアメリアの兄のレイナードだった。
怒りにまかせて放った風魔法は、辺りを容赦なく蹂躙し尽くしていた。
周辺には、衣服が切り裂け体中から血が噴き出している騎士達がそこら中に倒れていた。
レイナードの風魔法は凄まじい威力であることはこの光景を見れば明らかだった。
「アメリア、大丈夫か?」
レイナードは、アメリアの傍に駆けつけ声をかけるがアメリアはその声に反応することもできないほど混乱していた。
「ディーン、ああディーン、どうして……私のせいだわ……」
傷ついたディーンの身体を抱きしめ涙を流しながら譫言のように呟き続けるアメリア。
ディーンの痛ましい姿を見ればアメリアの反応は当然のことだとレイナードは理解していた。
しかし、今は時間が無い。王国騎士団がもう既にドラキュリア伯爵邸を取り囲んでいる可能性もあるのだ。
「アメリア、急げばまだディーンを助けることが出来るかも知れない。だから、直ぐに邸に戻ろう」
その声にやっと我に返るアメリア。
レイナードはディーンの様子に助かる見込みが薄いことは分かっていた。しかし、アメリアを動かすためにはそう言うしかなかった。
何とかアメリアを宥め、虫の息のディーンとアメリアを馬車の上に乗せたレイナードは森の方に向かって馬車を走らせていた。
アメリアはワンピースの裾を引きちぎり、ディーンの胸を押さえるが血が止まる気配は無い。
「ディーン、お願い死なないで、お願い、どうか…………」
アメリアの頬に涙が伝い、静かな森に慟哭だけが響いていた。
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