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第8話 私の望みは
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「それで、貴女の望みは何?」
「私の望み、それは殿下と円満に婚約解消して愛するお義兄様と結ばれること。でも、私から婚約解消することは出来ません。殿下からの婚約解消を待つしかないのです。でもそんなこと可能でしょうか?」
私の言葉を受けたアメリア様の唇は弧を描き仰いました。
「もちろんよ。貴女の望み叶えましょう」
「報酬はおいくらですか?」
「お金はいらないわ。報酬は貴女自身で」
「私自身? どういうことでしょう?」
「貴女の命が尽きるとき、私の眷属になってもらうと言うことでどう?」
私の命が尽きるとき? 眷属?
意味は良く分かりませんが、私が死ぬときなら構わないでしょう。
そう思って契約を締結したのです。
アメリア様は最後に仰いました。
「全て私におまかせなさい。だから貴女は今まで通りで大丈夫ですよ。三ヶ月後には貴女の望みは叶うでしょう。」
と。
その後、すぐに殿下の周辺に変化があったのです。
今まで、殿下の女遊びの噂はあまり広まっておりませんでした。アメリア様の水鏡で見たようにあれだけ色んな女性と関係を持っていたにも関わらずです。
それにはどうやら殿下の火遊びの火消し役があったようです。
ですが、黒の貴婦人の元を訪れて数日後から殿下が平民と学園内で堂々とイチャイチャするようになったのです。
その目撃者は多数で、どんなに火消し役が頑張っても消化出来ないほどでした。
相手はケイティと言う名の平民。
ピンクのフワフワの髪にタレ気味の大きな瞳、小さなサクランボ色の唇は確かに愛らしい顔立ちと言えましょう。
天真爛漫さを絵に描いたような性格も男子生徒からは人気があったようです。
そんな女生徒に殿下は虜になってしまったようでした。
でも、私にはそれがとても不自然に思えました。
だって、アメリア様と契約を結んでから3日後にそんな事態になるなんて可笑しいと思いませんか? 私はこれは絶対彼女が裏で糸を引いていると推測しました。
私と殿下の婚約解消の手続きが済んだ後、何とケイティさんが侯爵家を訪れました。
普通でしたら私の婚約者を略奪した方ですから邸にはもちろん門の中にも入ることはないでしょう。
でも、私はケイティさんが何らかの接触をしてくるだろうと思っていたので事前に門番と従者達に彼女の特徴を伝え、現れたら通すように指示しておりました。
「お嬢様、ケイティと名乗る平民の女性が見えました。事前にお嬢様から教えて頂いた特徴通りの方です」
侍女からそのことを聞いて私は「やっぱり来たわね」と思い、私の考えが正しかったことを確信しました。
「こんにちは、リリアンナさん。私のこと待っててくれたようね」
ケイティさんも私が彼女を待っていたことが分かっていたようです。
「ええ、待っていたわ。ケイティさん。貴方のお陰で無事に婚約解消が叶いましたわ。アメリア様にお礼をいっておいて下さるかしら?」
そう、ケイティさんはアメリアさんにとってどんな立ち位置かは分かりませんが仲間であることは間違いないでしょう。
「リリアンナさんは最初から私がハニトラ要員だと分かっていたのね」
「ハニトラ要員?」
「ふふふっ、何でもないわ。リリアンナさんは深く考えなくて良いのよ。どうやら王太子殿下は廃嫡されるようね」
「廃嫡……そこまでは望んでいなかったんだけど」
「ああ、リリアンナさんは罪悪感を持たなくて大丈夫よ。全てはよそ見をした殿下に責任があるのだから。侯爵家の後ろ盾と優秀なリリアンナさんのサポートがなければ殿下の即位は厳しいだろうと以前から陛下と審議会で決められていたようなのよ。そんなことも理解していなかった方愚かなのだから」
「そう……ね」
ケイティさんは罪悪感を持たなくても大丈夫だと言ってくれたけど、私は殿下の将来を台無しにしてしまったことに少なからず後ろめたい気持ちになりました。
「そうそう、殿下はリリアンナさんと婚約したせいで廃嫡になったと思ってリリアンナさんと再婚約を画策していたようよ。しかも婚約破棄は私の計略だって言うのよ。まあ、実際そうなんだけど。本当に最低な男! 自分だって同意したくせに、上手くいかなければ人のせいにするなんて!」
「再婚約? なぜ……殿下の方から婚約破棄をされたのに……」
「でも大丈夫よ。それも潰して置いたから」
「そうなの。ありがとう」
私の中にあった小さな蟠りがケイティさんのお陰で霧散した。
「それと、最後に殿下に言ってやったわ。廃嫡された殿下なんて顔が良いだけの何の価値もない男だってね。とてもショックを受けていたけど改心するかしらね」
ケイティさんは黒い笑みを浮かべていましたが、私は見ない振りをしました。
その後、ケイティさんは学園のどこを捜してもいませんでした。初めから存在さえしなかったかのように消えてしまったのです。
それから私は、直ぐにお義兄様と婚約しました。他から婚約の打診が来ないようにする為です。それでも心配したお義兄様は卒業後に直ぐに婚姻を結びたいとお父様に懇願しました。もちろん、お父様は快諾してくれたのでした。
「私の望み、それは殿下と円満に婚約解消して愛するお義兄様と結ばれること。でも、私から婚約解消することは出来ません。殿下からの婚約解消を待つしかないのです。でもそんなこと可能でしょうか?」
私の言葉を受けたアメリア様の唇は弧を描き仰いました。
「もちろんよ。貴女の望み叶えましょう」
「報酬はおいくらですか?」
「お金はいらないわ。報酬は貴女自身で」
「私自身? どういうことでしょう?」
「貴女の命が尽きるとき、私の眷属になってもらうと言うことでどう?」
私の命が尽きるとき? 眷属?
意味は良く分かりませんが、私が死ぬときなら構わないでしょう。
そう思って契約を締結したのです。
アメリア様は最後に仰いました。
「全て私におまかせなさい。だから貴女は今まで通りで大丈夫ですよ。三ヶ月後には貴女の望みは叶うでしょう。」
と。
その後、すぐに殿下の周辺に変化があったのです。
今まで、殿下の女遊びの噂はあまり広まっておりませんでした。アメリア様の水鏡で見たようにあれだけ色んな女性と関係を持っていたにも関わらずです。
それにはどうやら殿下の火遊びの火消し役があったようです。
ですが、黒の貴婦人の元を訪れて数日後から殿下が平民と学園内で堂々とイチャイチャするようになったのです。
その目撃者は多数で、どんなに火消し役が頑張っても消化出来ないほどでした。
相手はケイティと言う名の平民。
ピンクのフワフワの髪にタレ気味の大きな瞳、小さなサクランボ色の唇は確かに愛らしい顔立ちと言えましょう。
天真爛漫さを絵に描いたような性格も男子生徒からは人気があったようです。
そんな女生徒に殿下は虜になってしまったようでした。
でも、私にはそれがとても不自然に思えました。
だって、アメリア様と契約を結んでから3日後にそんな事態になるなんて可笑しいと思いませんか? 私はこれは絶対彼女が裏で糸を引いていると推測しました。
私と殿下の婚約解消の手続きが済んだ後、何とケイティさんが侯爵家を訪れました。
普通でしたら私の婚約者を略奪した方ですから邸にはもちろん門の中にも入ることはないでしょう。
でも、私はケイティさんが何らかの接触をしてくるだろうと思っていたので事前に門番と従者達に彼女の特徴を伝え、現れたら通すように指示しておりました。
「お嬢様、ケイティと名乗る平民の女性が見えました。事前にお嬢様から教えて頂いた特徴通りの方です」
侍女からそのことを聞いて私は「やっぱり来たわね」と思い、私の考えが正しかったことを確信しました。
「こんにちは、リリアンナさん。私のこと待っててくれたようね」
ケイティさんも私が彼女を待っていたことが分かっていたようです。
「ええ、待っていたわ。ケイティさん。貴方のお陰で無事に婚約解消が叶いましたわ。アメリア様にお礼をいっておいて下さるかしら?」
そう、ケイティさんはアメリアさんにとってどんな立ち位置かは分かりませんが仲間であることは間違いないでしょう。
「リリアンナさんは最初から私がハニトラ要員だと分かっていたのね」
「ハニトラ要員?」
「ふふふっ、何でもないわ。リリアンナさんは深く考えなくて良いのよ。どうやら王太子殿下は廃嫡されるようね」
「廃嫡……そこまでは望んでいなかったんだけど」
「ああ、リリアンナさんは罪悪感を持たなくて大丈夫よ。全てはよそ見をした殿下に責任があるのだから。侯爵家の後ろ盾と優秀なリリアンナさんのサポートがなければ殿下の即位は厳しいだろうと以前から陛下と審議会で決められていたようなのよ。そんなことも理解していなかった方愚かなのだから」
「そう……ね」
ケイティさんは罪悪感を持たなくても大丈夫だと言ってくれたけど、私は殿下の将来を台無しにしてしまったことに少なからず後ろめたい気持ちになりました。
「そうそう、殿下はリリアンナさんと婚約したせいで廃嫡になったと思ってリリアンナさんと再婚約を画策していたようよ。しかも婚約破棄は私の計略だって言うのよ。まあ、実際そうなんだけど。本当に最低な男! 自分だって同意したくせに、上手くいかなければ人のせいにするなんて!」
「再婚約? なぜ……殿下の方から婚約破棄をされたのに……」
「でも大丈夫よ。それも潰して置いたから」
「そうなの。ありがとう」
私の中にあった小さな蟠りがケイティさんのお陰で霧散した。
「それと、最後に殿下に言ってやったわ。廃嫡された殿下なんて顔が良いだけの何の価値もない男だってね。とてもショックを受けていたけど改心するかしらね」
ケイティさんは黒い笑みを浮かべていましたが、私は見ない振りをしました。
その後、ケイティさんは学園のどこを捜してもいませんでした。初めから存在さえしなかったかのように消えてしまったのです。
それから私は、直ぐにお義兄様と婚約しました。他から婚約の打診が来ないようにする為です。それでも心配したお義兄様は卒業後に直ぐに婚姻を結びたいとお父様に懇願しました。もちろん、お父様は快諾してくれたのでした。
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