50 / 66
第三章 魔王様の専属シェフとお猫様の日常
魔王様の専属シェフは、愛猫を探す
しおりを挟む
速度を上げて港へと向かう私たちの船を、ヴァイスは執拗に追い掛けてくる。そして結界を壊そうとしているのか、時折ゴンゴンという鈍い音が辺りに響いていた。
「クッソ! こんだけ警戒音が鳴るってことは、コイツ本気で結界を破るつもりだぞ!」
ダニーさんが悪態をつきながら、結界を破られないようにするためか両手を広げて魔法を断続的に使用している。彼の体全体から放たれる光は先ほどよりも多く、眩しくて目を開けていられないほどだ。
「ダニー、もう少し堪えてください!」
「言われなくとも分かってるっての! それよりもジャル、ヴァイスの相手を頼めるか!?」
ヴァイスの相手、と言う言葉が聞こえてきて、私はこんな状況にも関わらず内心で首を傾げてしまった。
ここはまだ海の上だ。港へはまだ戻れないだろう。ジャル様もダニーさんも、船上でヴァイスを相手取るのは悪手だと言っていなかっただろうか。
そんな私の疑問など、もちろん二人は知る由もない。ジャル様は一度だけぐっ、と眉間にしわを寄せてから、ふぅ、と小さく息をついた。
「私がヴァイスの足止めをしている間に、アイラさんとマロンちゃんを安全に港まで送り届けてくださいね」
「それも分かってるっての!」
ダニーさんのその言葉が合図になったのだろう。ジャル様が一瞬のうちに姿を消してしまった。
「えっ、ジャル様!?」
姿が消えたことに頭の処理が追いつかず、私は思わず声を上げてしまう。この声を心配のものと受け止めたらしいダニーさんが、安心しろ、と先ほどよりは余裕のある声色で私に声をかけてきた。
「慌てる必要はないぜ、嬢ちゃん。俺の結界を超えてヴァイスの元へ向かっただけだ」
そうは言うが、ヴァイスの元というのはつまり、海の中ということだ。ジャル様は世界で一番強いらしいけれど、海の中という安定しない環境でその強さを発揮できるのだろうか。しかも相手は十エルトを超える大きさの海の神獣だ。ジャル様の身を案じてしまうのも仕方がないというものだった。
「……とりあえず、ヴァイスが結界にちょっかいをかけるのを止めてくれたみてーだな。おし、早く戻るぞ! 俺たちが海上にいたんじゃ、ジャルも安心してヴァイスを仕留められないからな」
「えっ、このまま戻るんですか?」
「ああ。ジャルもヴァイスを外海まで連れ出そうと誘導はしてくれるだろうが、それに素直に従ってくれないのが神獣だからな」
「す、素直に従ってくれないというのは……?」
「そりゃあ、魔族を見たら全力で攻撃してくるってやつだよ。ジャルも海中じゃあ地上ほど自由に身動き取れねえし」
「自由に身動きが取れないのなら、むしろダニーさんが応援に行く方がいいのでは……」
話を聞いて疑問に思ったことを尋ねると、ダニーさんは「あー」と若干言葉を濁す。その後しばらく何か思案して、おもむろに口を開いた。
「……ジャルはな、強すぎるんだよ。俺が全力で結界を張ってても、ヴァイスの攻撃に応戦した余波だけで破っちまうくらいには」
「……ヘあ?」
「まあ分かりやすく言うと、俺らがここにいるだけでジャルは戦えないんだよ。自分の攻撃で船を沈めちまうから」
「それは早く港に戻るしかありませんね!」
「分かってくれて何よりだぜ、お嬢ちゃん」
私たちがいるだけで足手まといどころかセルフ人質状態になっているのだと聞かされたら、もう理解するほかないだろう。
私はこれ以上ダニーさん、そしてジャル様を煩わせたくなかったので、何も言わないようにした。ヴァイスの相手をしているジャル様はもちろんだけど、ダニーさんも額に汗を滲ませながら必死に結界を維持している。二人の邪魔をしないことが、今の私ができる最善だった。
そういえば、ダニーさんとの話に夢中になってマロンのことをすっかり忘れていた。あの子はヴァイスの気配のせいか気が立っていたから、変なことをしていないか心配だ。
私は周囲を見回してマロンの姿が見えないことに気が付いて内心で慌てた。まさか海に飛び込んではいないとは思うけど、この船のどこかに身を隠しているとしたら探すのが大変だ。
客船よりは小さいとはいえ、他の漁船よりはずっと大きいこの船。その分、体の小さい猫が隠れることのできる場所も多い。警戒心が高まっているマロンが船員の人たちに手を出す前に探し出して、彼女を落ち着かせなければ。
「ダニーさん、マロンがどこかに隠れてしまったみたいなので、探してきます」
「おう、分かった。見つけたら船内に入っててくれ」
「はい」
ダニーさんにマロンを探しに行くということを伝えて、私は彼のそばを離れる。そしてマロンが隠れていそうなところを重点的に探すことにした。
「マロン、どこにいるの!」
名前を呼びながらマロンが隠れていそうな荷物の後ろなどを覗いて見るも、茶色のふわふわの毛玉は見つからない。前世でも今世でもマロンはあまり隠れんぼは得意な方ではなかったと思うんだけど、それは住んでいる家が狭かったり、隠れられる場所が少なかったからなのかもしれない。
こうも雑多に物が置かれている船では、猫の姿を見付けるだけでも一苦労だ。私の猫センサーも反応しないし、どこに行ってしまったのだろう。
「まさか本当に海に飛び込んじゃった……?」
最悪の想像をしてしまい、ざっと血の気が引いていくのを自覚する。ううん、きっと大丈夫。マロンは賢い子だから、無謀にも海に飛び込むなんてことはしないはずだ。
だけど、一度不安になったらどうしても気になってしまう。だから私は顔を上げて海の方を見た。
そこでようやく気が付いた。どうやら私はいつの間にか船尾の方に来ていたらしい。最初は船首の方にいたはずなのに、マロンを探しに夢中になってて気が付かなかった。
「……あれ?」
なんだろう、違和感がある。
「船員さんがいない……?」
いくら港に戻るために速度を上げているからって、ヴァイスの脅威があるのに船尾に見張りの一人もいないのはおかしくないだろうか。それに、やけに静かだ。
違和感の正体に思い至ったその時。
「ニィー……」
私の耳に、探し求めていたマロンの小さな鳴き声が届いた。
「マロン!」
鳴き声が聞こえてきた方に慌てて視線を向けると、そこには予想だにしていなかった神物が立っていて私は言葉を失ってしまった。
豊かな長い金髪を高い位置でくくり、こんがりと焼いてある小麦色の肌をした、まるで宝石のような金色の目を持っているこの世のものとは思えないほどに見目の美しい男。
「ハッハー! いやー、久しぶりだねぇ!」
役十八年ぶりに聞いたが、この軽い口調は忘れられるはずもない。
「ウォルフ、様」
私がこの世界に転生する原因ときっかけを作った張本人が、マロンの首根っこを掴んで軽薄な笑みを浮かべていた。
「クッソ! こんだけ警戒音が鳴るってことは、コイツ本気で結界を破るつもりだぞ!」
ダニーさんが悪態をつきながら、結界を破られないようにするためか両手を広げて魔法を断続的に使用している。彼の体全体から放たれる光は先ほどよりも多く、眩しくて目を開けていられないほどだ。
「ダニー、もう少し堪えてください!」
「言われなくとも分かってるっての! それよりもジャル、ヴァイスの相手を頼めるか!?」
ヴァイスの相手、と言う言葉が聞こえてきて、私はこんな状況にも関わらず内心で首を傾げてしまった。
ここはまだ海の上だ。港へはまだ戻れないだろう。ジャル様もダニーさんも、船上でヴァイスを相手取るのは悪手だと言っていなかっただろうか。
そんな私の疑問など、もちろん二人は知る由もない。ジャル様は一度だけぐっ、と眉間にしわを寄せてから、ふぅ、と小さく息をついた。
「私がヴァイスの足止めをしている間に、アイラさんとマロンちゃんを安全に港まで送り届けてくださいね」
「それも分かってるっての!」
ダニーさんのその言葉が合図になったのだろう。ジャル様が一瞬のうちに姿を消してしまった。
「えっ、ジャル様!?」
姿が消えたことに頭の処理が追いつかず、私は思わず声を上げてしまう。この声を心配のものと受け止めたらしいダニーさんが、安心しろ、と先ほどよりは余裕のある声色で私に声をかけてきた。
「慌てる必要はないぜ、嬢ちゃん。俺の結界を超えてヴァイスの元へ向かっただけだ」
そうは言うが、ヴァイスの元というのはつまり、海の中ということだ。ジャル様は世界で一番強いらしいけれど、海の中という安定しない環境でその強さを発揮できるのだろうか。しかも相手は十エルトを超える大きさの海の神獣だ。ジャル様の身を案じてしまうのも仕方がないというものだった。
「……とりあえず、ヴァイスが結界にちょっかいをかけるのを止めてくれたみてーだな。おし、早く戻るぞ! 俺たちが海上にいたんじゃ、ジャルも安心してヴァイスを仕留められないからな」
「えっ、このまま戻るんですか?」
「ああ。ジャルもヴァイスを外海まで連れ出そうと誘導はしてくれるだろうが、それに素直に従ってくれないのが神獣だからな」
「す、素直に従ってくれないというのは……?」
「そりゃあ、魔族を見たら全力で攻撃してくるってやつだよ。ジャルも海中じゃあ地上ほど自由に身動き取れねえし」
「自由に身動きが取れないのなら、むしろダニーさんが応援に行く方がいいのでは……」
話を聞いて疑問に思ったことを尋ねると、ダニーさんは「あー」と若干言葉を濁す。その後しばらく何か思案して、おもむろに口を開いた。
「……ジャルはな、強すぎるんだよ。俺が全力で結界を張ってても、ヴァイスの攻撃に応戦した余波だけで破っちまうくらいには」
「……ヘあ?」
「まあ分かりやすく言うと、俺らがここにいるだけでジャルは戦えないんだよ。自分の攻撃で船を沈めちまうから」
「それは早く港に戻るしかありませんね!」
「分かってくれて何よりだぜ、お嬢ちゃん」
私たちがいるだけで足手まといどころかセルフ人質状態になっているのだと聞かされたら、もう理解するほかないだろう。
私はこれ以上ダニーさん、そしてジャル様を煩わせたくなかったので、何も言わないようにした。ヴァイスの相手をしているジャル様はもちろんだけど、ダニーさんも額に汗を滲ませながら必死に結界を維持している。二人の邪魔をしないことが、今の私ができる最善だった。
そういえば、ダニーさんとの話に夢中になってマロンのことをすっかり忘れていた。あの子はヴァイスの気配のせいか気が立っていたから、変なことをしていないか心配だ。
私は周囲を見回してマロンの姿が見えないことに気が付いて内心で慌てた。まさか海に飛び込んではいないとは思うけど、この船のどこかに身を隠しているとしたら探すのが大変だ。
客船よりは小さいとはいえ、他の漁船よりはずっと大きいこの船。その分、体の小さい猫が隠れることのできる場所も多い。警戒心が高まっているマロンが船員の人たちに手を出す前に探し出して、彼女を落ち着かせなければ。
「ダニーさん、マロンがどこかに隠れてしまったみたいなので、探してきます」
「おう、分かった。見つけたら船内に入っててくれ」
「はい」
ダニーさんにマロンを探しに行くということを伝えて、私は彼のそばを離れる。そしてマロンが隠れていそうなところを重点的に探すことにした。
「マロン、どこにいるの!」
名前を呼びながらマロンが隠れていそうな荷物の後ろなどを覗いて見るも、茶色のふわふわの毛玉は見つからない。前世でも今世でもマロンはあまり隠れんぼは得意な方ではなかったと思うんだけど、それは住んでいる家が狭かったり、隠れられる場所が少なかったからなのかもしれない。
こうも雑多に物が置かれている船では、猫の姿を見付けるだけでも一苦労だ。私の猫センサーも反応しないし、どこに行ってしまったのだろう。
「まさか本当に海に飛び込んじゃった……?」
最悪の想像をしてしまい、ざっと血の気が引いていくのを自覚する。ううん、きっと大丈夫。マロンは賢い子だから、無謀にも海に飛び込むなんてことはしないはずだ。
だけど、一度不安になったらどうしても気になってしまう。だから私は顔を上げて海の方を見た。
そこでようやく気が付いた。どうやら私はいつの間にか船尾の方に来ていたらしい。最初は船首の方にいたはずなのに、マロンを探しに夢中になってて気が付かなかった。
「……あれ?」
なんだろう、違和感がある。
「船員さんがいない……?」
いくら港に戻るために速度を上げているからって、ヴァイスの脅威があるのに船尾に見張りの一人もいないのはおかしくないだろうか。それに、やけに静かだ。
違和感の正体に思い至ったその時。
「ニィー……」
私の耳に、探し求めていたマロンの小さな鳴き声が届いた。
「マロン!」
鳴き声が聞こえてきた方に慌てて視線を向けると、そこには予想だにしていなかった神物が立っていて私は言葉を失ってしまった。
豊かな長い金髪を高い位置でくくり、こんがりと焼いてある小麦色の肌をした、まるで宝石のような金色の目を持っているこの世のものとは思えないほどに見目の美しい男。
「ハッハー! いやー、久しぶりだねぇ!」
役十八年ぶりに聞いたが、この軽い口調は忘れられるはずもない。
「ウォルフ、様」
私がこの世界に転生する原因ときっかけを作った張本人が、マロンの首根っこを掴んで軽薄な笑みを浮かべていた。
0
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
初めから離婚ありきの結婚ですよ
ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。
嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。
ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ!
ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
【書籍化決定】断罪後の悪役令嬢に転生したので家事に精を出します。え、野獣に嫁がされたのに魔法が解けるんですか?
氷雨そら
恋愛
皆さまの応援のおかげで、書籍化決定しました!
気がつくと怪しげな洋館の前にいた。後ろから私を乱暴に押してくるのは、攻略対象キャラクターの兄だった。そこで私は理解する。ここは乙女ゲームの世界で、私は断罪後の悪役令嬢なのだと、
「お前との婚約は破棄する!」というお約束台詞が聞けなかったのは残念だったけれど、このゲームを私がプレイしていた理由は多彩な悪役令嬢エンディングに惚れ込んだから。
しかも、この洋館はたぶんまだ見ぬプレミアム裏ルートのものだ。
なぜか、新たな婚約相手は現れないが、汚れた洋館をカリスマ家政婦として働いていた経験を生かしてぴかぴかにしていく。
そして、数日後私の目の前に現れたのはモフモフの野獣。そこは「野獣公爵断罪エンド!」だった。理想のモフモフとともに、断罪後の悪役令嬢は幸せになります!
✳︎ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる