30 / 66
第二章 田舎娘とお猫様の初めての都会
田舎娘は、大変なことを聞かされる
しおりを挟む
一人わたわたと食事の準備をしていると、いつの間にか太陽も傾き始めていた。
「うわ、もうこんな時間!」
もうすぐジャル様とリオン様が隣の部屋にやって来る。とうとう私の初仕事の成果をお披露目する時がきたのだ。
「ええと、プリンは無事に出来上がったから氷で冷やしてるし、スープは温めて器に注ぐだけ。ハンバーグも下準備はバッチリだし、お魚のフライも揚げるだけ。チキンライスも準備できてる。あとは卵で包むだけだけど、せっかくだから出来立てを食べてもらいたいし……」
指を折りながら口に出してこれからの流れを確認する。お皿と、あと飲み物の準備。他にはナイフとフォーク、スプーンはオムライス用とプリン用の二つが必要だね。
パタパタとなるべく埃を立てないように走り回っていると、即席ベッドで丸くなっていたマロンがぐぐっ、と伸びをしてにゃあ、と鳴いた。
「マロン?」
「ニッ」
彼女は私を見上げて尻尾をピンと立てると、ベッドから出てトコトコと厨房の出入り口まで歩いて行く。そしてドアの前でお行儀良くお座りすると、また短く鳴いた。
「どうしたの?」
マロンの行動が気になって駆け寄ると、ドアの向こうが何やら騒がしいことに気が付く。いったい何があったのだろう、私がそんなありきたりな疑問を抱くのと同時に、ドアの向こうからサディさんの声が聞こえてきた。
「アイラ、いるかい!?」
普段の彼女の様子からは考えられない真剣でありつつ慌てた声に、私は急いでドアを開けた。
「サディさん、どうしたんですか?」
「わあっ、いい匂い! ……じゃなかった! アイラには悪いんだけど、今日の食事会は中止になったことを伝えに来たんだ」
一瞬だけ普段のサディさんに戻ったけれど、すぐに真面目な態度に切り替わる。これはひょっとしなくても、かなり大変な状況なのではないだろうか。
少しだけ張り詰めた空気が辺りに漂う。そのせいか私の背筋もピンと伸びた。
サディさんは一度だけ短く咳払いをすると、申し訳なさそうに眉尻を下げて私の目をまっすぐに見つめてくる。相変わらず顔がいい、なんてことを頭の片隅で考えてしまいそうになったその時、サディさんが口を開いた。
「実は、人族の国が魔王国に喧嘩吹っ掛けてきてさ……」
「え……?」
喧嘩を吹っ掛けてきたって地味に軽いノリで言っているけれど、それってつまり戦争を仕掛けてきたということだよね?
不安になってサディさんを見れば、彼女はぷう、と頬を膨らませている。その表情はまるで子供のようで、私は拍子抜けしてしまった。先ほどまで抱いていた緊迫感も霧散してしまうというものだろう。
そう考えた私はどうやら正しかったらしい。
「もう、今何時だと思ってるんだよアイツら! しかもよりによって今日!」
「え、怒るところそこですか?」
サディさんも、なんだかズレていると思われることを口走る。
私の口をついて出た言葉を耳にしたサディさんは、そりゃそうさ! といつも以上に大仰な身振り手振りでここに来るに至った経緯を話し始めた。
「もうすぐ夕食の時間だって時に、人族の……たぶんアレ勇者とか呼ばれてる連中かな、そいつらが国境付近の砦を攻撃し始めたって連絡が入ったんだよ。ジャルの奴、今日の夕食を楽しみにしてたのに、それを邪魔される形になったワケじゃん?」
「はぁ」
ワケじゃん? と聞かれても。
私はなんて答えたらいいのか分からず生返事をする。この返事を相槌と受け取ったのか、サディさんはそれでさ、と言葉を続けた。
「アイツ、たぶん百年ぶりくらいにブチ切れてたんだよね」
一瞬思考が停止したと思う。だって、サディさんの口から飛び出したその言葉はそれほどまでに耳を疑うものだったのだ。
「え、あの温厚の塊みたいなジャル様がですか?」
「そう、あの全力でぶん殴ったら怒りはしてもブチ切れはしないジャルが、ブチ切れた。それだけアイラの料理が楽しみだったんだよ」
私の料理を楽しみにしてくれていることは素直に嬉しいけれど、今はそんな話をしている場合じゃない。
ジャル様がサディさんの言う通りに『ブチ切れ』たら、その人族の勇者とかいう人たちはどうなってしまうのだろう?
「あの、私が聞くようなことではないとは思うんですけど、ジャル様は今どちらに?」
「ああ、アイツなら現地に行ったよ。魔王ともなると世界中どこでも一瞬で行けるし」
「うわあ」
「今頃勇者たちを制圧し終わってるんじゃない? ジャルってば普段が温厚だから忘れがちだけど、アイツ、たぶん今はこの世界で一番強いし」
衝撃の事実である。
いや、ジャル様は魔王様なんだから、そりゃあ強いとはぼんやりとは思ってたよ。だけどまさか、この世界で一番強いだなんて。
「正直な話、人族と魔族じゃあ、生物的に強さが違いすぎて勝負にならないんだよ。いくらウォルフが『オルカリム』を授けたとしてもね」
「そうなんですか?」
「ああ。アイラにも分かりやすく話をすると、マロンがいい例だよ。あの子、軽く小突いてボクたちを吹っ飛ばす力を持ってるけど、でもそれだけじゃないか。致命傷にならないんだよ」
「……ああ!」
言われてみれば確かにそうだ。マロンは今まで散々魔獣とかサディさんとか、他の魔族の人とかサディさんとか、サディさんとかに対して幾度となくネコパンチを放ってきたけれど、彼らは勢い良く吹き飛ぶだけで直接的な怪我をしている様子はなかった。いや、吹き飛ぶのも大概だけど。
「もしもマロンのパンチにあの現象通りの威力があったら、さすがの魔族でも怪我だけじゃ済まないよ」
「うう、マロンがいつもご迷惑をおかけして申し訳ありません……」
これはさすがに謝った方がいい。もちろんいつも謝罪してたけど、マロンのネコパンチの危険性について正しく認識していなかったから。結果的には魔族の人たち相手ならそこまでの危険は無いみたいだけどね。
私が平謝りし始めたからだろう、サディさんは一瞬だけ目を丸くした。
「え? あ、いや、それについては気にしないで! ボクらはなんともないから」
「でも」
「でもじゃなーい。はい、この話はおしまい! それより、今は今後の流れの共有だよ。実はさ、食事会は中止になったんだけど、食事は中止になってないんだよね」
……うん? 食事会は中止になったけれど、食事は中止になっていない? え、いったいどういう意味?
いまいち理解できなかったので、私はサディさんに尋ねた。
「あの、どういう意味ですか?」
「あー……実はさ、今回の襲撃を受けてリオンもジャルに『一緒に行こうか』って提案したんだよ。だけど、リオンにも王としての立場があるからさ、魔王国からの支援要請がない限りは来なくていいってジャルが言ったんだ」
「なるほど」
「つまり、リオンはまだこの城に残ってるんだよ。だけど、夕食は厨房では準備していない。この意味、分かるよね?」
……私が今日必死に作った料理を、リオン様だけに提供することになった、と。
「えっと、うん、初めからリオン様にも召し上がっていただくように作っていたけれど……」
とはいえ、私の味方であろうジャル様が食事の席にいないというのは、心細いというか胃がキュッてなるというか。
「すっごく緊張する」
私のこの言葉を聞いたサディさんの目がキラリと光り、待ってましたと言わんばかりの笑顔を浮かべた。
「だよね? 実はそう思ってさ、ボクも一緒にご飯を食べていいかい!?」
「サディさん、もしかしなくてもそれが目的で私の所に来ました?」
「当たり前じゃないか!」
えっへん! と、サディさんはまるで子供が得意げに胸を張るかのような動作をする。まったく、この人はどんな状況でも変わらないな。
私はホッと息をつく。どうやら普段通りのサディさんを見て緊張が解れたようだ。
「ふふ。それでは、今から最後の仕上げに取り掛かりますね」
「わーい! それじゃ、もう少ししたらリオンを連れてくるよ! いやあ、楽しみだなぁ!」
ルンルンと今にもスキップをしそうな足取りで、サディさんは一度ここから離れて行った。
よし、それじゃ、今からハンバーグを焼いて、魚のフライも揚げて、チキンライスも軽く炒めて温めて、スープにも火を入れて、卵もたくさん準備しないと。
今後の段取りを頭の中でまとめてから、私は早速作業に取り掛かった。
「うわ、もうこんな時間!」
もうすぐジャル様とリオン様が隣の部屋にやって来る。とうとう私の初仕事の成果をお披露目する時がきたのだ。
「ええと、プリンは無事に出来上がったから氷で冷やしてるし、スープは温めて器に注ぐだけ。ハンバーグも下準備はバッチリだし、お魚のフライも揚げるだけ。チキンライスも準備できてる。あとは卵で包むだけだけど、せっかくだから出来立てを食べてもらいたいし……」
指を折りながら口に出してこれからの流れを確認する。お皿と、あと飲み物の準備。他にはナイフとフォーク、スプーンはオムライス用とプリン用の二つが必要だね。
パタパタとなるべく埃を立てないように走り回っていると、即席ベッドで丸くなっていたマロンがぐぐっ、と伸びをしてにゃあ、と鳴いた。
「マロン?」
「ニッ」
彼女は私を見上げて尻尾をピンと立てると、ベッドから出てトコトコと厨房の出入り口まで歩いて行く。そしてドアの前でお行儀良くお座りすると、また短く鳴いた。
「どうしたの?」
マロンの行動が気になって駆け寄ると、ドアの向こうが何やら騒がしいことに気が付く。いったい何があったのだろう、私がそんなありきたりな疑問を抱くのと同時に、ドアの向こうからサディさんの声が聞こえてきた。
「アイラ、いるかい!?」
普段の彼女の様子からは考えられない真剣でありつつ慌てた声に、私は急いでドアを開けた。
「サディさん、どうしたんですか?」
「わあっ、いい匂い! ……じゃなかった! アイラには悪いんだけど、今日の食事会は中止になったことを伝えに来たんだ」
一瞬だけ普段のサディさんに戻ったけれど、すぐに真面目な態度に切り替わる。これはひょっとしなくても、かなり大変な状況なのではないだろうか。
少しだけ張り詰めた空気が辺りに漂う。そのせいか私の背筋もピンと伸びた。
サディさんは一度だけ短く咳払いをすると、申し訳なさそうに眉尻を下げて私の目をまっすぐに見つめてくる。相変わらず顔がいい、なんてことを頭の片隅で考えてしまいそうになったその時、サディさんが口を開いた。
「実は、人族の国が魔王国に喧嘩吹っ掛けてきてさ……」
「え……?」
喧嘩を吹っ掛けてきたって地味に軽いノリで言っているけれど、それってつまり戦争を仕掛けてきたということだよね?
不安になってサディさんを見れば、彼女はぷう、と頬を膨らませている。その表情はまるで子供のようで、私は拍子抜けしてしまった。先ほどまで抱いていた緊迫感も霧散してしまうというものだろう。
そう考えた私はどうやら正しかったらしい。
「もう、今何時だと思ってるんだよアイツら! しかもよりによって今日!」
「え、怒るところそこですか?」
サディさんも、なんだかズレていると思われることを口走る。
私の口をついて出た言葉を耳にしたサディさんは、そりゃそうさ! といつも以上に大仰な身振り手振りでここに来るに至った経緯を話し始めた。
「もうすぐ夕食の時間だって時に、人族の……たぶんアレ勇者とか呼ばれてる連中かな、そいつらが国境付近の砦を攻撃し始めたって連絡が入ったんだよ。ジャルの奴、今日の夕食を楽しみにしてたのに、それを邪魔される形になったワケじゃん?」
「はぁ」
ワケじゃん? と聞かれても。
私はなんて答えたらいいのか分からず生返事をする。この返事を相槌と受け取ったのか、サディさんはそれでさ、と言葉を続けた。
「アイツ、たぶん百年ぶりくらいにブチ切れてたんだよね」
一瞬思考が停止したと思う。だって、サディさんの口から飛び出したその言葉はそれほどまでに耳を疑うものだったのだ。
「え、あの温厚の塊みたいなジャル様がですか?」
「そう、あの全力でぶん殴ったら怒りはしてもブチ切れはしないジャルが、ブチ切れた。それだけアイラの料理が楽しみだったんだよ」
私の料理を楽しみにしてくれていることは素直に嬉しいけれど、今はそんな話をしている場合じゃない。
ジャル様がサディさんの言う通りに『ブチ切れ』たら、その人族の勇者とかいう人たちはどうなってしまうのだろう?
「あの、私が聞くようなことではないとは思うんですけど、ジャル様は今どちらに?」
「ああ、アイツなら現地に行ったよ。魔王ともなると世界中どこでも一瞬で行けるし」
「うわあ」
「今頃勇者たちを制圧し終わってるんじゃない? ジャルってば普段が温厚だから忘れがちだけど、アイツ、たぶん今はこの世界で一番強いし」
衝撃の事実である。
いや、ジャル様は魔王様なんだから、そりゃあ強いとはぼんやりとは思ってたよ。だけどまさか、この世界で一番強いだなんて。
「正直な話、人族と魔族じゃあ、生物的に強さが違いすぎて勝負にならないんだよ。いくらウォルフが『オルカリム』を授けたとしてもね」
「そうなんですか?」
「ああ。アイラにも分かりやすく話をすると、マロンがいい例だよ。あの子、軽く小突いてボクたちを吹っ飛ばす力を持ってるけど、でもそれだけじゃないか。致命傷にならないんだよ」
「……ああ!」
言われてみれば確かにそうだ。マロンは今まで散々魔獣とかサディさんとか、他の魔族の人とかサディさんとか、サディさんとかに対して幾度となくネコパンチを放ってきたけれど、彼らは勢い良く吹き飛ぶだけで直接的な怪我をしている様子はなかった。いや、吹き飛ぶのも大概だけど。
「もしもマロンのパンチにあの現象通りの威力があったら、さすがの魔族でも怪我だけじゃ済まないよ」
「うう、マロンがいつもご迷惑をおかけして申し訳ありません……」
これはさすがに謝った方がいい。もちろんいつも謝罪してたけど、マロンのネコパンチの危険性について正しく認識していなかったから。結果的には魔族の人たち相手ならそこまでの危険は無いみたいだけどね。
私が平謝りし始めたからだろう、サディさんは一瞬だけ目を丸くした。
「え? あ、いや、それについては気にしないで! ボクらはなんともないから」
「でも」
「でもじゃなーい。はい、この話はおしまい! それより、今は今後の流れの共有だよ。実はさ、食事会は中止になったんだけど、食事は中止になってないんだよね」
……うん? 食事会は中止になったけれど、食事は中止になっていない? え、いったいどういう意味?
いまいち理解できなかったので、私はサディさんに尋ねた。
「あの、どういう意味ですか?」
「あー……実はさ、今回の襲撃を受けてリオンもジャルに『一緒に行こうか』って提案したんだよ。だけど、リオンにも王としての立場があるからさ、魔王国からの支援要請がない限りは来なくていいってジャルが言ったんだ」
「なるほど」
「つまり、リオンはまだこの城に残ってるんだよ。だけど、夕食は厨房では準備していない。この意味、分かるよね?」
……私が今日必死に作った料理を、リオン様だけに提供することになった、と。
「えっと、うん、初めからリオン様にも召し上がっていただくように作っていたけれど……」
とはいえ、私の味方であろうジャル様が食事の席にいないというのは、心細いというか胃がキュッてなるというか。
「すっごく緊張する」
私のこの言葉を聞いたサディさんの目がキラリと光り、待ってましたと言わんばかりの笑顔を浮かべた。
「だよね? 実はそう思ってさ、ボクも一緒にご飯を食べていいかい!?」
「サディさん、もしかしなくてもそれが目的で私の所に来ました?」
「当たり前じゃないか!」
えっへん! と、サディさんはまるで子供が得意げに胸を張るかのような動作をする。まったく、この人はどんな状況でも変わらないな。
私はホッと息をつく。どうやら普段通りのサディさんを見て緊張が解れたようだ。
「ふふ。それでは、今から最後の仕上げに取り掛かりますね」
「わーい! それじゃ、もう少ししたらリオンを連れてくるよ! いやあ、楽しみだなぁ!」
ルンルンと今にもスキップをしそうな足取りで、サディさんは一度ここから離れて行った。
よし、それじゃ、今からハンバーグを焼いて、魚のフライも揚げて、チキンライスも軽く炒めて温めて、スープにも火を入れて、卵もたくさん準備しないと。
今後の段取りを頭の中でまとめてから、私は早速作業に取り掛かった。
0
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
【書籍化決定】断罪後の悪役令嬢に転生したので家事に精を出します。え、野獣に嫁がされたのに魔法が解けるんですか?
氷雨そら
恋愛
皆さまの応援のおかげで、書籍化決定しました!
気がつくと怪しげな洋館の前にいた。後ろから私を乱暴に押してくるのは、攻略対象キャラクターの兄だった。そこで私は理解する。ここは乙女ゲームの世界で、私は断罪後の悪役令嬢なのだと、
「お前との婚約は破棄する!」というお約束台詞が聞けなかったのは残念だったけれど、このゲームを私がプレイしていた理由は多彩な悪役令嬢エンディングに惚れ込んだから。
しかも、この洋館はたぶんまだ見ぬプレミアム裏ルートのものだ。
なぜか、新たな婚約相手は現れないが、汚れた洋館をカリスマ家政婦として働いていた経験を生かしてぴかぴかにしていく。
そして、数日後私の目の前に現れたのはモフモフの野獣。そこは「野獣公爵断罪エンド!」だった。理想のモフモフとともに、断罪後の悪役令嬢は幸せになります!
✳︎ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる