※R18 私との恋は本気ではなかったということでしょうか?

キリン

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無職になられては困ります。

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節くれだった大きな手が私のお尻を鷲掴みにして、自分の方へと引き寄せる。

私の上半身は壁押しつけられているのに、腰だけが高遠の方へと突き出している。それはまるで自ら陰部を差し出し、誘っているかのように見えて、羞恥を覚えた。

高遠は私の太腿から下腹部までをいやらしく揉みこむように撫で上げると、ショーツとストッキングを膝上まで一気にずり下げた。


秋夜の冷たい空気が、下腹部に直接纏うのを感じる。その時、始めて私は自分の身体が火照っていることに気付いた。

「…こんな酷くされてんのにメチャメチャ濡れてんじゃん」

そんな卑猥な言葉を私の耳元で囁きながら、高遠は既に湿り気を帯びている秘裂を撫であげ、指に蜜を纏わせた。そして、滑りを纏った指で、手前にある敏感な突起を円を描くように刺激し始める。


子宮の辺りが熱く溶け出すのを感じる。
まるで涎を垂らして飴玉を欲しがる幼子のように、私の内側が高遠のモノを欲しがり、蜜を垂れ流す。

「あっ!やっ!」

高遠の節くれだった長い指が膣内なかに入って来た。私のイイ所を探るように動きだし、浅く、深く、抽挿を繰り返す。その長い指にイイ所を擦り上げられれば、私の身体は喜びに震え、更に多くの蜜が溢れ出す。やがて、更なる快楽を拾いあげようと私の身体は独りでに動き出し、高遠が生み出すリズムに合わせて淫らなダンスを踊り始める。

高遠が与える甘美な愉楽に、徐々に力が入らなくなっていく。今にも崩れ落ちそうな私を見て小さく舌打ちすると、高遠は押さえていた手を離し、私の身体を反転させた。そして、上半身を壁に寄りかからせ、腰だけを持ち上げるように引きあげた。

私が縋るように目の前の壁へと爪を立てた時、高遠が背後から私の膣内なかに入ってきた。
高遠の猛々しいペニスが私の膣内なかを抉る度に、私の理性を溶かす高温の熱が子宮の辺りに溜まっていく。その熱が血流にのって全身に巡っているのか、冷え込みの強い秋夜でも私の肌は汗ばんでいた。


――静まり返った室内には、ただ一対の雌雄が織り出す荒い息遣いと肌がぶつかる音だけが響いていた。


私は与えられる快楽に陶然としながらも、ドア一枚隔てた向こうはいつ誰が通るか分からない公共の場だと、しきりに声を我慢していた。

だが、そんな私を嘲笑うように、子宮の辺りに蓄積された悦楽の熱が風船のように膨らみ始めた。それに併せて、私の膣内なかはキュウキュウと高遠を締め付け、更に奥へと誘うように蠢めき出す。
その風船はどんどんと大きく膨れ上がり、押し上げられた私は奇妙な浮遊感を覚えた。少しの心許無さと甘い期待。

私はとうとう耐え切れず、「あぁー」という嬌声をあげた。
その瞬間、私を押し上げていた風船が割れて白い光が弾け飛んだ。高みから落下するように全身から力が抜け落ちる。


私が絶頂を迎えるのと同時に私を穿つ速度があがり、高遠の呼吸が早まった。そして「…出る」という小さな呟きが聞こえた瞬間、私の膣内なかで高遠の雄がピクピクッと痙攣するように動いたのを感じた。



***



「わりぃ。無理させた」

獣のような情交の後、私達は服が汚れるのも構わずに玄関口に座りこんでいた。
どうにか私の呼吸が整い始めた頃、高遠が罪悪感に塗れた声でそう小さく呟いた。

壁に背を預けてしゃがみこんでいる高遠は、両手で顔を覆っている。だからどんな表情をしているのか分からないけれど、肩が僅かに震えているように見えるから、もしかしたら泣いているのかも知れないとぼんやり思った。

「……俺、お前の事になるとダメなんだ。どうしても感情が先に突っ走っちまう」

「佑はちっとも駄目なんかじゃないよ?」

「いや駄目だろ?手に入らないうちは我慢も効いた。けど、実際手に入っちまうと、今度は失うのが怖くて仕方ねぇ。…頼む。俺から離れていかないでくれ…。冗談でも、別れるだなんて言わないでくれ…。
フッ。俺、超ウゼェ。めっちゃ重っ!」

自嘲的な台詞の最後の方は完全に涙声だった。私は高遠の前まで移動して、高遠の頭をそっと抱き締めた。

「…佑は駄目なんかじゃないよ?今回の件は私が悪いもの。私が佑の意見を聞きもせずに勝手に決めて、一方的に押し付けようとしたの。こんな自分本位じゃ、私も絢斗達のこと言えないね?
私、明日朝一で異動の話を取り消して来るよ。私だって佑と別れたくない。ずっと一緒にいたいと思ってる。佑を傷つけたくないし、ずっと笑ってて欲しい。これでも私、佑のことを本当に大切に思ってるんだよ?」

そう言いながら、私は高遠の少し硬い髪をそっと撫でた。

「…本当は俺も、あの人達には近づいて欲しくないんだ。お前に危害を加えられるのも嫌なんだけど。何よりも、あの人のお前を見る目が気に入らねぇ。
だから、お前があの人達と距離を取りたいって気持ちも分かるし。寧ろ、その気持ちを尊重してやりたい気持ちもある。だから…もしお前が本当に異動するつもりなら、俺もついてくわ!」

「は?…ついてくって、恋人同士で仲良く同じ所に異動なんてできないわよ?」

「そのくらい分かっとるわ!」

「いやだから、ついてくってどうやって…?」

「今、お前にプロポーズしたところで受けてもらえねーだろうし。お前、寿退社とかするタイプじゃねーだろ?だから、俺が会社を辞めて、お前についてく!」

「ん?佑が専業主夫になるってこと?家事能力ゼロなのに?」

確かに私は結婚しても仕事を辞める気ないけれど。でも、ハンバーグを炭化させる汚部屋の住人が専業主夫って…どうなの?

「いや、さすがに俺もお前に養ってもらおうなんて思ってねーよ!少しずつ覚えていくつもりだけど、一人で全部家事するとか絶対ぇ無理だし。だから、俺がお前の異動先近くの企業に転職すればいいんだよ!」

「…いやいや。今のご時世、そんな簡単に転職先なんか見つからないわよ?それに、あんた今抱えている仕事だってあるでしょ?ら取引きしてくれている顧客クライアントだっているわけだし。そういう人達を裏切るような真似をするのはどうかと…」

「俺の中で優先順位プライオリティが一番高いのはお前だ!所詮、会社の仕事なんてのは替えがきくんだよ!俺じゃなくても問題ない。最初は上手くいかない事もあるかも知れないけど、結局は他の人間でもできるんだよ。
けど、俺にとって、お前は替えがきかないんだ!お前にとっても、俺はそういう存在になりたいと思っている!だから、ついていく。心配すんな!転職先が決まるまではバイトをかけ持ちして、今と同じくらい稼ぐからさ!」

「バイト掛け持ちって…。バイトじゃそんなに稼げないでしょ?」

「ん?そうでもねーぞ?要は選ばなきゃいいんだよ!土木作業とか、工事現場の交通誘導とか。ああいうのって案外金になるんだぞ?あと、俺が学生時代にやってた着ぐるみの中の人とかな!あれ、メチャクチャ暑ぃけど、かなり稼げんぞ?」

先程まで泣いていたとは思えないくらい生き生きと語る高遠を見て、私は決意した。

「佑!私、やっぱり異動するのやめる!このまま佑と同じ職場で働きたいしね!」

「…は?だってお前、異動したいんだろ?だったら…」

「ああ。あれはほら、何て言うか…気の迷いだったのかな?
先週末からずっとあの人達に振り回されてきたから、さすがの私も正常な判断ができなくなってたみたい。けど、さっき佑とHしたせいか、気持ちがかなり復活してきたわ!異動の話はなしよ!なし! だから、佑も会社辞めないでね?」

私は畳み掛けるように言葉を重ねて、高遠を説得した。高遠は不満気に「異動先に引っ越すのを機に同棲に持ち込めるかと思ってたのに…」とブツブツ呟いていたが、もう異動なんて絶対にしない!

――だって、高遠に無職になられたら非常に困るもの!



***



その週の水曜日。
私に伝えられたのは、絢斗への処分が決定したという知らせだった。

――『異動』という名の左遷と『降格』

それは私が予想していたよりもかなり重いものだった。
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