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第61話:受け止め①
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細身の体型なのに、私の身体を支える腕は力強い。
初めて身体がしっかりと接触して、やっぱりルイ様も男性なんだと自覚する。
図書室で見つめ合ったときより、さらに強く胸が高鳴った。
心臓がドキドキと拍動するも、不思議と不快な感じはない。
むしろ、胸が膨らむような心地よさを感じる。
ルイ様は何も言わず、固まったまま私を見るばかりだ。
さらに何かが始まりそうな予感がするも、緊張と驚きで私の身体は少しも動かなかった。
「支えてくださってありがとうございます。あ、あの……ルイ様……?」
おずおずと尋ねるも、ルイ様は微動だにしない。
ふと、動かない理由に気づいた。
――そ、そうか……。私を抱えているから魔法文字を書けないんだ。
ルイ様はお話される代わりに魔法文字を書かれる。
私を抱えているから、両手が塞がっているのだ。
がっしりと支えなれており、私は動こうにも動けなかった。
「自分で歩けますので、そろそろ……。ルイ様が疲れてしまいます……」
正直なところ、最近身体が重くなってきた……気がする。
お屋敷の料理がおいしいから、いつもたくさん食べてしまうのだ。
己の重さが伝わるのはだいぶ恥ずかしい。
しかしルイ様は無言で首を振ると、ひょいっと私を抱え上げてしまった。
すいすいと背中と足を持たれ、ルイ様の腕の中に収まる。
何やら不思議な体勢だけど、他者視点の姿を想像したら顔に火がついた。
――こ、これは、まさか……!
俗に言う……お姫様抱っこの形だ。
自分がそのようなロマンあふれる様式で運搬されるとは、今の今までまったく思わなかった。
おまけに、先ほどより己の重さが直に伝わる形式となってしまった。
地面から浮いて支えがないからね。
どっと顔が熱くなる。
今なら枯れ枝に火がつけられそうだ。
「あ、あの~、ルイ様……自分で歩けますので……どうか、荷降ろしのほどを……」
どうにか蚊の鳴くような声でお願いするも、またもや無言で首を振られてしまった。
私を抱えたまま、ルイ様は堂々とお屋敷へ歩き出す。
みんなを見ると、なんかワクワクしていた。
エヴァちゃんもアレン君もマルグリットさんも、大変に瞳が輝いている。
ガルシオさんは前足を顔に当て、隙間からこっそり私たちを見る。
いかがわしいことは何もしていないのですが……。
もちろん否定する暇もなく、私たちはお屋敷に向かう。
おそらくルイ様の無詠唱魔法で玄関が開き、ロビーを通り、荷降ろししてくれることはなく、自室へと運搬された。
そっとベッドに寝かせられると、空中に魔法文字が描かれる。
〔具合は大丈夫か、ポーラ〕
「は、はい、問題ございません。運搬……ではなく、運んでいただき本当にありがとうございました」
〔きっと、疲れが溜まっていたのだろう。申し訳ない、無理をさせてしまったな〕
「い、いえっ! 今日“久遠の樹”を癒したいと言ったのは私ですからっ!」
ルイ様はベッド近くの椅子に座り、私を気遣ってくれる。
疲れているのはたしかだけど、そのお心遣いが一番の薬になりそうだった。
しばし沈黙が流れた後、ルイ様が落ち着くような筆跡で魔法文字を書かれる。
初めて身体がしっかりと接触して、やっぱりルイ様も男性なんだと自覚する。
図書室で見つめ合ったときより、さらに強く胸が高鳴った。
心臓がドキドキと拍動するも、不思議と不快な感じはない。
むしろ、胸が膨らむような心地よさを感じる。
ルイ様は何も言わず、固まったまま私を見るばかりだ。
さらに何かが始まりそうな予感がするも、緊張と驚きで私の身体は少しも動かなかった。
「支えてくださってありがとうございます。あ、あの……ルイ様……?」
おずおずと尋ねるも、ルイ様は微動だにしない。
ふと、動かない理由に気づいた。
――そ、そうか……。私を抱えているから魔法文字を書けないんだ。
ルイ様はお話される代わりに魔法文字を書かれる。
私を抱えているから、両手が塞がっているのだ。
がっしりと支えなれており、私は動こうにも動けなかった。
「自分で歩けますので、そろそろ……。ルイ様が疲れてしまいます……」
正直なところ、最近身体が重くなってきた……気がする。
お屋敷の料理がおいしいから、いつもたくさん食べてしまうのだ。
己の重さが伝わるのはだいぶ恥ずかしい。
しかしルイ様は無言で首を振ると、ひょいっと私を抱え上げてしまった。
すいすいと背中と足を持たれ、ルイ様の腕の中に収まる。
何やら不思議な体勢だけど、他者視点の姿を想像したら顔に火がついた。
――こ、これは、まさか……!
俗に言う……お姫様抱っこの形だ。
自分がそのようなロマンあふれる様式で運搬されるとは、今の今までまったく思わなかった。
おまけに、先ほどより己の重さが直に伝わる形式となってしまった。
地面から浮いて支えがないからね。
どっと顔が熱くなる。
今なら枯れ枝に火がつけられそうだ。
「あ、あの~、ルイ様……自分で歩けますので……どうか、荷降ろしのほどを……」
どうにか蚊の鳴くような声でお願いするも、またもや無言で首を振られてしまった。
私を抱えたまま、ルイ様は堂々とお屋敷へ歩き出す。
みんなを見ると、なんかワクワクしていた。
エヴァちゃんもアレン君もマルグリットさんも、大変に瞳が輝いている。
ガルシオさんは前足を顔に当て、隙間からこっそり私たちを見る。
いかがわしいことは何もしていないのですが……。
もちろん否定する暇もなく、私たちはお屋敷に向かう。
おそらくルイ様の無詠唱魔法で玄関が開き、ロビーを通り、荷降ろししてくれることはなく、自室へと運搬された。
そっとベッドに寝かせられると、空中に魔法文字が描かれる。
〔具合は大丈夫か、ポーラ〕
「は、はい、問題ございません。運搬……ではなく、運んでいただき本当にありがとうございました」
〔きっと、疲れが溜まっていたのだろう。申し訳ない、無理をさせてしまったな〕
「い、いえっ! 今日“久遠の樹”を癒したいと言ったのは私ですからっ!」
ルイ様はベッド近くの椅子に座り、私を気遣ってくれる。
疲れているのはたしかだけど、そのお心遣いが一番の薬になりそうだった。
しばし沈黙が流れた後、ルイ様が落ち着くような筆跡で魔法文字を書かれる。
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