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第58話:古代樹と詩①
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「さて……始めましょうか」
お屋敷に帰ると、お庭の掃除用具を片付けてから図書室に入った。
もちろん、“久遠の樹”を救う詩を書くためだ。
図書室は数十個の棚が並び、数え切れないほどの本が収められている。
古代樹についての本を見つけ、知識を蓄えよう。
今日中に完成させることを決意し、本棚に向かった。
棚は細かく分類されており、古の時代や植物のゾーンを重点的に探す。
タイトルやあらすじ、目次を見たりするも、少々困ることに気づいた。
パット見ただけでは、古代樹に関する本なのか判断が難しい。
内容を読まなければならないのだ。
本を読むのは好きだけど、早く詩を書きたいこともあって少しばかり焦ってしまう。
どうしよう……と思ったとき、広げた本の上に暗い影が落ちた。
「……あっ、ルイ様」
〔ポーラ、私にも手伝わせてほしい〕
目の前の空中に書かれたのは優しい筆跡の文字。
影の主はルイ様だった。
「い、いえ、しかし、ルイ様のお手を煩わせてしまうのは……」
〔別に気にしなくていい。今、古代樹に関する本を集める。ちょっと待っていなさい〕
ルイ様が空中でサッと手を動かすと、棚から自然に本が抜き出され、一冊一冊と近くの机に積み重なる。
あっという間に、十数冊の本が集まってしまった。
「す、すごい……これは何の魔法ですか?」
〔ただ、本を検索して集めるだけの魔法だ。古代樹に関する記述がある本だけ厳選した。一冊ずつ読んで探すのは手間がかかるだろう。ついでに、どこのページに書かれているか魔力の付箋をつけておく〕
「ありがとうございます! 詩を書くのが大変に捗ります!」
図書室なのに、大きな声で喜んでしまった。
“久遠の樹”のことを考えると、少しでも早く詩を書いてあげたい。
だから、時間を節約できて嬉しかったのだ。
本を開き、古代樹に関する知識を集める。
魔力の付箋があるおかげで、すぐにページを見つけられた。
まずは木の図鑑から読む。
どうやら、古代樹にも原種と亜種があるようだった。
ルイ様も隣に座ると、本を見ながら視界の隅っこに魔法文字を書く。
〔わからないことがあったら私に聞きなさい。答えられることなら、なんでも答えよう〕
「ありがとうございます。……では、さっそくですが、“久遠の樹”は原種と亜種のどちらになるんでしょうか」
〔原種だな。両親からは樹齢二千年ほどと聞いた〕
「二千年……。途方もない年月ですね」
思わずため息が漏れる。
長生きだとは思ったけど、想像以上の樹齢だった。
アングルヴァン家にとっても大切な樹だし、世界的に見ても貴重な樹だと改めて実感する。
ルイ様は思い出すように話を続ける。
お屋敷に帰ると、お庭の掃除用具を片付けてから図書室に入った。
もちろん、“久遠の樹”を救う詩を書くためだ。
図書室は数十個の棚が並び、数え切れないほどの本が収められている。
古代樹についての本を見つけ、知識を蓄えよう。
今日中に完成させることを決意し、本棚に向かった。
棚は細かく分類されており、古の時代や植物のゾーンを重点的に探す。
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パット見ただけでは、古代樹に関する本なのか判断が難しい。
内容を読まなければならないのだ。
本を読むのは好きだけど、早く詩を書きたいこともあって少しばかり焦ってしまう。
どうしよう……と思ったとき、広げた本の上に暗い影が落ちた。
「……あっ、ルイ様」
〔ポーラ、私にも手伝わせてほしい〕
目の前の空中に書かれたのは優しい筆跡の文字。
影の主はルイ様だった。
「い、いえ、しかし、ルイ様のお手を煩わせてしまうのは……」
〔別に気にしなくていい。今、古代樹に関する本を集める。ちょっと待っていなさい〕
ルイ様が空中でサッと手を動かすと、棚から自然に本が抜き出され、一冊一冊と近くの机に積み重なる。
あっという間に、十数冊の本が集まってしまった。
「す、すごい……これは何の魔法ですか?」
〔ただ、本を検索して集めるだけの魔法だ。古代樹に関する記述がある本だけ厳選した。一冊ずつ読んで探すのは手間がかかるだろう。ついでに、どこのページに書かれているか魔力の付箋をつけておく〕
「ありがとうございます! 詩を書くのが大変に捗ります!」
図書室なのに、大きな声で喜んでしまった。
“久遠の樹”のことを考えると、少しでも早く詩を書いてあげたい。
だから、時間を節約できて嬉しかったのだ。
本を開き、古代樹に関する知識を集める。
魔力の付箋があるおかげで、すぐにページを見つけられた。
まずは木の図鑑から読む。
どうやら、古代樹にも原種と亜種があるようだった。
ルイ様も隣に座ると、本を見ながら視界の隅っこに魔法文字を書く。
〔わからないことがあったら私に聞きなさい。答えられることなら、なんでも答えよう〕
「ありがとうございます。……では、さっそくですが、“久遠の樹”は原種と亜種のどちらになるんでしょうか」
〔原種だな。両親からは樹齢二千年ほどと聞いた〕
「二千年……。途方もない年月ですね」
思わずため息が漏れる。
長生きだとは思ったけど、想像以上の樹齢だった。
アングルヴァン家にとっても大切な樹だし、世界的に見ても貴重な樹だと改めて実感する。
ルイ様は思い出すように話を続ける。
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