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第54話:樹木医①
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「古の時代の結界魔法でも開いてしまうなんて、ポーラちゃんはすごい力の持ち主だ」
「【言霊】スキルは世界的に見ても類まれなスキルですね。そのうち、魔法学園から偉い人が調べに来ちゃうかもしれませんよ」
『さすがは俺たちのポーラだな。まさしく規格外の女性だ』
よく晴れた昼下がり、お庭を掃除しながら私はみんなに囲まれる。
“御影の書”の解読から一夜明け、いつもの日常が戻ってきた。
「ポーラちゃん、地下倉庫のお話を教えて」
「僕も姉さんも、気になって気になってしょうがないんですよ」
『俺だって気になるぞ。なにせ、一度も入ったことがないんだからな』
三人は興奮した様子で私に詰め寄る。
昨日はお屋敷に戻った後、すぐに仕事があったので、あまり詳しくは話せなかったのだ。
ルイ様から、話す分には別に構わないと言われていた。
私自身、あの貴重な時間を思い出すようにして、みんなにお話しする。
「階段の中は松明もないんだけど、ルイ様が魔法で照らしてくださって……地下にはアングルヴァン家に伝わる貴重なアイテムの数々が……」
「『うんうん!』」
階段を降りたときの別世界に来たような感覚や、地下倉庫に保管されていた価値あるアイテムたち、そして古の時代より伝わる“御影の書”……。
三人は目を輝かせて聞いていた。
古代魔法のことはまた今度、ルイ様の許可をいただいてからお話ししようと思う。
「……ルイ様のおかげで、私は本当に得難い経験をしました。一生忘れないでしょう」
「ポーラさんが羨ましいです。僕もいつか自分の目で見たいですね」
『そのうち、フェンリルのアイテムも発見されてほしいな』
アレン君とガルシオさんは楽しそうに話すも、エヴァちゃんは何やら深刻な顔だった。
なんだか心配になる。
「エヴァちゃん、どうしたの? 頭でも痛い?」
「やっぱり……地下倉庫は怖かった?」
「えっ……」
打って変わって、エヴァちゃんはワクワクした様子で尋ねる。
具合は悪くなさそうで安心したものの、ちょっとばかし拍子抜けした気分で応えた。
「暗かったけど、別に怖くはなかったよ。ルイ様もいらっしゃったし、貴重なアイテムも怖いというより荘厳で威厳のある物ばかりだったね」
「そうなんだ……」
正直に伝えるとしょんぼりしてしまったので、慌てて怖かったと伝え直す。
……そうだ、エヴァちゃんは怖がるのが好きなんだ。
「地下に続く階段はまるで地獄への階段のようで……眠りに就くアイテムが目覚めた瞬間を想像すると背筋が凍って……」
「やっぱり! ひぃぃ、おそろしやっ!」
頑張って低い声で話すと予想以上に怖がってくれた。
ふと、森の方を見ると、ルイ様がこっちに来るのが見える。
隣には、四角い鞄を携えた見知らぬ中年の女性がいた。
お客さんかな。
荷物をお持ちするため、エヴァちゃんたちと急ぐ。
ガルシオさんは驚かさないように、こっそりとお庭の花壇に隠れた。
「「こんにちはっ。お荷物お持ちします」」
「ありがとうよ。でも、大丈夫さ。見た目ほど重くはないからね」
女性は鳶色の髪を頭の後ろで一つに縛っており、キリッとした鳶色の目が力強い。
お歳は五十代半ばくらいかな。
ルイ様が魔法文字を書いて紹介してくれた。
「【言霊】スキルは世界的に見ても類まれなスキルですね。そのうち、魔法学園から偉い人が調べに来ちゃうかもしれませんよ」
『さすがは俺たちのポーラだな。まさしく規格外の女性だ』
よく晴れた昼下がり、お庭を掃除しながら私はみんなに囲まれる。
“御影の書”の解読から一夜明け、いつもの日常が戻ってきた。
「ポーラちゃん、地下倉庫のお話を教えて」
「僕も姉さんも、気になって気になってしょうがないんですよ」
『俺だって気になるぞ。なにせ、一度も入ったことがないんだからな』
三人は興奮した様子で私に詰め寄る。
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私自身、あの貴重な時間を思い出すようにして、みんなにお話しする。
「階段の中は松明もないんだけど、ルイ様が魔法で照らしてくださって……地下にはアングルヴァン家に伝わる貴重なアイテムの数々が……」
「『うんうん!』」
階段を降りたときの別世界に来たような感覚や、地下倉庫に保管されていた価値あるアイテムたち、そして古の時代より伝わる“御影の書”……。
三人は目を輝かせて聞いていた。
古代魔法のことはまた今度、ルイ様の許可をいただいてからお話ししようと思う。
「……ルイ様のおかげで、私は本当に得難い経験をしました。一生忘れないでしょう」
「ポーラさんが羨ましいです。僕もいつか自分の目で見たいですね」
『そのうち、フェンリルのアイテムも発見されてほしいな』
アレン君とガルシオさんは楽しそうに話すも、エヴァちゃんは何やら深刻な顔だった。
なんだか心配になる。
「エヴァちゃん、どうしたの? 頭でも痛い?」
「やっぱり……地下倉庫は怖かった?」
「えっ……」
打って変わって、エヴァちゃんはワクワクした様子で尋ねる。
具合は悪くなさそうで安心したものの、ちょっとばかし拍子抜けした気分で応えた。
「暗かったけど、別に怖くはなかったよ。ルイ様もいらっしゃったし、貴重なアイテムも怖いというより荘厳で威厳のある物ばかりだったね」
「そうなんだ……」
正直に伝えるとしょんぼりしてしまったので、慌てて怖かったと伝え直す。
……そうだ、エヴァちゃんは怖がるのが好きなんだ。
「地下に続く階段はまるで地獄への階段のようで……眠りに就くアイテムが目覚めた瞬間を想像すると背筋が凍って……」
「やっぱり! ひぃぃ、おそろしやっ!」
頑張って低い声で話すと予想以上に怖がってくれた。
ふと、森の方を見ると、ルイ様がこっちに来るのが見える。
隣には、四角い鞄を携えた見知らぬ中年の女性がいた。
お客さんかな。
荷物をお持ちするため、エヴァちゃんたちと急ぐ。
ガルシオさんは驚かさないように、こっそりとお庭の花壇に隠れた。
「「こんにちはっ。お荷物お持ちします」」
「ありがとうよ。でも、大丈夫さ。見た目ほど重くはないからね」
女性は鳶色の髪を頭の後ろで一つに縛っており、キリッとした鳶色の目が力強い。
お歳は五十代半ばくらいかな。
ルイ様が魔法文字を書いて紹介してくれた。
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