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第52話:特別②

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 さっそく、アイテムの近くに寄って見学させてもらう。
 鎧や剣の他にも、顔が映り込むほど磨き上げられた銀色の盾や、海のように澄んだ青色のポーションなど、見ただけで貴重だとわかるアイテムがいっぱいだった。
 盾は表面がピカピカだし、魔法を反射する力があるのかな……ポーションは一口飲んだだけでどんな怪我も治ってしまいそう……。
 色々と楽しい妄想を膨らませ、感じた印象や造形の詳細など隈なくメモを取る。

 しばらく熱心に見て、数十分は経ったと思われる頃。
 あの小さな扉が開き、ルイ様が静かに出てきた。
 ノートを閉じて駆け寄る。

「お疲れ様です、ルイ様。"御影の書”の解読はどうでしたか?」
〔まだほんの序盤だが、思ったより早く進められそうだ。保存状態もよいから、内容が理解しやすい〕
「よかったです! 古代文字が読めるなんて、やっぱりルイ様はすごい魔法使いなのですね」

 私も古の時代について勉強したことがあるけど、とても難しかった。
 絵に近い文字で情報を伝えるらしく、意味の判別が困難なのだ。

〔いや、私より君の方が何倍もすごい。古代魔法の結界を解除したのだから。そんなスキルを使える人間は、私も初めて見た〕
「ルイ様が"御影の書”について詳しく教えてくださったからです。きっと、私一人では解除できませんでした」

 【言霊】スキルは、相手について知れば知るほど効果を増す。
 ルイ様の深い知識があってこそだった。

〔ポーラ、解読を手伝ってくれたお礼がしたい。"御影の書"を読んだら、面白そうな古代魔法をがあってな。君に見せようと思う〕
「えっ、古代魔法を見せてくださるのですか!?」
〔ああ、そうだ〕

 古代魔法を見せたいと伝えられ、強い驚きとそれ以上の嬉しさを感じる。
 ぜひ拝見したかったけど、次の瞬間にはやはり遠慮したい気持ちとなった。

「しかし……私などが最初に見てもよろしいのでしょうか。王様などの偉い方に見ていただいた方が……」

 古代魔法は、未だかつて国内で使われたことがないと聞く。
 そのような貴重な魔法は、それこそ王様などの高貴な方々に見てもらった方がいいんじゃないだろうか。
 私の話に、ルイ様はゆっくりと魔法文字を書いた。
 優しく包み込むような筆跡で。

〔今回の一番の功労者は君だ。最初に見る権利は十分にある。何より……君に一番見てほしいんだ〕
 
 じわじわと胸に嬉しさがあふれる。
 喜びで何も言えず、笑顔でこくりとうなずいた。
 ルイ様はゆっくりと右手を上に向けると、金色の粒子が少しずつ生み出された。
 徐々に形を作り、ペガサスやユニコーン、グリフォンなど……伝説に聞く生き物の姿となって私たちの周りを飛び回る。
 身体は魔力の粒子でできており、動くたびキラキラと幻想的な光が煌めく。
 今まで見たこともない荘厳な美しさに、心が打たれた。
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