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第45話:新しい仕事①
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「ポーラさん、おはようございます! おかげさまでとてもよく眠れましたよ! 悪夢なんか少しも見ませんでした!」
翌日、朝ごはんの前にエヴァちゃんと花壇の手入れをしていると、アレン君が私のところに来て嬉しそうに報告してくれた。
黒々とした目のくまもすっかり消え失せ、お肌はツヤツヤだ。
いつもの元気なアレン君に戻っていた。
「よく眠れて良かったわ。眠れないのはとても辛いものね」
「ポーラさんがいなかったら、僕は今日も寝不足で倒れていたかもしれません。ポーラさんは僕の救世主と言っても差し支えありませんね」
「そんな……ちょっと大げさだよ」
「いえいえ、事実ですから」
アレン君は土で汚れるのも構わず、私の手を力強く握る。
まるで雲に包まれたように安らかで、あらゆる疲れが吹き飛んでしまったそうだ。
彼の弾ける笑顔から、本当に熟睡できたことが伝わる。
――悪夢から解放されてよかった……。
心の中で静かにホッとする。
もう怖い夢を見ることはないだろうけど、もしまた見てしまったときは【言霊】スキルを使おう。
エヴァちゃんもまた、そんな私たちを温かく見ていた。
「ポーラちゃん、アレンの悪夢を祓ってくれて本当にありがとう。アレンの姉としても、改めてお礼を言わせてもらうわ」
「【言霊】スキルが効いてくれて私も安心したよ」
感謝されるたび、私も嬉しくなる。
頑張って良かったな。
アレン君はエヴァちゃんを見ると、照れくさそうに言った。
「姉さんも……僕を心配してくれてありがとう。なんだか、姉さんの夢を見たような気がするよ」
「あんたは生意気だけど、これでも大事に思ってるんだからね。また困ったことがあったら言いなさいよ」
話す二人の視線はとても柔らかい。
日頃から、互いに大事に思っているのだろう。
姉弟っていいな。
そう微笑ましく感じたとき、お屋敷の玄関が開かれた。
ルイ様がこちらにいらっしゃる。
私たちは服の土を払う。
〔みな、おはよう〕
「「おはようございます、ルイさ(辺境伯さ)……」」
「辺境伯様、おはようございます! 昨日は休みをいただき誠にありがとうございました!」
私とエヴァちゃんが言い終わる前に、アレン君が大きな声で挨拶する。
ルイ様も薄っすらと安堵の表情を浮かべて魔法文字を書かれる。
翌日、朝ごはんの前にエヴァちゃんと花壇の手入れをしていると、アレン君が私のところに来て嬉しそうに報告してくれた。
黒々とした目のくまもすっかり消え失せ、お肌はツヤツヤだ。
いつもの元気なアレン君に戻っていた。
「よく眠れて良かったわ。眠れないのはとても辛いものね」
「ポーラさんがいなかったら、僕は今日も寝不足で倒れていたかもしれません。ポーラさんは僕の救世主と言っても差し支えありませんね」
「そんな……ちょっと大げさだよ」
「いえいえ、事実ですから」
アレン君は土で汚れるのも構わず、私の手を力強く握る。
まるで雲に包まれたように安らかで、あらゆる疲れが吹き飛んでしまったそうだ。
彼の弾ける笑顔から、本当に熟睡できたことが伝わる。
――悪夢から解放されてよかった……。
心の中で静かにホッとする。
もう怖い夢を見ることはないだろうけど、もしまた見てしまったときは【言霊】スキルを使おう。
エヴァちゃんもまた、そんな私たちを温かく見ていた。
「ポーラちゃん、アレンの悪夢を祓ってくれて本当にありがとう。アレンの姉としても、改めてお礼を言わせてもらうわ」
「【言霊】スキルが効いてくれて私も安心したよ」
感謝されるたび、私も嬉しくなる。
頑張って良かったな。
アレン君はエヴァちゃんを見ると、照れくさそうに言った。
「姉さんも……僕を心配してくれてありがとう。なんだか、姉さんの夢を見たような気がするよ」
「あんたは生意気だけど、これでも大事に思ってるんだからね。また困ったことがあったら言いなさいよ」
話す二人の視線はとても柔らかい。
日頃から、互いに大事に思っているのだろう。
姉弟っていいな。
そう微笑ましく感じたとき、お屋敷の玄関が開かれた。
ルイ様がこちらにいらっしゃる。
私たちは服の土を払う。
〔みな、おはよう〕
「「おはようございます、ルイさ(辺境伯さ)……」」
「辺境伯様、おはようございます! 昨日は休みをいただき誠にありがとうございました!」
私とエヴァちゃんが言い終わる前に、アレン君が大きな声で挨拶する。
ルイ様も薄っすらと安堵の表情を浮かべて魔法文字を書かれる。
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