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第44話:聞き捨てならない言葉(Side:シルヴィー③)②
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声が聞こえた方を見る。
"言霊館 ver.シルヴィー”をオープンした初日、謎の赤い花を持ってきたあのおばあさんと女児がいた。
今の言葉は、おばあさんが叫んだのだ。
女児もまた、あたくしを厳しい顔で睨む。
子どものくせに生意気な……。
「シルヴィー様のスキルとポーラ様のスキルは天と地ほどの差がある!」
「ポーラ様は天使、片やシルヴィー様は悪魔のようだ!」
「今すぐ"言霊館”を閉めてください! これ以上の被害が出る前に!」
おばあさんの言葉をきっかけに、客たちはいっせいに声を上げる。
女神のように心が広いあたくしでも、さすがに看過できない。
「あたくしのスキルは本来、あんたらのような貧乏人に使うような物じゃ……」
「「ポーラ様を出してください! "言霊館”はポーラ様の物なんです!」」
徐々に収拾がつかなくなってきた。
でも大丈夫。
こういうときのためにルシアン様がいるんだから。
「ルシアン様ぁ、この人たち怖いですわぁ」
そっと腕を握りながら言うと、ルシアン様は客たちの前に踏み出す。
「俺の言うことに文句があんのか? 俺は由緒正しきダングレーム伯爵家の跡取りだぞ。お前らはそれをわかって言ってんだろうなぁ?」
「「……ありません」」
ルシアン様がすごむと、客たちは引き下がった。
お義姉様は客を選ぼうとしなかったので、"言霊館”には貴族以外にも庶民の客が多かった。
どうして、金払いの悪い貧乏人の相手をしているのか最後までわからなかったけど、逆に良かったわね。
この中にルシアン様より位の高い人はいないのだもの。
ちらほらと貴族がいるも、男爵や子爵といった弱小貴族だけだ。
伯爵家の権威の前に跪きなさい。
客たちはしばらく不機嫌そうな顔をしていたけど、やがて「失礼いたしました……」と言って店から出た。
「おいおい、何だよあいつら。俺たちを有力貴族だと知らねえのか」
「まったくですわぁ。朝から疲れてしまいましたぁ」
毒づくも、先ほど言われた言葉が頭の中で反響する。
――シルヴィー様のスキルは……災いを招くスキルなのです!」
そんなことはあり得ない。
【忌み詞】は、むしろ奇跡を起こすスキルだ。
今まではまだスキルに慣れていなかっただけ。
時間が経てば、真の力が解放されるのだ。
あたくしの力が災いを招くなんて……きっと気のせいよ。
"言霊館 ver.シルヴィー”をオープンした初日、謎の赤い花を持ってきたあのおばあさんと女児がいた。
今の言葉は、おばあさんが叫んだのだ。
女児もまた、あたくしを厳しい顔で睨む。
子どものくせに生意気な……。
「シルヴィー様のスキルとポーラ様のスキルは天と地ほどの差がある!」
「ポーラ様は天使、片やシルヴィー様は悪魔のようだ!」
「今すぐ"言霊館”を閉めてください! これ以上の被害が出る前に!」
おばあさんの言葉をきっかけに、客たちはいっせいに声を上げる。
女神のように心が広いあたくしでも、さすがに看過できない。
「あたくしのスキルは本来、あんたらのような貧乏人に使うような物じゃ……」
「「ポーラ様を出してください! "言霊館”はポーラ様の物なんです!」」
徐々に収拾がつかなくなってきた。
でも大丈夫。
こういうときのためにルシアン様がいるんだから。
「ルシアン様ぁ、この人たち怖いですわぁ」
そっと腕を握りながら言うと、ルシアン様は客たちの前に踏み出す。
「俺の言うことに文句があんのか? 俺は由緒正しきダングレーム伯爵家の跡取りだぞ。お前らはそれをわかって言ってんだろうなぁ?」
「「……ありません」」
ルシアン様がすごむと、客たちは引き下がった。
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どうして、金払いの悪い貧乏人の相手をしているのか最後までわからなかったけど、逆に良かったわね。
この中にルシアン様より位の高い人はいないのだもの。
ちらほらと貴族がいるも、男爵や子爵といった弱小貴族だけだ。
伯爵家の権威の前に跪きなさい。
客たちはしばらく不機嫌そうな顔をしていたけど、やがて「失礼いたしました……」と言って店から出た。
「おいおい、何だよあいつら。俺たちを有力貴族だと知らねえのか」
「まったくですわぁ。朝から疲れてしまいましたぁ」
毒づくも、先ほど言われた言葉が頭の中で反響する。
――シルヴィー様のスキルは……災いを招くスキルなのです!」
そんなことはあり得ない。
【忌み詞】は、むしろ奇跡を起こすスキルだ。
今まではまだスキルに慣れていなかっただけ。
時間が経てば、真の力が解放されるのだ。
あたくしの力が災いを招くなんて……きっと気のせいよ。
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