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第37話:ドッペルゲンガーと言霊②
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〔さて、討伐も済んだことだし屋敷に帰るか〕
「そうですね。外の空気を吸いたくなってきました」
『なぁ、この館は何に使うんだ?』
玄関に向かって歩き始めたとき、ガルシオさんがルイ様に尋ねた。
〔使い道か……あいにくと、何も考えていないな〕
『こんなに広い館なんだ。使わないのはもったいないと思うぞ。今日は霧が出ているが、丘の上田だから眺めも良さそうじゃないか』
ガルシオさんの言葉に、ルイ様はしばし考える。
‟廃墟の館‟は汚れているけど、とても広い。
ただ置いておくだけではそれこそもったいないだろう。
〔放置しておくと、またレイスの類が棲みつきそうだ。何か有益な使い道があればいいが……〕
顎に手を当て考えるルイ様を見ていると、ふっと一つの案が思い浮かんだ。
「ここは別荘にするのはどうでしょうか」
〔……別荘?〕
「はい、毎日来るのは難しいでしょうが、季節ごとにでも来ればレイスたちも棲まないんじゃないかなと思います」
今は汚れているけど、改装すれば立派な館になるだろう。
それに少し大きすぎるけど、別荘にすればルイ様のリフレッシュにもなるかな、と思ったのだ。
〔なるほど、ポーラの言うようにこの館は別荘にしてもいいかもしれん。屋敷からもほど良い距離だ〕
『だったら、俺の部屋も作ってくれ。ずっと、自分の部屋っていうのに憧れていたんだ』
別荘と聞いて、ガルシオさんは楽しそうに話す。
外に出ると、霧が晴れて青い空が見えた。
草原をさらさらと揺らすようなそよ風も吹き、爽やかな空気が気持ちいい。
遠くには“ロコルル連峰”が臨み、雄大な自然が感じられた。
最初訪れたときの不気味な暗さとは真反対の、明るくて豊かな景色だ。
これから楽しい毎日が待っているような気がする。
「まるで、この館の新しい門出を祝ってくれているみたいですね」
〔いいことを言うな〕
『さすが詩の達人だ』
心なしか、“廃墟の館”も嬉しそうだ。
少しずつ掃除をして綺麗にしてあげたい。
しみじみと感じていたら、ルイ様が私の前に魔法文字を書かれた。
〔ポーラ、手伝ってくれたお礼も兼ねて、君に頼みたいことがある〕
「はい、なんでしょうか」
〔この館の……新しい名前をつけてくれないか?〕
「わ、私なんかでいいのですか?」
思っても見なかった別荘の名付け親、なんて大役を頼まれてしまった。
私のような者が決めていいのだろうか。
〔君以上の適任はいないさ〕
『立派な名前を頼む』
一瞬悩んだけど、ルイ様とガルシオさんは快く言ってくれた。
よし、いい名前をつけよう、と気持ちが引き締まる。
しばし思考を巡らすと、ぴったりな言葉が思い浮かんだ。
「それでは……“希望の館”はいかがでしょうか」
この雄大な景色と、綺麗になったお屋敷の想像から受けた印象が、希望だった。
〔……いいじゃないか。聞いただけで明るい気持ちになれる〕
『俺も賛成だ。ポーラはネーミングセンスもいいな』
“希望の館”に見送られ、私たちは帰路に就く。
帰りも馬車かなと思っていたけど、ルイ様が転送魔法で送ってくださるとのことだ。
ルイ様は私とガルシオさんに手を向ける。
白い光に包まれ、光が消えたと思ったらお屋敷に着いた。
本当にあっという間なんだ。
「「お帰りなさーい! 早かったですね!」」
お屋敷から、エヴァちゃんとアレン君がこちらに駆ける。
私たちも手を振って無事を知らせた。
「そうですね。外の空気を吸いたくなってきました」
『なぁ、この館は何に使うんだ?』
玄関に向かって歩き始めたとき、ガルシオさんがルイ様に尋ねた。
〔使い道か……あいにくと、何も考えていないな〕
『こんなに広い館なんだ。使わないのはもったいないと思うぞ。今日は霧が出ているが、丘の上田だから眺めも良さそうじゃないか』
ガルシオさんの言葉に、ルイ様はしばし考える。
‟廃墟の館‟は汚れているけど、とても広い。
ただ置いておくだけではそれこそもったいないだろう。
〔放置しておくと、またレイスの類が棲みつきそうだ。何か有益な使い道があればいいが……〕
顎に手を当て考えるルイ様を見ていると、ふっと一つの案が思い浮かんだ。
「ここは別荘にするのはどうでしょうか」
〔……別荘?〕
「はい、毎日来るのは難しいでしょうが、季節ごとにでも来ればレイスたちも棲まないんじゃないかなと思います」
今は汚れているけど、改装すれば立派な館になるだろう。
それに少し大きすぎるけど、別荘にすればルイ様のリフレッシュにもなるかな、と思ったのだ。
〔なるほど、ポーラの言うようにこの館は別荘にしてもいいかもしれん。屋敷からもほど良い距離だ〕
『だったら、俺の部屋も作ってくれ。ずっと、自分の部屋っていうのに憧れていたんだ』
別荘と聞いて、ガルシオさんは楽しそうに話す。
外に出ると、霧が晴れて青い空が見えた。
草原をさらさらと揺らすようなそよ風も吹き、爽やかな空気が気持ちいい。
遠くには“ロコルル連峰”が臨み、雄大な自然が感じられた。
最初訪れたときの不気味な暗さとは真反対の、明るくて豊かな景色だ。
これから楽しい毎日が待っているような気がする。
「まるで、この館の新しい門出を祝ってくれているみたいですね」
〔いいことを言うな〕
『さすが詩の達人だ』
心なしか、“廃墟の館”も嬉しそうだ。
少しずつ掃除をして綺麗にしてあげたい。
しみじみと感じていたら、ルイ様が私の前に魔法文字を書かれた。
〔ポーラ、手伝ってくれたお礼も兼ねて、君に頼みたいことがある〕
「はい、なんでしょうか」
〔この館の……新しい名前をつけてくれないか?〕
「わ、私なんかでいいのですか?」
思っても見なかった別荘の名付け親、なんて大役を頼まれてしまった。
私のような者が決めていいのだろうか。
〔君以上の適任はいないさ〕
『立派な名前を頼む』
一瞬悩んだけど、ルイ様とガルシオさんは快く言ってくれた。
よし、いい名前をつけよう、と気持ちが引き締まる。
しばし思考を巡らすと、ぴったりな言葉が思い浮かんだ。
「それでは……“希望の館”はいかがでしょうか」
この雄大な景色と、綺麗になったお屋敷の想像から受けた印象が、希望だった。
〔……いいじゃないか。聞いただけで明るい気持ちになれる〕
『俺も賛成だ。ポーラはネーミングセンスもいいな』
“希望の館”に見送られ、私たちは帰路に就く。
帰りも馬車かなと思っていたけど、ルイ様が転送魔法で送ってくださるとのことだ。
ルイ様は私とガルシオさんに手を向ける。
白い光に包まれ、光が消えたと思ったらお屋敷に着いた。
本当にあっという間なんだ。
「「お帰りなさーい! 早かったですね!」」
お屋敷から、エヴァちゃんとアレン君がこちらに駆ける。
私たちも手を振って無事を知らせた。
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