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第33話:ルイ様からの頼み③

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〔ドッペルゲンガーの退治に、君の力を貸してくれないか? 除霊師や聖女に支援を頼もうにも、誰も了承しなくてな。一人で討伐に向かうか迷っていたところだ〕
「もちろんです! このポーラ、精いっぱい頑張ります!」
『いい声だな。返事だけで除霊できそうだぞ』

 勢いよく返事したら、ガルシオさんに笑われてしまった。

〔では、さっそくだが詩を頼めるか?〕
「お言葉ですが、ルイ様。レイスは個体差が大きいので、できれば直接見てから詩を作りたく思います。彼らが棲む建物の様相なども、詩に組み込む必要があるんです。ですので、私も館に連れて行ってくれませんか?」
〔なるほど……。だが、そうすると君にも危険が及ぶ可能性があるな〕

 今までも、【言霊】スキルで除霊をするときは直接現地に行った。
 レイスは個体差が大きいだけでなく、棲み処にする建物の影響を強く受ける。
 人がたくさん住んでいたところほど建物に感情が染み込み、複雑な形を取ったりした。
 だから、自分の目で見た方が詩の精度が上がるのだ。

「それに、ドッペルゲンガーがコピーできるのは一人だけと聞きました。もし私をコピーすれば、討伐は簡単かもしれません」
〔ふむ……〕

 ルイ様はしばらく悩んでいたけど、了承してくれた。

〔わかった。ポーラも一緒に来てくれ〕
「ありがとうございます。足を引っ張らないよう頑張ります」

 両拳をグッと握って決心する。
 ルイ様のお役に立つため頑張るぞっ。

『俺も一緒に行くよ。何があるかわからんからな』
〔よろしく頼む。君がいれば、なおさら心強い〕

 相談の結果、ルイ様、ガルシオさん、私の三人でドッペルゲンガー退治へ向かうことになった。
 一度みんなでお屋敷に戻り、エヴァちゃんとアレン君にもドッペルゲンガーの件を伝える。

「……ドッペルゲンガーの討伐なんて大変でございますね。わたしもご一緒したいですが、お留守番します。ポーラちゃんも頑張って。無事に帰ってこられるようお祈りしとく」
「お屋敷の留守は僕たちに任せてください。どうぞお気をつけて」

 最初、二人はびっくりしていたけど、元気よく送り出してくれた。
 ルイ様は執務室へ、私は自室へ行き荷物や道具を整理する。
 十分ほどでお庭に再集合した。

〔二人とも、準備はいいか?〕
「はい、万端です」
『持っていく物なんか何もないさ』

 転送魔法は魔力を結構消費するので、念のため馬車で移動する予定だ。
 馬車に乗るため、私たち三人は街へ向かう。
 ガルシオさんは目立ちそうだけど、ルイ様が策を考えてくれたようだ。
 目指すは“霧の丘”に立つ”廃墟の館”。
 そこに棲むドッペルゲンガーの退治だ。
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