33 / 88
第33話:ルイ様からの頼み③
しおりを挟む
〔ドッペルゲンガーの退治に、君の力を貸してくれないか? 除霊師や聖女に支援を頼もうにも、誰も了承しなくてな。一人で討伐に向かうか迷っていたところだ〕
「もちろんです! このポーラ、精いっぱい頑張ります!」
『いい声だな。返事だけで除霊できそうだぞ』
勢いよく返事したら、ガルシオさんに笑われてしまった。
〔では、さっそくだが詩を頼めるか?〕
「お言葉ですが、ルイ様。レイスは個体差が大きいので、できれば直接見てから詩を作りたく思います。彼らが棲む建物の様相なども、詩に組み込む必要があるんです。ですので、私も館に連れて行ってくれませんか?」
〔なるほど……。だが、そうすると君にも危険が及ぶ可能性があるな〕
今までも、【言霊】スキルで除霊をするときは直接現地に行った。
レイスは個体差が大きいだけでなく、棲み処にする建物の影響を強く受ける。
人がたくさん住んでいたところほど建物に感情が染み込み、複雑な形を取ったりした。
だから、自分の目で見た方が詩の精度が上がるのだ。
「それに、ドッペルゲンガーがコピーできるのは一人だけと聞きました。もし私をコピーすれば、討伐は簡単かもしれません」
〔ふむ……〕
ルイ様はしばらく悩んでいたけど、了承してくれた。
〔わかった。ポーラも一緒に来てくれ〕
「ありがとうございます。足を引っ張らないよう頑張ります」
両拳をグッと握って決心する。
ルイ様のお役に立つため頑張るぞっ。
『俺も一緒に行くよ。何があるかわからんからな』
〔よろしく頼む。君がいれば、なおさら心強い〕
相談の結果、ルイ様、ガルシオさん、私の三人でドッペルゲンガー退治へ向かうことになった。
一度みんなでお屋敷に戻り、エヴァちゃんとアレン君にもドッペルゲンガーの件を伝える。
「……ドッペルゲンガーの討伐なんて大変でございますね。わたしもご一緒したいですが、お留守番します。ポーラちゃんも頑張って。無事に帰ってこられるようお祈りしとく」
「お屋敷の留守は僕たちに任せてください。どうぞお気をつけて」
最初、二人はびっくりしていたけど、元気よく送り出してくれた。
ルイ様は執務室へ、私は自室へ行き荷物や道具を整理する。
十分ほどでお庭に再集合した。
〔二人とも、準備はいいか?〕
「はい、万端です」
『持っていく物なんか何もないさ』
転送魔法は魔力を結構消費するので、念のため馬車で移動する予定だ。
馬車に乗るため、私たち三人は街へ向かう。
ガルシオさんは目立ちそうだけど、ルイ様が策を考えてくれたようだ。
目指すは“霧の丘”に立つ”廃墟の館”。
そこに棲むドッペルゲンガーの退治だ。
「もちろんです! このポーラ、精いっぱい頑張ります!」
『いい声だな。返事だけで除霊できそうだぞ』
勢いよく返事したら、ガルシオさんに笑われてしまった。
〔では、さっそくだが詩を頼めるか?〕
「お言葉ですが、ルイ様。レイスは個体差が大きいので、できれば直接見てから詩を作りたく思います。彼らが棲む建物の様相なども、詩に組み込む必要があるんです。ですので、私も館に連れて行ってくれませんか?」
〔なるほど……。だが、そうすると君にも危険が及ぶ可能性があるな〕
今までも、【言霊】スキルで除霊をするときは直接現地に行った。
レイスは個体差が大きいだけでなく、棲み処にする建物の影響を強く受ける。
人がたくさん住んでいたところほど建物に感情が染み込み、複雑な形を取ったりした。
だから、自分の目で見た方が詩の精度が上がるのだ。
「それに、ドッペルゲンガーがコピーできるのは一人だけと聞きました。もし私をコピーすれば、討伐は簡単かもしれません」
〔ふむ……〕
ルイ様はしばらく悩んでいたけど、了承してくれた。
〔わかった。ポーラも一緒に来てくれ〕
「ありがとうございます。足を引っ張らないよう頑張ります」
両拳をグッと握って決心する。
ルイ様のお役に立つため頑張るぞっ。
『俺も一緒に行くよ。何があるかわからんからな』
〔よろしく頼む。君がいれば、なおさら心強い〕
相談の結果、ルイ様、ガルシオさん、私の三人でドッペルゲンガー退治へ向かうことになった。
一度みんなでお屋敷に戻り、エヴァちゃんとアレン君にもドッペルゲンガーの件を伝える。
「……ドッペルゲンガーの討伐なんて大変でございますね。わたしもご一緒したいですが、お留守番します。ポーラちゃんも頑張って。無事に帰ってこられるようお祈りしとく」
「お屋敷の留守は僕たちに任せてください。どうぞお気をつけて」
最初、二人はびっくりしていたけど、元気よく送り出してくれた。
ルイ様は執務室へ、私は自室へ行き荷物や道具を整理する。
十分ほどでお庭に再集合した。
〔二人とも、準備はいいか?〕
「はい、万端です」
『持っていく物なんか何もないさ』
転送魔法は魔力を結構消費するので、念のため馬車で移動する予定だ。
馬車に乗るため、私たち三人は街へ向かう。
ガルシオさんは目立ちそうだけど、ルイ様が策を考えてくれたようだ。
目指すは“霧の丘”に立つ”廃墟の館”。
そこに棲むドッペルゲンガーの退治だ。
523
お気に入りに追加
1,511
あなたにおすすめの小説
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる