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第18話:フェンリルさんと詩③
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「では、お言葉に甘えさせていただきます」
『決まりだな。じゃあ、行くぞ。ほら、背中に乗れ』
「はい、よろしくお願……!」
ガルシオさんの背中に乗った瞬間、ぐんっと加速した。
目に映る木々や草花が見えないくらい、景色がどんどん後ろに遠ざかる。
『振り落とされないようにしっかり掴まっておけよ!』
「も、もう少し、スピードを落としていただけませんか!?」
『いやぁ、こんなに走れるのは久しぶりだ! もっとスピードを上げたくなるな!』
私の言うことなど聞こえないかのように、ガルシオさんは勢いよく走る。
落っこちないように、ギュッとガルシオさんの身体を握るしかなかった。
数分も走ると、徐々にスピードが落ち着いてきた。
『ほら、着いたぞ。もう離していい。そんなに首を絞められたら気絶しそうだ』
「す、すみません、怖くて」
ホッとしながら地面に下りる。
土の感触に安心するのも束の間、目に広大な草原と優雅な山々が飛び込んできた。
――うわぁ……綺麗……。
風に揺れる草に空高く伸びる山頂。
晴れ渡る青空と深い緑の鮮やかなコントラストが、今この場所にいる幸せを何倍も強く感じさせてくれた。
『ここは“霊気の森”の端っこだ。正面の山々は“ロコルル連峰”だな』
「こんな近くにあるんですね。ガルシオさんに乗せてもらわないとわかりませんでした」
雄大な“ロコルル連峰”を見ながら、爽やかな笑顔でガルシオさんは言う。
『さっきも話した通り、十年前俺はルイに命を救われた。そして、今度はポーラに救われた。俺は本当に運のいいフェンリルだな』
その明るい表情を見て、頑張ってよかったと強く思った。
心の中で、今言われた言葉を反芻する。
運のいいフェンリルか……。
「私も……運のいい人間です」
『ポーラも?』
呟くように言ったら、ガルシオさんはポカンとした顔を浮かべた。
「だって……ルイ様やエヴァちゃん、アレン君、そしてガルシオさんに出会えたのですから」
つくづく実感する。
自分は運のいい人間だと。
素直な思いを伝えると、ガルシオさんはフッと笑った。
『この先もルイとは仲良くしてやってくれ』
「はい……もちろんです!」
私もまた、笑顔で返事した。
ガルシオさんに乗って、お屋敷に戻る。
行きと同じように、ぐんぐん走ってあっという間に着いてしまった。
笑顔のエヴァちゃん、アレン君、そして柔らかな無表情のルイ様が出迎えてくれた。
止まる直前、ガルシオさんは振り返ると私に言う。
にっこりとした笑顔で。
『これからもよろしくな、ポーラ』
「はい! こちらこそよろしくお願いします!」
勢いよく、ガルシオさんの背中から飛び降りた。
私の心は温かな充足感で満たされている。
無事、ガルシオさんの病気を癒すことができたのだ。
『決まりだな。じゃあ、行くぞ。ほら、背中に乗れ』
「はい、よろしくお願……!」
ガルシオさんの背中に乗った瞬間、ぐんっと加速した。
目に映る木々や草花が見えないくらい、景色がどんどん後ろに遠ざかる。
『振り落とされないようにしっかり掴まっておけよ!』
「も、もう少し、スピードを落としていただけませんか!?」
『いやぁ、こんなに走れるのは久しぶりだ! もっとスピードを上げたくなるな!』
私の言うことなど聞こえないかのように、ガルシオさんは勢いよく走る。
落っこちないように、ギュッとガルシオさんの身体を握るしかなかった。
数分も走ると、徐々にスピードが落ち着いてきた。
『ほら、着いたぞ。もう離していい。そんなに首を絞められたら気絶しそうだ』
「す、すみません、怖くて」
ホッとしながら地面に下りる。
土の感触に安心するのも束の間、目に広大な草原と優雅な山々が飛び込んできた。
――うわぁ……綺麗……。
風に揺れる草に空高く伸びる山頂。
晴れ渡る青空と深い緑の鮮やかなコントラストが、今この場所にいる幸せを何倍も強く感じさせてくれた。
『ここは“霊気の森”の端っこだ。正面の山々は“ロコルル連峰”だな』
「こんな近くにあるんですね。ガルシオさんに乗せてもらわないとわかりませんでした」
雄大な“ロコルル連峰”を見ながら、爽やかな笑顔でガルシオさんは言う。
『さっきも話した通り、十年前俺はルイに命を救われた。そして、今度はポーラに救われた。俺は本当に運のいいフェンリルだな』
その明るい表情を見て、頑張ってよかったと強く思った。
心の中で、今言われた言葉を反芻する。
運のいいフェンリルか……。
「私も……運のいい人間です」
『ポーラも?』
呟くように言ったら、ガルシオさんはポカンとした顔を浮かべた。
「だって……ルイ様やエヴァちゃん、アレン君、そしてガルシオさんに出会えたのですから」
つくづく実感する。
自分は運のいい人間だと。
素直な思いを伝えると、ガルシオさんはフッと笑った。
『この先もルイとは仲良くしてやってくれ』
「はい……もちろんです!」
私もまた、笑顔で返事した。
ガルシオさんに乗って、お屋敷に戻る。
行きと同じように、ぐんぐん走ってあっという間に着いてしまった。
笑顔のエヴァちゃん、アレン君、そして柔らかな無表情のルイ様が出迎えてくれた。
止まる直前、ガルシオさんは振り返ると私に言う。
にっこりとした笑顔で。
『これからもよろしくな、ポーラ』
「はい! こちらこそよろしくお願いします!」
勢いよく、ガルシオさんの背中から飛び降りた。
私の心は温かな充足感で満たされている。
無事、ガルシオさんの病気を癒すことができたのだ。
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