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10章 家族
83話 友達
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「ただいまー」
颯太と麻衣ちゃんのお父さんが帰ってきた。
いや、今は結菜ちゃんのパパでもあるか……。
「ライザのレジが凄い列で、遅くなったよ」
彼には買い出しの追加に行ってもらっていたけど、この後カレー味のホットドッグを作ってくれるらしい。
「父さんおかえ……」
玄関まで出迎えに行った颯太が不思議そうにしている。
「ああ……うちに来る途中で迷ってたみたいだったから連れてき来たんだけど、颯太と麻衣の友達だろ?」
凄く緊張している様だった。
「ごめん……私、邪魔だったらすぐに帰るから……」
彼女が来た事に驚いていた様だったけど、快く招いてくれた。
「何言ってるんだよ?せっかく来たんだから、上がって行けよ……お前が来てくれるとは思ってなかったから驚いただけだよ……」
ちょっと遅くなったけど、これは結菜ちゃんが高田を名乗る事になった歓迎の会。
「蛍ちゃん、いらっしゃい」
私が、二人の大好きだった未祐さんのハンバーグを作る事を提案すると、彼等は賛成してくれた。
その時に、お客さんの選抜と連絡も任されたのだ。
いつものメンバーに加え、結菜ちゃんが師匠と慕っている真央さん、それから友達になった上杉蛍ちゃんにも来てくれないかと連絡した。
彼は真面目だし凄く優しいので、蛍ちゃんの中身を知ったら友達になってくれると確信している。
火事から始まって色々あったけど、以前に仲良しだった四人組は、結菜ちゃんと蛍ちゃんを加えて六人組になれたら嬉しいと思っている。
それが私と誠の想いなのだ。
「高田君は私の事、苦手なタイプなのかと思っていたよ……」
聞いた事はなかったけど颯太は、彼女の事をどう思っているのだろうか?
「ん?そんな事はないぞ?
ただあまり話した事がなかっただけだ。
それに、涼香ちゃんがここに呼んだなら良い奴なのは間違いないしな……。
逆に聞くが、殆ど話した事がないのにどうして僕が嫌っていると思ってたんだよ?
その人がどんな人間かなんて話してみないと分からないし、たいして関わってもいないのに偏見で嫌いになるなんて勿体ないじゃん。
凄く良い友達になれるかもしれないのにさ」
笑いをこらえるのに必死だった。
そう言えば颯太はこう言う奴だったなと再認識した。
でも私はこう言う所も含めて彼を好きになったのだと思う。
「何で嫌っていると思ってたかって……
それは涼香ちゃんの事をいじめていたからだよ……。
あなた達は助けに入ってきたんだから、私に良いイメージを持っていないのは当然じゃない?」
彼は大袈裟に笑ってみせたが、私には何が可笑しいのか分からなかった。
「それを言うなら、僕なんかナイフでお腹を刺してきた子を姉さんにしたんだよ?」
よく考えてみれば、確かにその通りだ。
「被害にあった本人が、全て許して友達になると言っているのだから僕がどうこう言う話じゃないだろ?
まあ今後も彼女を傷付けると言うのなら全力で止めるけど、そのつもりは今の所ないんだろ?」
私や誠をわざわざ呼びつけて謝ってくれた所を見ると、今後そんな事をしてくるとは思えない。
「それは勿論ない……けど……」
今までつるんできたスクールカーストの上位グループから抜け、彼女等と友達を辞めてきたと言ったのだ。
その上で私達と友達になりたいと言われれば、歓迎しない訳には行かないだろう。
「ならそれで良いんじゃないか?
上杉にだって事情があったと思うし、人間なんだから誰にだって失敗や間違いがあって当然じゃないか。
僕も涼香ちゃんに酷い事を言ってしまって、後悔しているんだ……。
今はこうやって良い関係に戻れたけど、危うく友達を辞めてしまう所だった。
時には許す事も大切で、相手の弱さも受け入れられるのが友達じゃないかと思うんだ……」
彼が以前とは別人になっていたと感じる。
「ありがとう……」
彼女は下を向いて泣いている様に見えたが、私にとっては仲間が増えて嬉しくもあった。
「カレードッグができたから、皆テーブルに着いてね」
そう言ってキッチンから出てきた颯太のお父さんは両手に乗せたお皿いっぱいにホットドッグを持っている。
「まだまだあるから、沢山食べてね。
勿論、涼香ちゃんが作ってくれたハンバーグもあるよ……」
別の話をしていた真央さんや誠、結菜ちゃんも戻ってきて皆がテーブルに着くと、炊飯器を開けてお茶碗にご飯を全員分よそって配る。
颯太と麻衣ちゃんのお父さんが帰ってきた。
いや、今は結菜ちゃんのパパでもあるか……。
「ライザのレジが凄い列で、遅くなったよ」
彼には買い出しの追加に行ってもらっていたけど、この後カレー味のホットドッグを作ってくれるらしい。
「父さんおかえ……」
玄関まで出迎えに行った颯太が不思議そうにしている。
「ああ……うちに来る途中で迷ってたみたいだったから連れてき来たんだけど、颯太と麻衣の友達だろ?」
凄く緊張している様だった。
「ごめん……私、邪魔だったらすぐに帰るから……」
彼女が来た事に驚いていた様だったけど、快く招いてくれた。
「何言ってるんだよ?せっかく来たんだから、上がって行けよ……お前が来てくれるとは思ってなかったから驚いただけだよ……」
ちょっと遅くなったけど、これは結菜ちゃんが高田を名乗る事になった歓迎の会。
「蛍ちゃん、いらっしゃい」
私が、二人の大好きだった未祐さんのハンバーグを作る事を提案すると、彼等は賛成してくれた。
その時に、お客さんの選抜と連絡も任されたのだ。
いつものメンバーに加え、結菜ちゃんが師匠と慕っている真央さん、それから友達になった上杉蛍ちゃんにも来てくれないかと連絡した。
彼は真面目だし凄く優しいので、蛍ちゃんの中身を知ったら友達になってくれると確信している。
火事から始まって色々あったけど、以前に仲良しだった四人組は、結菜ちゃんと蛍ちゃんを加えて六人組になれたら嬉しいと思っている。
それが私と誠の想いなのだ。
「高田君は私の事、苦手なタイプなのかと思っていたよ……」
聞いた事はなかったけど颯太は、彼女の事をどう思っているのだろうか?
「ん?そんな事はないぞ?
ただあまり話した事がなかっただけだ。
それに、涼香ちゃんがここに呼んだなら良い奴なのは間違いないしな……。
逆に聞くが、殆ど話した事がないのにどうして僕が嫌っていると思ってたんだよ?
その人がどんな人間かなんて話してみないと分からないし、たいして関わってもいないのに偏見で嫌いになるなんて勿体ないじゃん。
凄く良い友達になれるかもしれないのにさ」
笑いをこらえるのに必死だった。
そう言えば颯太はこう言う奴だったなと再認識した。
でも私はこう言う所も含めて彼を好きになったのだと思う。
「何で嫌っていると思ってたかって……
それは涼香ちゃんの事をいじめていたからだよ……。
あなた達は助けに入ってきたんだから、私に良いイメージを持っていないのは当然じゃない?」
彼は大袈裟に笑ってみせたが、私には何が可笑しいのか分からなかった。
「それを言うなら、僕なんかナイフでお腹を刺してきた子を姉さんにしたんだよ?」
よく考えてみれば、確かにその通りだ。
「被害にあった本人が、全て許して友達になると言っているのだから僕がどうこう言う話じゃないだろ?
まあ今後も彼女を傷付けると言うのなら全力で止めるけど、そのつもりは今の所ないんだろ?」
私や誠をわざわざ呼びつけて謝ってくれた所を見ると、今後そんな事をしてくるとは思えない。
「それは勿論ない……けど……」
今までつるんできたスクールカーストの上位グループから抜け、彼女等と友達を辞めてきたと言ったのだ。
その上で私達と友達になりたいと言われれば、歓迎しない訳には行かないだろう。
「ならそれで良いんじゃないか?
上杉にだって事情があったと思うし、人間なんだから誰にだって失敗や間違いがあって当然じゃないか。
僕も涼香ちゃんに酷い事を言ってしまって、後悔しているんだ……。
今はこうやって良い関係に戻れたけど、危うく友達を辞めてしまう所だった。
時には許す事も大切で、相手の弱さも受け入れられるのが友達じゃないかと思うんだ……」
彼が以前とは別人になっていたと感じる。
「ありがとう……」
彼女は下を向いて泣いている様に見えたが、私にとっては仲間が増えて嬉しくもあった。
「カレードッグができたから、皆テーブルに着いてね」
そう言ってキッチンから出てきた颯太のお父さんは両手に乗せたお皿いっぱいにホットドッグを持っている。
「まだまだあるから、沢山食べてね。
勿論、涼香ちゃんが作ってくれたハンバーグもあるよ……」
別の話をしていた真央さんや誠、結菜ちゃんも戻ってきて皆がテーブルに着くと、炊飯器を開けてお茶碗にご飯を全員分よそって配る。
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