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おいしくて幸せな朝食
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「お父さん…」
まだ眠い目を擦りながら、いつものように、キッチンで朝食を作ってくれているお父さんに、声をかける。
「おはよう、遥」
腰にエプロンを巻いたお父さんは、白い歯を見せて爽やかに笑うと、僕を抱き上げて、ほっぺたにチュッとキスをくれる。
「うーーー、おはよ…」
まだ寝ていたくて、甘えるようにお父さんの首に縋り付く。
「まだ寝ててもいいよ?」
「…お父さんいないとさみしい…から起きる」
お父さんと一緒なら、まだ寝ていたいけど…
「そっか、ごめんね。えらいえらい」
あやす様に、ぽんぽんと背中を叩いてくれるお父さんに、思いっきり抱きついく。しばらく甘やかしてもらった後「着替えておいで」と背中を押してもらい、部屋に戻った。
身支度を整えて、ダイニングテーブルへ向かうと、焼きたてのパンの、香ばしい匂いがして、ついウキウキとした足取りになってしまう。
黄色くて綺麗な形のオムレツに、ふわふわのロールパン。サラダには必ずプチトマトを入れてくれる。
オレンジジュースとどちらにしようか迷うけど、今日は牛乳の気分、と思った通りに、すでにグラスに注いで置いてある。
キラキラと輝いて眩しい、お父さんの作ってくれた朝食。席に着いて手を合わせると、まだ食べていないのに、体がぽかぽかとあったかくなる。
「いただきます」
手を合わせたら、まずはパンを手に取る。真ん中で割くと、生地の隙間からふわりと湯気が上がる。この温かい匂いをいっぱいに吸い込んでから、はむっとかぶり付くと、柔らかくて弾力のある生地が、返事をしてくれたような気がする。
目を閉じて、優しさでできたパンを噛み締めていると「美味しい?」とお父さんが笑う声が聞こえてきた。
いっぱいに頬張ったパンで頬を膨らませながら、おいしいよ、という意味を込めて微笑むと、お父さんも優しい顔でまた笑ってくれる。
「遥は本当に、美味しそうに食べてくれるね」
「だって、お父さんの作ってくれるご飯、何でもおいしくて、大好きだから」
素直な気持ちを伝えると、お父さんは「そっか」と嬉しそうに頷いた後で、少し前のめりになって、悪戯っぽく聞いてくる。
「お父さんのことは?」
「大好き!」
もっと素直な気持ちを伝えると、最初はうんうんと、嬉しそうにしていたお父さんが、急に感極まった感じで目頭を抑え始めた。
「いつまで言ってくれるのか…」
一人で考え込むようなお父さんに「ずっとだよ!!」と言うと、少し寂しそうな顔で笑うので、不思議に思った。
僕は絶対にお父さんのこと嫌いになったりしないのに…
「よし!たくさん食べなさい」
いつもの笑顔に戻ったお父さんが、頭を撫でてくれたので、僕はまた、おいしい朝食を食べることに集中した。
まだ眠い目を擦りながら、いつものように、キッチンで朝食を作ってくれているお父さんに、声をかける。
「おはよう、遥」
腰にエプロンを巻いたお父さんは、白い歯を見せて爽やかに笑うと、僕を抱き上げて、ほっぺたにチュッとキスをくれる。
「うーーー、おはよ…」
まだ寝ていたくて、甘えるようにお父さんの首に縋り付く。
「まだ寝ててもいいよ?」
「…お父さんいないとさみしい…から起きる」
お父さんと一緒なら、まだ寝ていたいけど…
「そっか、ごめんね。えらいえらい」
あやす様に、ぽんぽんと背中を叩いてくれるお父さんに、思いっきり抱きついく。しばらく甘やかしてもらった後「着替えておいで」と背中を押してもらい、部屋に戻った。
身支度を整えて、ダイニングテーブルへ向かうと、焼きたてのパンの、香ばしい匂いがして、ついウキウキとした足取りになってしまう。
黄色くて綺麗な形のオムレツに、ふわふわのロールパン。サラダには必ずプチトマトを入れてくれる。
オレンジジュースとどちらにしようか迷うけど、今日は牛乳の気分、と思った通りに、すでにグラスに注いで置いてある。
キラキラと輝いて眩しい、お父さんの作ってくれた朝食。席に着いて手を合わせると、まだ食べていないのに、体がぽかぽかとあったかくなる。
「いただきます」
手を合わせたら、まずはパンを手に取る。真ん中で割くと、生地の隙間からふわりと湯気が上がる。この温かい匂いをいっぱいに吸い込んでから、はむっとかぶり付くと、柔らかくて弾力のある生地が、返事をしてくれたような気がする。
目を閉じて、優しさでできたパンを噛み締めていると「美味しい?」とお父さんが笑う声が聞こえてきた。
いっぱいに頬張ったパンで頬を膨らませながら、おいしいよ、という意味を込めて微笑むと、お父さんも優しい顔でまた笑ってくれる。
「遥は本当に、美味しそうに食べてくれるね」
「だって、お父さんの作ってくれるご飯、何でもおいしくて、大好きだから」
素直な気持ちを伝えると、お父さんは「そっか」と嬉しそうに頷いた後で、少し前のめりになって、悪戯っぽく聞いてくる。
「お父さんのことは?」
「大好き!」
もっと素直な気持ちを伝えると、最初はうんうんと、嬉しそうにしていたお父さんが、急に感極まった感じで目頭を抑え始めた。
「いつまで言ってくれるのか…」
一人で考え込むようなお父さんに「ずっとだよ!!」と言うと、少し寂しそうな顔で笑うので、不思議に思った。
僕は絶対にお父さんのこと嫌いになったりしないのに…
「よし!たくさん食べなさい」
いつもの笑顔に戻ったお父さんが、頭を撫でてくれたので、僕はまた、おいしい朝食を食べることに集中した。
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