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痛い愛情

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彼女との生活はその後も何も変わりはなかった。

ただ…彼女が結婚相手の所に戻る時だけは、いつも喧嘩になった。
それは、もちろん、僕の見苦しい嫉妬心から。

彼女が、他の男と一緒にいると思うだけで、僕は気が狂いそうになった。
彼女に会いに行きたい。
でも、この鉄条網を越えた所には、あの獰猛な犬達がいる。
以前のことを思い出すと、ガタガタと身体が震えた。

だけど、ある時、どうしてもその気持ちが押さえきれず…
彼女に会いたい気持ちが、犬達の恐怖に勝った。

血を流し、鉄条網を乗り越え、そして、僕はまた犬達に襲われて……




「……イライザ……戻って来てくれたんだね。」

目を開けた時、僕の傍には彼女がいた。
彼女が僕のことを心配して戻って来てくれたことが嬉しくて、身体の痛さも苦にはならなかった。



「私……聞き分けの悪い人は嫌いだわ。」

その声はとても冷たいものだった。



「ご、ごめん…でも、僕……」

「……でも、あなたのことは大好きなの。
だから……あなたがもう逃げないようにすることに決めたわ。」

彼女はそう言うと、扉が開き、数人の男が部屋に雪崩れ込む。
その中の一人の男の手には大きな斧が握られ、研ぎ澄まされた刃が光っていた。



「……イライザ…な、何を……」

「大丈夫よ。車椅子もすぐに用意させるから……」

彼女は天使のように微笑み、男達は、僕の全身を押さえつけた。




「イ、イライザ……ぼ、僕、もう二度とあんなことはしない!」

彼女は何も答えず、斧を持った男に向かって小さく頷いた。
その瞬間、男は斧を高く振りかざし、



そして……








僕はもう逃げることも走ることも出来ない。
だけど、彼女は以前とは少しも変わらず、僕に優しくしてくれる。



「ねぇ…今度はいつ来てくれる?」

「……子供みたいなこと言うのね。」

「だって……君がいないと本当に寂しいんだもの。」

「……あなたは本当に可愛い人ね。」

腰をかがめ、彼女は僕の唇に優しく口付けた。



幸せだ。
こんなに愛されている僕は、本当に幸せ者だ。



「イライザ……僕の天使……」

僕は、彼女の腕に手を回し、その赤い唇を激しく求め続けた。



~fin

 
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