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風邪ひいた…

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「鰻と納豆のパワーで、すぐに元気になるよ。」

(げっ!)

「ちょっと待っててね!
温まるもの持って来るから。」

カレーに入ってた物の正体を知りますます胸が悪くなった所へ、今度はマグカップが二つ運ばれて来た。



「さぁ、これ飲んだらお薬飲んで寝ようね。」

俺は、差し出されたものを気合いと共に流しこんだ。
効かない筈の鼻が甘ったるい香りを感じた気がした。
薬を飲まされた俺がベッドに横にさせられた途端、さらにその上に毛布や布団がかけられた。
思いっきり汗をかいて治すっていう昭和の治療法だ。
あれは、体力の消耗が激しくて良くないって聞いたぞ。
だけど、良かれと思ってやってくれてる渚にそんなことは言えないし、今の弱った俺にはこの布団を撥ね退ける力もない。
渚が帰ったら、そっと抜け出そう。



「あ……」



そう思った時、渚が俺の隣に潜り込んできた。



「ば、馬鹿!そんなことしたら、風邪が移るだろ…」

「大丈夫!
特製カレー食べたし、プリン飲んだし…私がずっと温めてあげるからね!」

無邪気な顔でそう言って、渚は俺にぴったりと寄り添った。



(……ん?プリン?)



ぼんやりとそんなことを考えたのも束の間……俺はすぐに夢の世界に誘われていた。







次の日、俺の熱は嘘のように下がっていた。
ただ、疲労感は半端なかったけど、それも程なく回復した。



「ほらね!私のカレーは効いたでしょ?
風邪ひいたら、また作ってあげるからね!」

嬉しそうに話す渚に、俺はひきつった笑みを返すしかなかった。
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