1ページ劇場①

ルカ(聖夜月ルカ)

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落ち葉の数だけあなたにあげる

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「はぁ~~っ……」

俺が吐き出した大きな溜め息は、決してこの紅葉にセンチメンタルな気分を感じたせいではない。
溜め息の原因は、俺の掌の小さなコイン達…
243円であと5日過ごさなければいけないからだ。



あたりには燃えるようなもみじの葉や、黄色く色付いた銀杏がこの殺風景な公園を美しく彩って…
落ち葉の絨毯が一面に広がっている。



たぬきでもきつねでも良いから、この落ち葉をお札に変えてくれないものか?
変えてくれたら、一年分の油揚げ…いや、庭付きの一軒家を買ってやるのに……



(……って、ここの落ち葉って一体何枚あるんだろう?
これを全部一万円札に変えたら一体いくらになるんだ?
千円札だって相当な額になるんじゃないか?)


馬鹿馬鹿しい。
金がなさ過ぎて、俺は少々頭がイカレてしまったのかもしれない。
なんせ、職をなくしてそろそろ一月。
かなり切羽詰った状況なんだ。
もちろん、何軒も面接に行ったけど、バイトさえみつからない。



「そうね…じゃあ、ここの落ち葉の枚数をあてられたら、その枚数分のお金をあげるわ。」

「……え?……わっっ!」

いつの間に来たのか、俺のすぐ傍には金色の髪をしたつり目の女の子が立っていて……



「明日、朝日が上るまでよ。
この公園内の落ち葉全部の枚数ね。」

「……は?……げげーーーーっ!」

突然、女の子は姿を消した。
俺は何度も目をこする。



ば、ばかな…そんなことあるもんか……
理性はそう言う。



世の中には信じられないようなこともあるもんだ。
もう一人の俺が言う。



俺はどうするべきか考えたが、今の俺には金はないが時間はある。
駄目で元々、暇潰しにやってやる!

俺は、一旦家に戻り、ゴミ袋と懐中電灯を手に戻った。
あててやる!
絶対に当ててやる!

俺は落ち葉を拾い始めた。



甘かった…落ち葉は拾えども拾えどもなかなか拾いきれない。
気が付けば、大きなゴミ袋は9袋がもうぱんぱん。



えっと、これで、343144枚…と。
この分なら多分夜明けまでに400000枚以上はいけそうだ…
400000円あれば、しばらくは暮らせる…
あ、そうか、数えるだけじゃだめなんだ!
全部拾って枚数を当てないと…!

俺はピッチを上げた。
一睡もせず、落ち葉を数えながら、俺は公園中の落ち葉を拾いまくった。



朝日が姿を現したのを見て俺はばんざいと両手を上げた。
一晩で405468円稼げる奴なんて、そうそういないぞ。
その時、強い風が吹いてはらはらと落ち葉が舞い落ちる…



あ……



朝日が上りきった時、どこかで声が聞こえた。



「残念賞~~」



それはつまり、今の数枚が拾えなかったからだめだってこと…?
俺は、今までの疲れがどっと出てその場に座りこんだ。

 
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