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木枯らし吹く帰り道
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(今日こそ、声をかけるのよ!)
私は両方の拳を握り締め、強く自分に言い聞かせた。
ここ数日、私は同じことを繰り返していた。
仕事の帰り、いつも同じ場所で背中をまるめてあの人を待ち、そして、こっそりとその後をついていく。
今日こそは…今日こそは、声をかける!
そう思うのに、なかなかタイミングがあわないというのか、声をかけようとした瞬間に誰かが通りがかったりするものだから、ついついかけそびれてしまって……
でも、もういいかげん勇気を出さなきゃ!
こんなこと繰り返してるなんて、馬鹿みたい!
(あ…来た…!!)
あの人の姿を目にした瞬間、跳ね上がる心拍数…
(大丈夫…大丈夫よ。
私には言える…!Yes,I can!)
気合いを入れれば入れる程、緊張感は高まって、私は身体が震え出すのを感じてた。
一定の距離を保ちながら、私はいつものようにあの人の後をついていく…
次の角を曲がると比較的細い道になる。
(どうか…誰もいませんように…!!)
や、やった!
今日はいない!
誰もいない!
私は最大限の勇気を出して、あの人のそばに駆け寄った。
「お……お芋下さい!」
「はいよ。」
*
(……温かい…)
この数日間の想いを爆発させるかのように、私は大量の焼きいもを購入した。
まるで小さな子供のように私は焼きいもを大切に抱き抱えて、鼻腔をくすぐる甘い幸せに酔いしれた。
焼きいも屋さんの焼きいもって、やっぱり家で焼くのとは味が違うんだもん。
毎年寒くなると焼きいもが食べたくなるけど、最近では焼きいも屋さんの数もめっきり減って、たまにいてもたいていは車だから過ぎ去るのが早くって…
いまだにリヤカーで売ってるこのおじさんをみつけた時はどれほど嬉しかったことか。
でも、なかなか声がかけられなかった。
子供の頃は全然平気だったのに……
なんだか妙に恥ずかしくて、人がいなくなるのを待って長い事ついていって……
それでもなかなかタイミングがあわなくて、四日目にしてやっと買えた。
どんなに木枯らしが吹きつけても、今日は少しも寒くない。
この焼きいも達が私を温かく包んでくれるから……!
私は両方の拳を握り締め、強く自分に言い聞かせた。
ここ数日、私は同じことを繰り返していた。
仕事の帰り、いつも同じ場所で背中をまるめてあの人を待ち、そして、こっそりとその後をついていく。
今日こそは…今日こそは、声をかける!
そう思うのに、なかなかタイミングがあわないというのか、声をかけようとした瞬間に誰かが通りがかったりするものだから、ついついかけそびれてしまって……
でも、もういいかげん勇気を出さなきゃ!
こんなこと繰り返してるなんて、馬鹿みたい!
(あ…来た…!!)
あの人の姿を目にした瞬間、跳ね上がる心拍数…
(大丈夫…大丈夫よ。
私には言える…!Yes,I can!)
気合いを入れれば入れる程、緊張感は高まって、私は身体が震え出すのを感じてた。
一定の距離を保ちながら、私はいつものようにあの人の後をついていく…
次の角を曲がると比較的細い道になる。
(どうか…誰もいませんように…!!)
や、やった!
今日はいない!
誰もいない!
私は最大限の勇気を出して、あの人のそばに駆け寄った。
「お……お芋下さい!」
「はいよ。」
*
(……温かい…)
この数日間の想いを爆発させるかのように、私は大量の焼きいもを購入した。
まるで小さな子供のように私は焼きいもを大切に抱き抱えて、鼻腔をくすぐる甘い幸せに酔いしれた。
焼きいも屋さんの焼きいもって、やっぱり家で焼くのとは味が違うんだもん。
毎年寒くなると焼きいもが食べたくなるけど、最近では焼きいも屋さんの数もめっきり減って、たまにいてもたいていは車だから過ぎ去るのが早くって…
いまだにリヤカーで売ってるこのおじさんをみつけた時はどれほど嬉しかったことか。
でも、なかなか声がかけられなかった。
子供の頃は全然平気だったのに……
なんだか妙に恥ずかしくて、人がいなくなるのを待って長い事ついていって……
それでもなかなかタイミングがあわなくて、四日目にしてやっと買えた。
どんなに木枯らしが吹きつけても、今日は少しも寒くない。
この焼きいも達が私を温かく包んでくれるから……!
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