555 / 761
side 和彦
4
しおりを挟む
(そういえば……)
アンリと別れた後、誰かと付き合っただろうか?
考えてみれば、こんなに長い間、誰とも付き合ってないのは、珍しいことじゃないだろうか…
「あ……野々村さんといえば…」
「何?」
アッシュが、何事かをマイケルに耳打ちする。
「あ、そうだっけ??
でも……」
ふたりが何を言ってるのか、見当がついた。
「野々村さんと大河内さんは、ただの友達だ。」
なぜそんなことを言ってしまったのかわからないが、俺は反射的にそんなことを口にしていた。
「そうだよ。
野々村さんとおじいさんは、そういう仲じゃないよ。」
なぜだか、美幸までもがそんなことを言う。
「そうなの?じゃあ、ますます良いんじゃない?
あ……そういえば、最近、カズって誰とも付き合ってないんじゃない?
えらく長いよね。どうかした?」
「どうもしない。
最近はそれだけ仕事に打ち込んでるってことだ。」
「まぁ、確かに真面目には働いてるけど…」
「本当だ…言われてみたら、カズがこんなに誰とも付き合ってないことって、今までなかったよね。」
なんだなんだ、俺がまるで遊び人みたいなことを言いやがって…
そうは思ったが、そこでむきになるのも大人気ない。
アッシュとマイケルの視線を避け、俺は何も言わずに俯いた。
アンリと別れた後、誰かと付き合っただろうか?
考えてみれば、こんなに長い間、誰とも付き合ってないのは、珍しいことじゃないだろうか…
「あ……野々村さんといえば…」
「何?」
アッシュが、何事かをマイケルに耳打ちする。
「あ、そうだっけ??
でも……」
ふたりが何を言ってるのか、見当がついた。
「野々村さんと大河内さんは、ただの友達だ。」
なぜそんなことを言ってしまったのかわからないが、俺は反射的にそんなことを口にしていた。
「そうだよ。
野々村さんとおじいさんは、そういう仲じゃないよ。」
なぜだか、美幸までもがそんなことを言う。
「そうなの?じゃあ、ますます良いんじゃない?
あ……そういえば、最近、カズって誰とも付き合ってないんじゃない?
えらく長いよね。どうかした?」
「どうもしない。
最近はそれだけ仕事に打ち込んでるってことだ。」
「まぁ、確かに真面目には働いてるけど…」
「本当だ…言われてみたら、カズがこんなに誰とも付き合ってないことって、今までなかったよね。」
なんだなんだ、俺がまるで遊び人みたいなことを言いやがって…
そうは思ったが、そこでむきになるのも大人気ない。
アッシュとマイケルの視線を避け、俺は何も言わずに俯いた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。大学時代のクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。屋敷で不審な事件が頻発しているのだという。かつての同級生の事故死。密室から消えた犯人。アトリエにナイフで刻まれた無数のX。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の6人は大学時代、この屋敷でともに芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。6人の中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》

果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

捨てた騎士と拾った魔術師
吉野屋
恋愛
貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる