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side 和彦
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野々村さんと一緒にいると、時々こんな風にお腹の底から笑わせてもらえることがある。
それは、要するに、俺は野々村さんには気を許してるってことなのか?
それとも単に野々村さんのボケっぷりのせいなのか…
以前、野々村さんには心の内をすべてぶちまけたことがあった。
酔った勢いでのことだが、誰にも話せなかった心の闇を、俺はすべてぶちまけた。
なぜあんなに話せたんだろう?
あんなに恥ずかしいことを…
野々村さんも赤裸々に自分の過去を話してくれたせいだろうか?
それに…俺は女性と二人っきりで過ごすことが苦手だ。
ずっと一緒に部屋にいたりすると、過度な閉塞感のようなものを感じてしまうものだが、野々村さんにはそれを感じなかった。
あの頃は、野々村さんに欠片程も恋愛感情を抱いてなかったせいだろうか?
(あの頃は…?)
それじゃあ、今はそうじゃないのか?
今の俺は野々村さんに…
俺はちらりと野々村さんを見遣った。
今日はすごく気合いが入っているというほどではないが、メイクもしてるし、それなりに綺麗だ。
最近の野々村さんは少し変わった。
一昔前の先生みたいな地味なスーツはやめ、明るめの色の服を着るようになった。
髪も少し明るい色になり、ゆるやかなパーマがかかった。
シュウの店に行く度には眼鏡をはずすこともある。
そう、野々村さんは磨けば光る原石だったのだ。
高見沢大輔にメイクをしてもらった時は、最初野々村さんだとはわからなかった。
それほどまでに彼女は美しく変身した。
年齢よりもずっと若くも見えた。
あの匂い立つような野々村さんには、俺も素直に惹かれていた。
初めて会った時にあんな姿だったら、俺は間違いなく野々村さんに告白していただろう。
だけど、俺が出会ったのは、女性としては最低の見た目の野々村さんだった。
だから、恋愛感情を抱くことはなかった。
軽いようだが、恋愛の始まりなんて所詮は見た目だ。
見た目で惹かれない限り、恋愛感情なんてものは生まれない。
そこから恋が始まって、中身を知って行くうちにさらに好きになったり冷めたりするものだ。
(そう…だから、俺は野々村さんを女性としては見ていないはずだ…)
それは、要するに、俺は野々村さんには気を許してるってことなのか?
それとも単に野々村さんのボケっぷりのせいなのか…
以前、野々村さんには心の内をすべてぶちまけたことがあった。
酔った勢いでのことだが、誰にも話せなかった心の闇を、俺はすべてぶちまけた。
なぜあんなに話せたんだろう?
あんなに恥ずかしいことを…
野々村さんも赤裸々に自分の過去を話してくれたせいだろうか?
それに…俺は女性と二人っきりで過ごすことが苦手だ。
ずっと一緒に部屋にいたりすると、過度な閉塞感のようなものを感じてしまうものだが、野々村さんにはそれを感じなかった。
あの頃は、野々村さんに欠片程も恋愛感情を抱いてなかったせいだろうか?
(あの頃は…?)
それじゃあ、今はそうじゃないのか?
今の俺は野々村さんに…
俺はちらりと野々村さんを見遣った。
今日はすごく気合いが入っているというほどではないが、メイクもしてるし、それなりに綺麗だ。
最近の野々村さんは少し変わった。
一昔前の先生みたいな地味なスーツはやめ、明るめの色の服を着るようになった。
髪も少し明るい色になり、ゆるやかなパーマがかかった。
シュウの店に行く度には眼鏡をはずすこともある。
そう、野々村さんは磨けば光る原石だったのだ。
高見沢大輔にメイクをしてもらった時は、最初野々村さんだとはわからなかった。
それほどまでに彼女は美しく変身した。
年齢よりもずっと若くも見えた。
あの匂い立つような野々村さんには、俺も素直に惹かれていた。
初めて会った時にあんな姿だったら、俺は間違いなく野々村さんに告白していただろう。
だけど、俺が出会ったのは、女性としては最低の見た目の野々村さんだった。
だから、恋愛感情を抱くことはなかった。
軽いようだが、恋愛の始まりなんて所詮は見た目だ。
見た目で惹かれない限り、恋愛感情なんてものは生まれない。
そこから恋が始まって、中身を知って行くうちにさらに好きになったり冷めたりするものだ。
(そう…だから、俺は野々村さんを女性としては見ていないはずだ…)
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