赤い流れ星3

ルカ(聖夜月ルカ)

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side 和彦

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 「ネイサン、居間に布団を敷くから…」

 「あ、僕はカズの部屋で寝かせてもらうよ。」

 「えっ?俺の部屋で?」

 「あぁ、僕にはタカミ―みたいな趣味はないから安心してよ。
カズとはいろいろと話したいこともあるからね。」

そう言って、ネイサンは俺に目配せを送った。
 話したいことって何だろう?
 俺はネイサンとはそれほど親しいわけじゃない。
いや、親しくないというのとは少し違うが、アッシュ達の方が、親しいはずなのだけど…
ただ、俺とは年齢が近いから、もしかしたら、なにか相談事でもあるのかもしれない。



 *



 「カズ…本当に良かったね!」

 部屋で二人っきりになった途端、ネイサンがそんなことを言い出した。



 「良かったって、何が?」

 「何がって、妹さんのことに決まってるじゃない。」

 「美幸のこと?美幸の何が良かったんだ?」

 「カズ…ふざけてるの?」

 「え?俺はふざけてなんかないけど…」

ネイサンは怪訝な顔で俺をみつめていた。



 「まさか、あの時のことは冗談だった…なんていうんじゃないだろうね?」

ネイサンの顔が急に険しいものに変わった。



 「ネイサン、一体、何の事を言ってるんだ?
 君の行ってることが、さっぱりわからない。」

 「だから…あの時のことだよ。
 妹さんが違う世界に行ってしまったっていう…」

 「違う……世界?」

ネイサンの言葉を聞いた途端、なんだかたとえようもなく不安な気持ちになった。
 心の中がざわめいて、酷く落ち着かない。



 「カズ…どうかしたの?
まさか、忘れたっていうんじゃないだろ?
 君はあの時、僕にシュウを預かってくれって頼んだ。」

 「……シュウ……」

 知らないはずのその名前が、頭の中でぐるぐると回り始めた。
なにかを思い出しそうで…でも、それがつかめない。
 今日はずいぶん飲んでたというのに、酔いもすっかり覚めてしまってた。



 「そう、シュウだ…シュウは、美幸ちゃんが書いた携帯小説のオリキャラだ。
そのキャラクターが、現実に現れたんだ。
カリスタギュウス流星群の奇蹟で、小説のキャラクターが具現化したんだ。」

 「な…
カリスタギュウス……」

 俺は全身から汗が噴き出すのを感じた。
ネイサンの言う言葉に、心臓が…頭が、激しく反応する。
 速まる鼓動…痛む頭…
何かが、点から形作られそうで…



「カズ…大丈夫か!?」

 「だ、大丈夫だ…」

 「いいか?美幸ちゃんは、小説の続きを書いた。
 二人が、時空を超える門を通って、小説の世界に行くって物語だ。そして、ふたりは……」

 「あ、ああああーーーーーっ!」


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