304 / 761
side 美幸
4
しおりを挟む
*
「そうでしたか。
……でも、今から言うのはやっぱりおかしいと思いますよ。
わざわざ、言い訳してるみたいでしょう?
ですから、今は様子を見られるのが良いんじゃないでしょうか?」
「様子を……」
私は、ついさっきの純平君との会話の内容を話し、なぜだか、今日、シュウさん達も来たことを話しそびれてしまったこと、そして、それをどう取り繕えば良いのかを野々村さんに相談した。
「ええ、だって、今、純平さんは新人さんのサポートでお忙しいわけですし、ほとんどずっと新人さんと一緒だって話だったでしょう?
そしたら、慎二さんともあんまりお話されないんじゃないですか?」
「そりゃあ、そうだけど……
でも、もしも、シュウさんか慎二さんが話したら……」
「その時は、純平さんのお買い物のことに気を取られてたって言えば、きっと大丈夫ですよ。
純平さんがお世話されてる新人さんだから、今日はずっとそのことが気になってた風に話して……
……KEN-Gさんのお屋敷でのことは、ほとんど話されてないんでしょう?」
「う、うん…まぁね……」
「じゃあ、大丈夫ですよ。
心配することなんてありませんってば。」
野々村さんにそう言われて、私もなんとなくそんな風に思えて来た。
……そうだよね。
考えてみれば、私はけっこう嘘吐きじゃない。
兄さんに叱られないように、しょっちゅう嘘ばっかり言ってるんだから、いざとなればさっき野々村さんが言ったように嘘を吐けば良いんだ。
(……嘘か……)
やっぱりちょっと心が痛む。
特に、大好きな純平君には嘘なんて吐きたくない。
でも、この際、仕方ないか……
(ごめんね、純平君……)
だけど、どうして、私は素直に話さなかったんだろう…
シュウさんと慎二さんが来た事を……
どうしてもそのことが理解出来なかった。
「そうでしたか。
……でも、今から言うのはやっぱりおかしいと思いますよ。
わざわざ、言い訳してるみたいでしょう?
ですから、今は様子を見られるのが良いんじゃないでしょうか?」
「様子を……」
私は、ついさっきの純平君との会話の内容を話し、なぜだか、今日、シュウさん達も来たことを話しそびれてしまったこと、そして、それをどう取り繕えば良いのかを野々村さんに相談した。
「ええ、だって、今、純平さんは新人さんのサポートでお忙しいわけですし、ほとんどずっと新人さんと一緒だって話だったでしょう?
そしたら、慎二さんともあんまりお話されないんじゃないですか?」
「そりゃあ、そうだけど……
でも、もしも、シュウさんか慎二さんが話したら……」
「その時は、純平さんのお買い物のことに気を取られてたって言えば、きっと大丈夫ですよ。
純平さんがお世話されてる新人さんだから、今日はずっとそのことが気になってた風に話して……
……KEN-Gさんのお屋敷でのことは、ほとんど話されてないんでしょう?」
「う、うん…まぁね……」
「じゃあ、大丈夫ですよ。
心配することなんてありませんってば。」
野々村さんにそう言われて、私もなんとなくそんな風に思えて来た。
……そうだよね。
考えてみれば、私はけっこう嘘吐きじゃない。
兄さんに叱られないように、しょっちゅう嘘ばっかり言ってるんだから、いざとなればさっき野々村さんが言ったように嘘を吐けば良いんだ。
(……嘘か……)
やっぱりちょっと心が痛む。
特に、大好きな純平君には嘘なんて吐きたくない。
でも、この際、仕方ないか……
(ごめんね、純平君……)
だけど、どうして、私は素直に話さなかったんだろう…
シュウさんと慎二さんが来た事を……
どうしてもそのことが理解出来なかった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
陰陽道物語 ~蝶の行きついた場所~ 第三巻
海空 蒼
ファンタジー
事件の主犯格、かつて真神一族を離脱した男・夕凪の根城を突き止めた沙希たち一同。
決行に備えて、それぞれ自分の持ち場につく一方、様子がおかしい風夜とすれ違いにいる沙希。
そんな中、突如夕凪が沙希たちの元へ姿を現した。
「夕凪さんは、悪戯に戦争を引き起こそうとしているわけじゃない。あの人は目的があるんだ」
と紫雨が沙希に伝えた言葉。
夕凪は下界を目の敵にしてまで一体何を成し遂げようとしているのか……。
★こちらは「陰陽道物語 ~忍び寄る暗翳~ 第二巻」の続編になります!
ご覧になっていない方はそちらを読んでいただくことを推奨します。
※表紙のイラストは、にじジャーニーで生成し、ロゴは自分で作成して付け足しました。

愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

惣菜パン無双 〜固いパンしかない異世界で美味しいパンを作りたい〜
甲殻類パエリア
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンだった深海玲司は仕事帰りに雷に打たれて命を落とし、異世界に転生してしまう。
秀でた能力もなく前世と同じ平凡な男、「レイ」としてのんびり生きるつもりが、彼には一つだけ我慢ならないことがあった。
——パンである。
異世界のパンは固くて味気のない、スープに浸さなければ食べられないものばかりで、それを主食として食べなければならない生活にうんざりしていた。
というのも、レイの前世は平凡ながら無類のパン好きだったのである。パン好きと言っても高級なパンを買って食べるわけではなく、さまざまな「菓子パン」や「惣菜パン」を自ら作り上げ、一人ひっそりとそれを食べることが至上の喜びだったのである。
そんな前世を持つレイが固くて味気ないパンしかない世界に耐えられるはずもなく、美味しいパンを求めて生まれ育った村から旅立つことに——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる