赤い流れ星3

ルカ(聖夜月ルカ)

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side 美幸

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「……住所。」

 「え?」

 低くて小さな声がたしか今「住所」って言った。
 私が、恐る恐るシュウさんの方を見ると、シュウさんは前の座席をあご先で指し示す。
あぁ…ナビがあるから住所を言えってことか……
でも、なんでそんな冷たい言い方……



「……住所。」

 「あ、はい。」

さっきよりも厳しい口調で促され、私はぺらぺらと個人情報を話した。
それと同時に車は滑るように走り出す。

 全く揺れない…快適過ぎる安定感。
あ、今頃気付いたけど、左ハンドルだ。
 絵に描いたようなホストの車だ。



 「大河内さんの近所なんだ?」

 「は、はい。」



 不意に投げかけられた問いに焦って答えると、また気まずい沈黙が続いて……



「……一人暮らし?」

 「いえ…か、家族と。」



また沈黙……



シュウさん…もしかして、私のこと、嫌いですか?
お店ではもう少しは優しい口調だったような気がするんですが……



「あ、そこの角で停めて下さい。」
 「……それ、何の石?」



 兄さんに万一こんな車で帰って来た事がバレたらまずいから、私は少し手前で降りることにした。
 曲がり角が見えた時に私がそのことを口にすると、ちょうど同時にシュウさんがなにか言って……



「え?石?」

そう聞き返したら、すでに車は曲がり角に着いて停まった。



 「ここで良いんですか?」

 「は、はい。」

 私が答えると、運転してた若い人は車から降りて、ドアを開けてくれた。



 「あ、ありがとうございました。」

シュウさんにそう言って車から降りようとした瞬間、シュウさんからなにかを手渡されて……



「じゃあ……」

 「あ……」



ドアは閉じられ、すぐに車は走り去る。



どんどん小さくなっていく車を見つめながら、私はそっと掌を開いた。
そこにあったのは名刺。
この前もらったものとは違う……



(まさか、シュウさんのプライベートの…?)



ど、どうして?
ビックリし過ぎて、足がガクガクして来る。
でも、とにかく今は帰らなきゃ……
驚くのはそれからだ!

 
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