赤い流れ星3

ルカ(聖夜月ルカ)

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side 和彦

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 「……残念だったね。」

 「ま、仕方ないさ。」

アンリが仕事で来られないという話をしたら、マイケルはどこか困ったような笑みを浮かべた。
きっとそれは俺を気遣ってのことだろう。
だが、実際の俺はというと、強がりでもなんでもなく、それほど落胆はしていなかった。
アンリが来てくれれば、大河内さんや高見沢大輔の手前、都合が良いというそれだけの理由だったから、俺にも罪悪感のようなものが少しあった。
だから、来られないと言われた時には、逆にほっとしたくらいだった。



アンリが来ても来なくても、俺が大河内さんに負けた現実は変わらないのだし、もう気にするのはやめよう。
 高見沢大輔のことだけは多少心配だったけど、俺にその気がないとわかればそのうち彼も諦めてくれるだろう。



 「それはそうと、カズ……
昨夜のブログ、かなりのアクセス数だったね。」

 「あぁ……そのことで、高見沢さんからメールが来てたよ。」

 俺は、今朝来た高見沢大輔からのメールを、マイケルに見せた。



 「わ…すっごいハートの嵐だね。
……ま、とにかく喜んでもらって良かったじゃない。」

 「……そうだな。」

まるで女子高生からのような派手なメールが朝からもう二回も届いている。
 最初は、ブログで店のことを宣伝してくれてありがとうといった内容で、その次は明日のことが楽しみだという他愛ない内容だったので、気付いていないことにしてまだ返事はしていない。



 「野々村さんは大丈夫だよね?」

 「大丈夫って?」

 「来れるんだよね?」

 「あぁ、そのことなら、美幸が連絡してる筈だ。
 特に何も言って来てないから、来れるんじゃないか?」

 俺がそう答えると、マイケルは怪訝な表情を浮かべた。



 「カズ……最近、野々村さんとトラブルでもあったの?」

 「……そんなものはない。」

 「だけど、カズ……この間もおかしなこと言ったじゃない。
 野々村さんを辞めさせたらどうかって…
あの時も僕、なんだか変だなって思ったんだ。」

マイケルの目は真剣そのもので、俺は思わず視線を逸らしてしまった。



 「馬鹿。考え過ぎだ。
 最近は美幸の方がずっと親しいから、それで頼んだだけじゃないか。」

どんな顔になってたかはわからないが、俺はそう言って出来得る限りの作り笑いを浮かべた。
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