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side 和彦
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「うわぁ!」
リビングに戻るとそこには美幸がいて、俺を見ておかしな声を上げた。
「……おまえ…もう少しマシな驚き方は出来ないのか?」
「そ、そんなこと……」
美幸はなぜこんなちょっとしたことにも、俺を恐れるような顔をするんだろう…?
俺はそんなに怖いのか……
「……そんなに変わったか?」
「う、うん。すごく変わった!
アッシュさんやマイケルさんも変わってるけど、兄さんが一番変わってるね!」
「それは良い方に変わったってことか?それとも、その逆?」
「えっ!?そ、そりゃあ、もちろん良い方だよ!」
美幸……なぜ、そんなに焦るんだ……
確かにしばらく離れて暮らしてはいたが、ここに来て一緒に住み始めてそれなりに経つというのに、なぜまだこんな雰囲気なんだろう?
「そ、それにしても、タカミーの腕はすごいね!
三人共、カッコ良さに磨きがかかったよ
いっそのこと、三人でユニットでも組んで曲とか出したらどう?
きっと、アイドル並に売れると思うよ。」
「俺の年でアイドルはないだろう。」
「えっ!?」
俺のその一言で、美幸の目の動きは途端に落ちつきをなくした。
そのおどおどした様子を見ているといたたまれなくなって、俺は美幸から目を逸らした。
まただ……
俺は、まだ苛々がおさまらず、それで美幸にもこんな意地の悪い仕打ちをしてしまうんだ。
どうすれば良い?
一体、どうすれば、大河内さんや野々村さんのことが忘れられるんだろう?
やっぱり、野々村さんにはやめてもらった方が良いんだろうか?
仕事の関係がなければ、もう会う事もないだろうし、そうすれば……
……いや、だめだ。
野々村さんは美幸と仲が良い…美幸を通じて会う事があるかもしれない。
それに、大河内さんもこんなに近くに住んでるんだ。
偶然会う機会だって、きっと度々あるだろう。
だいたい、今日の高見沢大輔だって、大河内さんの伝手を使って会ったんだ。
(……だったら、二人のことを気にしないようにするしかない。
他のことで、気を紛らせるしか……)
「うわぁ!」
リビングに戻るとそこには美幸がいて、俺を見ておかしな声を上げた。
「……おまえ…もう少しマシな驚き方は出来ないのか?」
「そ、そんなこと……」
美幸はなぜこんなちょっとしたことにも、俺を恐れるような顔をするんだろう…?
俺はそんなに怖いのか……
「……そんなに変わったか?」
「う、うん。すごく変わった!
アッシュさんやマイケルさんも変わってるけど、兄さんが一番変わってるね!」
「それは良い方に変わったってことか?それとも、その逆?」
「えっ!?そ、そりゃあ、もちろん良い方だよ!」
美幸……なぜ、そんなに焦るんだ……
確かにしばらく離れて暮らしてはいたが、ここに来て一緒に住み始めてそれなりに経つというのに、なぜまだこんな雰囲気なんだろう?
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いっそのこと、三人でユニットでも組んで曲とか出したらどう?
きっと、アイドル並に売れると思うよ。」
「俺の年でアイドルはないだろう。」
「えっ!?」
俺のその一言で、美幸の目の動きは途端に落ちつきをなくした。
そのおどおどした様子を見ているといたたまれなくなって、俺は美幸から目を逸らした。
まただ……
俺は、まだ苛々がおさまらず、それで美幸にもこんな意地の悪い仕打ちをしてしまうんだ。
どうすれば良い?
一体、どうすれば、大河内さんや野々村さんのことが忘れられるんだろう?
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……いや、だめだ。
野々村さんは美幸と仲が良い…美幸を通じて会う事があるかもしれない。
それに、大河内さんもこんなに近くに住んでるんだ。
偶然会う機会だって、きっと度々あるだろう。
だいたい、今日の高見沢大輔だって、大河内さんの伝手を使って会ったんだ。
(……だったら、二人のことを気にしないようにするしかない。
他のことで、気を紛らせるしか……)
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