125 / 761
side 野々村美咲
2
しおりを挟む
「野々村さん、飲みたいのならこんな所じゃなく、もっと落ち着いた店が…」
「いえ…ほんの少しで良いんでここで…
KEN-Gさん、ご迷惑かもしれませんが少しだけ付き合って下さい。」
「そうか……
わしゃ、何も迷惑なことなんぞない。
こちらこそ、ありがとうじゃよ。」
KEN-Gさんって、本当に良い人だ。
あの穏やかな笑顔を見ていると、なんだか……
私は、胸がいっぱいになって、涙がこみあげるのを懸命に堪えた。
「お待たせしました。」
久し振りに飲んだビールは苦くて喉が焼けつくように痛くなって、刺激的で……
気が付けば、私はグラスのビールを一気飲みしていた。
喉だけじゃなく、食道やお腹がかーっと熱くなってきた。
それなのに、私はまた呼び出しボタンを押し込んだ。
*
「野々村さん、もう止めておいた方がええ。
おまえさん…顔が…ポストみたいに真っ赤になっとるぞ。」
KEN-Gさんが心配そうに私をみつめてそうおっしゃった。
たった二杯なのに…
すでに酔ってるのがしっかりとわかる。
なんだか身体がふらふらするし、顔も身体もものすごく熱い。
それに、わけもなくおかしいんだもの。
隣の人が大きなくしゃみをしただけで、私は噴き出しそうになって…
くしゃみでこんなにおかしいはずがないってこともわかってる。
そう…これは酔ってるから。
わかってる…いたって正気だ。
だけど……どうにも我慢し切れなくなって、私はとうとう噴き出してしまった。
「ど、どうしたんじゃ、野々村さん!?」
「なんでもありません。
私が笑っちゃいけないとでも言うんですか?
私みたいなおばさんは笑うなと?」
「……野々村さん、水を飲むんじゃ。
たくさん飲んで酔いを覚まさにゃ…」
「私が酔っちゃいけないんですか?
私がおばさんだから?」
あぁ、こんなこと言うつもりはないのに、私ったらなに絡んでるんだろう…!
私の正気と酔っておかしくなった神経がせめぎあう。
そして、どうやら酔っ払った神経の方がずっと優勢の様子……
「わしから見たら、おまえさんはおばさんなんかじゃないぞ。
まだまだ十分若い!」
「そういえば、KEN-Gさんは一体おいくつなんですか?
そもそも賢者さんに年齢なんてあるのかしら?」
わ、私ったら、なんてことを…!
だけど、後悔してももう遅い。
KEN-Gさんの表情が急に険しいものに変わった。
「いえ…ほんの少しで良いんでここで…
KEN-Gさん、ご迷惑かもしれませんが少しだけ付き合って下さい。」
「そうか……
わしゃ、何も迷惑なことなんぞない。
こちらこそ、ありがとうじゃよ。」
KEN-Gさんって、本当に良い人だ。
あの穏やかな笑顔を見ていると、なんだか……
私は、胸がいっぱいになって、涙がこみあげるのを懸命に堪えた。
「お待たせしました。」
久し振りに飲んだビールは苦くて喉が焼けつくように痛くなって、刺激的で……
気が付けば、私はグラスのビールを一気飲みしていた。
喉だけじゃなく、食道やお腹がかーっと熱くなってきた。
それなのに、私はまた呼び出しボタンを押し込んだ。
*
「野々村さん、もう止めておいた方がええ。
おまえさん…顔が…ポストみたいに真っ赤になっとるぞ。」
KEN-Gさんが心配そうに私をみつめてそうおっしゃった。
たった二杯なのに…
すでに酔ってるのがしっかりとわかる。
なんだか身体がふらふらするし、顔も身体もものすごく熱い。
それに、わけもなくおかしいんだもの。
隣の人が大きなくしゃみをしただけで、私は噴き出しそうになって…
くしゃみでこんなにおかしいはずがないってこともわかってる。
そう…これは酔ってるから。
わかってる…いたって正気だ。
だけど……どうにも我慢し切れなくなって、私はとうとう噴き出してしまった。
「ど、どうしたんじゃ、野々村さん!?」
「なんでもありません。
私が笑っちゃいけないとでも言うんですか?
私みたいなおばさんは笑うなと?」
「……野々村さん、水を飲むんじゃ。
たくさん飲んで酔いを覚まさにゃ…」
「私が酔っちゃいけないんですか?
私がおばさんだから?」
あぁ、こんなこと言うつもりはないのに、私ったらなに絡んでるんだろう…!
私の正気と酔っておかしくなった神経がせめぎあう。
そして、どうやら酔っ払った神経の方がずっと優勢の様子……
「わしから見たら、おまえさんはおばさんなんかじゃないぞ。
まだまだ十分若い!」
「そういえば、KEN-Gさんは一体おいくつなんですか?
そもそも賢者さんに年齢なんてあるのかしら?」
わ、私ったら、なんてことを…!
だけど、後悔してももう遅い。
KEN-Gさんの表情が急に険しいものに変わった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。

金喰い虫ですって!? 婚約破棄&追放された用済み聖女は、実は妖精の愛し子でした ~田舎に帰って妖精さんたちと幸せに暮らします~
アトハ
ファンタジー
「貴様はもう用済みだ。『聖女』などという迷信に踊らされて大損だった。どこへでも行くが良い」
突然の宣告で、国外追放。国のため、必死で毎日祈りを捧げたのに、その仕打ちはあんまりでではありませんか!
魔法技術が進んだ今、妖精への祈りという不確かな力を行使する聖女は国にとっての『金喰い虫』とのことですが。
「これから大災厄が来るのにね~」
「ばかな国だね~。自ら聖女様を手放そうなんて~」
妖精の声が聞こえる私は、知っています。
この国には、間もなく前代未聞の災厄が訪れるということを。
もう国のことなんて知りません。
追放したのはそっちです!
故郷に戻ってゆっくりさせてもらいますからね!
※ 他の小説サイト様にも投稿しています

異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜
カイ
ファンタジー
主人公の沖 紫惠琉(おき しえる)は会社からの帰り道、不思議な店を訪れる。
その店でいくつかの品を持たされ、自宅への帰り道、異世界への穴に落ちる。
落ちた先で紫惠琉はいろいろな仲間と穏やかながらも時々刺激的な旅へと旅立つのだった。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる