赤い流れ星3

ルカ(聖夜月ルカ)

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side 和彦

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 (さてと……
そろそろ、帰るとするか……)



 今日の野々村さんの突然の訪問には正直言って驚いた。
 仕事の時は、連絡を取ってからじゃなければあの人が急に来ることはないのだから。
 美幸とはそれほど仲良くやってるということだろうか…
それとも、美幸が今朝の愚痴でもメールして、野々村さんがそれを心配してくれたんだろうか…?

もしも、後者だとしたら、俺も少々反省した方が良さそうだ。
 今朝はとにかく感情的になり過ぎた。
そのことは、ずっと俺の心にひっかかっていて……
そんな時、たまたまのぞいた俺のブログには、先日のあの画像と共に、イギリスにいた頃の俺の思い出話がUPされていた。



そうだ…あの時の俺はまさにこんな気持ちだったんだ…と、俺は、野々村さんの書いた文章によってあの頃のことを再認識した。
 当時は、恥ずかしかったり、変なプライドが邪魔をして真正面から見ることが出来なかった俺の本当の気持ちが、とても赤裸々に綴られていて……



彼女は俺よりも俺自身のことをわかってくれている。
そう思うと、なんだかとても安心出来るような…心がじんわりと温かくなるような感覚が感じられた。

その少し後に、野々村さんが突然現れたんだから……
こんな話をマイケル達に話したら、きっとそれは偶然じゃなくて必然なんだって…そんな風に言うだろう。

 本当なら俺も一緒に夕食を採りたい気分だったが、あいにくと今日中に片付けなければならない仕事があった。
 仕方がない。
また、そのうち、野々村さんと美幸を食事に誘おう。



 身支度を済ませ、俺が車に乗ろうとした時、不意に携帯が鳴った。
 画面に出ているのは、見知らぬ番号……いや、これはアンリの番号だと気が付いた。
 昨夜、確か、番号を教えてほしいと言われて教えた気がする。

 出てみると、やはりそれはアンリからの電話だった。
 昨夜、俺が靴下を忘れていたとかで、それを渡したいという。
そんなものは捨ててくれと言ったが、アンリはもう近くに来ているとのことだった。

こういう強引な方法は嫌いだ。
 俺に会いたいということなのだろうが、どうもいやな気分だ。
 靴下を受け取ったら、用があるふりをしてすぐに帰ってやろう。
 俺はそんな意地悪なことを思いつき、車のことを考えて、アンリとはファミレスで待ち合わせることにした。
ファミレスなんかで会おうと言われたらアンリは気分を害するだろうし、もしかしたら、美幸達があそこにいるかもしれないと思ったのもある。
いたら、美幸達を口実にして、アンリと離れるのも簡単だ。


 車を駐車場に回し、店に入った時…
俺は、そこに野々村さんの姿を発見した。
 美幸とではなく大河内さんと一緒にいる野々村さんを……
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