92 / 761
side 和彦
1
しおりを挟む
*
「カズ…どうかした?」
「え…?何が?」
「だって…さっきから携帯ばっかり見てるから…」
「え……あ……あぁ……
じ、実は……ちょっと、携帯の調子が悪いんだ。
が、画面が急に落ちたりするから、気になって……」
よくもそんな大嘘を思い付いたものだと、我ながら呆れた。
そもそも、俺はどうしてそんなことを訊かれたくらいでこんなに焦ってるんだ。
馬鹿馬鹿しい…
「カズ、その携帯どのくらいになる?」
「そうだな…一年と…少し経ってるかな…?」
「じゃあ、そろそろ替え時かもしれないね。」
「一年でもう変えなきゃいけないのか?」
「でも、電池の保ちも悪くなって来てるんじゃない?」
「まぁ、そう言われればそうかもしれないな…」
とりあえず、うまく誤魔化せたことに俺は安堵した。
それから、さして関心のない携帯の話が延々と続いたのには辟易したが、仕方がない。
「あ…もう、こんな時間か…
今日は少し飲み過ぎたようだ。
早めに休むよ。」
話の切れ目に俺はそう言うと、リビングを後にした。
部屋に戻ると、早速パソコンのメールをチェックしたが、野々村さんからの返信はそこにも入っていなかった。
(なぜだ……?)
送信出来ていなかったのではないかと、送信メールをチェックする。
俺がさっき送ったメールは、送信済みになっていた。
しかし、パソコンも所詮は機械だ。
誤作動というものもあるだろうし、サーバー側のトラブルかもしれない。
もう一度送信すべきか悩みながら、俺は送ったはずのメールをもう一度読み返した。
特におかしな所はない。
野々村さんを怒らせるようなことも書いてはいない。
では、なぜ?
いつもならすぐに返信をくれる野々村さんは、なぜ、今日に限って返信をくれないんだ?
俺は、たまらずメールを送った。
さっきのメールに書き忘れたことがあったと、どうでも良い事をわざわざ書いて…
だが、しばらく経ってもやはり返信はなかった。
(……なぜなんだ!?)
熱いシャワーに打たれながら、俺は自分に言い聞かせた。
きっと、何か用があったか、メールに気付いてないだけだろう。
こんなこと、気にする程のことではない。
だが、浴室から出ても、さっぱりしたのは身体だけで気持ちは少しもさっぱりしてはいなかった。
返信も届いていない。
どうにも、堪えきれなくなった俺は野々村さんに電話をかけた。
「メールソフトが不調で、もしかしたら届いていないんじゃないかと思って…」
そんな言い訳を俺は頭の中で繰り返す。
呼び出し音に、不思議と鼓動が速まる。
やっと、繋がった…!
そう思ったら…
「おかけになった電話番号は…」
無機質なアナウンスが流れ出した。
「カズ…どうかした?」
「え…?何が?」
「だって…さっきから携帯ばっかり見てるから…」
「え……あ……あぁ……
じ、実は……ちょっと、携帯の調子が悪いんだ。
が、画面が急に落ちたりするから、気になって……」
よくもそんな大嘘を思い付いたものだと、我ながら呆れた。
そもそも、俺はどうしてそんなことを訊かれたくらいでこんなに焦ってるんだ。
馬鹿馬鹿しい…
「カズ、その携帯どのくらいになる?」
「そうだな…一年と…少し経ってるかな…?」
「じゃあ、そろそろ替え時かもしれないね。」
「一年でもう変えなきゃいけないのか?」
「でも、電池の保ちも悪くなって来てるんじゃない?」
「まぁ、そう言われればそうかもしれないな…」
とりあえず、うまく誤魔化せたことに俺は安堵した。
それから、さして関心のない携帯の話が延々と続いたのには辟易したが、仕方がない。
「あ…もう、こんな時間か…
今日は少し飲み過ぎたようだ。
早めに休むよ。」
話の切れ目に俺はそう言うと、リビングを後にした。
部屋に戻ると、早速パソコンのメールをチェックしたが、野々村さんからの返信はそこにも入っていなかった。
(なぜだ……?)
送信出来ていなかったのではないかと、送信メールをチェックする。
俺がさっき送ったメールは、送信済みになっていた。
しかし、パソコンも所詮は機械だ。
誤作動というものもあるだろうし、サーバー側のトラブルかもしれない。
もう一度送信すべきか悩みながら、俺は送ったはずのメールをもう一度読み返した。
特におかしな所はない。
野々村さんを怒らせるようなことも書いてはいない。
では、なぜ?
いつもならすぐに返信をくれる野々村さんは、なぜ、今日に限って返信をくれないんだ?
俺は、たまらずメールを送った。
さっきのメールに書き忘れたことがあったと、どうでも良い事をわざわざ書いて…
だが、しばらく経ってもやはり返信はなかった。
(……なぜなんだ!?)
熱いシャワーに打たれながら、俺は自分に言い聞かせた。
きっと、何か用があったか、メールに気付いてないだけだろう。
こんなこと、気にする程のことではない。
だが、浴室から出ても、さっぱりしたのは身体だけで気持ちは少しもさっぱりしてはいなかった。
返信も届いていない。
どうにも、堪えきれなくなった俺は野々村さんに電話をかけた。
「メールソフトが不調で、もしかしたら届いていないんじゃないかと思って…」
そんな言い訳を俺は頭の中で繰り返す。
呼び出し音に、不思議と鼓動が速まる。
やっと、繋がった…!
そう思ったら…
「おかけになった電話番号は…」
無機質なアナウンスが流れ出した。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる