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side 野々村美咲
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「わっ!」
不意に鳴った小さな通知音に、私ははっと物想いから覚めた。
音はすぐに停まったけれど、本体の片隅でピカピカと青いランプが点滅してる…多分、これはメールの受信よね?
封筒のアイコンをクリックしてみると、やはりそこにはスマートフォンに変えて初のメールが一件届いていた。
(誰だろう?
美幸さんかしら?
迷惑メールだったらいやだな…)
受信メールをクリックすると、そこにあったのは青木さんの名前!
一瞬、自分の目を疑った。
機種変して初めての受信メールが青木さんからだなんて…そんな嬉しいこと…!
すぐにでも読みたい気持ちを驚きが邪魔して、私はすっかり動揺し、ゆっくりと息を吐いて、まずは速くなった鼓動を整えた。
開いたメールに書かれていたのは、ブログのこと。
最近は仕事ばかりにかまけていてネタらしいネタがなかったから、久し振りにイギリスにいた時のことを少し書いたらどうかとのことで、当時、ホームシックにかかった時に青木さんがよく向かった公園でのエピソードがいくつか書かれていた。
そして、最後には今日のことを詫びる一文が沿えてあったけど、幸い、それはそんなに深刻なものではなかったので、私もようやくほっと胸を撫で下ろした。
やっぱり考え過ぎだった。
青木さんはあんなこと、さして気にしてらっしゃらない。
きっと、お仕事でお疲れになられてたから、苛々されただけなんだわ。
誰にだって、たまにはそんなことくらいある。
とにかく、良かったと想う気持ちと、最初のメールが青木さんからだったということで私はどこかぼーっとしてて…
メールを読み終えた後、私は添付されていた画像にやっと気付いた。
「あ……」
私は、思わず短い声を上げてしまった。
そこに映っていたのは、おそらくは公園の風景の一部で…
木の根元に咲いた小さな白い野草の画像から、私は目が離せなくなっていた。
それは、私が今日買ったスマートフォンのカバーに描かれたものととてもよく似た可憐な花で、思いがけずそんな画像が送られて来たことに、驚きと嬉しさで私は胸が一杯になってしまった。
もしかしたら、美幸さんが私のカバーのことを伝えられたのかしら?
それにしても、たまたまこんなによく似た花の画像を青木さんが撮影されてたことが、まるで奇蹟のように感じられる。
なんて、素敵な奇蹟……
幸せな気分に浸りきっていたその時、タイトルはわからないけど、よく耳にするクラシックの有名な曲が流れ、画面が野草から急に元の待ち受け画面に変わった。
そこに出ていたのは、「KEN-G」の文字。
(KEN-Gさん!?)
「は、はいっ!」
私は慌てて、通話ボタンを押し込んだ。
「わっ!」
不意に鳴った小さな通知音に、私ははっと物想いから覚めた。
音はすぐに停まったけれど、本体の片隅でピカピカと青いランプが点滅してる…多分、これはメールの受信よね?
封筒のアイコンをクリックしてみると、やはりそこにはスマートフォンに変えて初のメールが一件届いていた。
(誰だろう?
美幸さんかしら?
迷惑メールだったらいやだな…)
受信メールをクリックすると、そこにあったのは青木さんの名前!
一瞬、自分の目を疑った。
機種変して初めての受信メールが青木さんからだなんて…そんな嬉しいこと…!
すぐにでも読みたい気持ちを驚きが邪魔して、私はすっかり動揺し、ゆっくりと息を吐いて、まずは速くなった鼓動を整えた。
開いたメールに書かれていたのは、ブログのこと。
最近は仕事ばかりにかまけていてネタらしいネタがなかったから、久し振りにイギリスにいた時のことを少し書いたらどうかとのことで、当時、ホームシックにかかった時に青木さんがよく向かった公園でのエピソードがいくつか書かれていた。
そして、最後には今日のことを詫びる一文が沿えてあったけど、幸い、それはそんなに深刻なものではなかったので、私もようやくほっと胸を撫で下ろした。
やっぱり考え過ぎだった。
青木さんはあんなこと、さして気にしてらっしゃらない。
きっと、お仕事でお疲れになられてたから、苛々されただけなんだわ。
誰にだって、たまにはそんなことくらいある。
とにかく、良かったと想う気持ちと、最初のメールが青木さんからだったということで私はどこかぼーっとしてて…
メールを読み終えた後、私は添付されていた画像にやっと気付いた。
「あ……」
私は、思わず短い声を上げてしまった。
そこに映っていたのは、おそらくは公園の風景の一部で…
木の根元に咲いた小さな白い野草の画像から、私は目が離せなくなっていた。
それは、私が今日買ったスマートフォンのカバーに描かれたものととてもよく似た可憐な花で、思いがけずそんな画像が送られて来たことに、驚きと嬉しさで私は胸が一杯になってしまった。
もしかしたら、美幸さんが私のカバーのことを伝えられたのかしら?
それにしても、たまたまこんなによく似た花の画像を青木さんが撮影されてたことが、まるで奇蹟のように感じられる。
なんて、素敵な奇蹟……
幸せな気分に浸りきっていたその時、タイトルはわからないけど、よく耳にするクラシックの有名な曲が流れ、画面が野草から急に元の待ち受け画面に変わった。
そこに出ていたのは、「KEN-G」の文字。
(KEN-Gさん!?)
「は、はいっ!」
私は慌てて、通話ボタンを押し込んだ。
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