赤い流れ星3

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
27 / 761
side 野々村美咲

12

しおりを挟む
そ…そうだわ…!
 賢者さんは甘い物もお好きで、よくここあさんのお店にも行かれてた…
ここのおじいさんは甘い物がお好きで、アッシュさんの買ってこられたケーキをあんなにおいしそうに食べられてたし…



い、いえ…
世の中には甘い物好きなおじいさんなんて山ほどいる…
その中には、マーガリンやジャムよりもバターとマーマレードがお好きな方だっていらっしゃる…
そうよ…私ったら、何を考えていたのかしら…
賢者さんは、小説の中の人物…
現実にいらっしゃるわけがない…!



そう考えると、私はようやく落ち着く事が出来た。
だけど、ほっと胸をなでおろした私の頭に、また不安になることが思い出された。



 (そうだわ…それじゃあ、あの「ひか」は…?)



そんな馬鹿なと思いながら、やはりどうしてもそのことがひっかかる。



 (確かめなきゃ…
なんとかして、「ひか」の疑問を解かなきゃいけない!
どうせ、なんてことない理由に違いないのよ。
ただ、それがはっきりしないから不安に感じるだけ。
 美幸さんとは関係ないことだってはっきりわかれば、私も安心出来るんだから…
 ……そうだわ!)



 「あ…あの、おじいさん…!」



 私は自分でも気付かず席を立っていて、皆の視線が一斉に私の集まった。
 恥ずかしい…でも、もうここまで来たら引っ込みがつかない!



 「……野々村さん…どうかしたのかい?」

 「あ…あのっ!
この度は本当にいろいろとどうもありがとうございました!
 昨夜から、私、とても楽しくて…
そ、それで…あ、あの…私はご近所でもなんでもないのですが…もし宜しければ、わ、私のお友達になっていただけないでしょうか!」

まるで何かに突き動かされるように、私はおじいさんに友達申請をしてしまった…
そうでもしないと、おじいさんの素性が探れないと思ったから…
たまたまどこかで会うなんてことも滅多にないだろうし、ここはストレートに言って親しくなってしまった方が良いんじゃないかって思ったのだけど…
部屋の中はしんと静まり、皆、私のことを呆れたような顔でみつめてた。



 (ど、どうしよう…
もしかしたら、私、すごくおかしなこと言っちゃった?
ストレート過ぎた?
 早急過ぎた?)



 今の状況に気付いた私の顔は、今にも火を吹きそうに熱くなり、頭の中で血管がどくどく言ってるのが聞こえた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

偽物の侯爵子息は平民落ちのうえに国外追放を言い渡されたので自由に生きる。え?帰ってきてくれ?それは無理というもの

つくも茄子
ファンタジー
サビオ・パッツィーニは、魔術師の家系である名門侯爵家の次男に生まれながら魔力鑑定で『魔力無し』の判定を受けてしまう。魔力がない代わりにずば抜けて優れた頭脳を持つサビオに家族は温かく見守っていた。そんなある日、サビオが侯爵家の人間でない事が判明した。妖精の取り換えっ子だと神官は告げる。本物は家族によく似た天使のような美少年。こうしてサビオは「王家と侯爵家を謀った罪人」として国外追放されてしまった。 隣国でギルド登録したサビオは「黒曜」というギルド名で第二の人生を歩んでいく。

公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!

秋田ノ介
ファンタジー
 主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。  『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。  ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!! 小説家になろうにも掲載しています。  

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】 転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた! 元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。 相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ! ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。 お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。 金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処刑された令嬢、今世は聖女として幸せを掴みます!

ミズメ
恋愛
かつて侯爵令嬢マリエッタは、聖女を害したとして冤罪で処刑された。 その記憶を持ったまま、マリエッタは伯爵令嬢マリーとして生を受ける。 「このまま穏やかに暮らしたい」田舎の伯爵領で家族に囲まれのびのびと暮らしていたマリーだったが、ある日聖なる力が発現し、聖女として王の所に連れて行かれることに。玉座にいた冷徹な王は、かつてマリエッタを姉のように慕ってくれていた第二王子ヴィンセントだった。 「聖女として認めるが、必要以上の待遇はしない」 ヴィンセントと城の人々は、なぜか聖女を嫌っていて……? ●他サイトにも掲載しています。 ●誤字脱字本当にすいません…!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...