11 / 761
side 和彦
2
しおりを挟む
野々村さんに話した所で、きっと答えは出ないだろう。
だけど、不思議と俺はそのことをマイケル達よりも野々村さんに相談したかった。
『野々村さんの言うことを信じろ。彼女の話はすべて真実だ。』
この言葉に、俺はなにか重要な意味があるように思えて仕方なかった。
「君達はけっこう年は離れてるのに仲が良いんだね。」
食器の後片付けを終えたマイケルが、微笑みながら俺達の所にやって来た。
「そうでもないよ。
兄さんとこんな風に話せるようになったのは、割と最近なんだから。」
「えっ!そうなの?」
「兄さんは私がまだ小さいうちに家を出て行ったし、なんか兄さんってちょっと怖いっていうか…話しにくい所があったんだ。」
美幸は俺と目が合うと、決まり悪そうに視線をさっと逸らした。
「そうじゃない。
こいつは元々ものすごい人見知りで、しかも、少々病み気味だったんだ。
だから、おばあちゃんの家に一人で住んでて……
でも、そこで、バイトとかするようになってから、人見知りも少しずつ直ってきたんだ。
以前の美幸だったら、おまえらみたいなタイプとは絶対普通に話せなかったと思う。」
「まぁ、確かにそうだね。
私、今でもイケメンとか若い男の人は苦手だから…」
「え!?じゃ、美幸ちゃんはイケメンじゃない方が好きなんだ?」
ビールを片手に持ったアッシュが、居間に来るなり話に割り込む。
「違うよ。
そうじゃなくて、イケメンは意識しすぎてしまうっていうか…
私がこんなだから、馬鹿にされそうで怖いっていうか…」
「そんなネガティブなこと言ってちゃ駄目だよ。
女の子は手間隙とお金さえかけりゃ、誰だって綺麗になれるんだから。
……ところで、美幸ちゃんはそういう服が好きなの?」
おしゃれでセンスの良いアッシュから見れば、美幸の服装はどうしようもないものだろう。
美幸が着ているのは、へんてこりんな漫画の描かれた寝巻きのような服だ。
「うん…
これね、私の大好きなアニメのキャラなの。
本当はLが欲しかったんだけど、LLしかなかったからこんなにズボンの裾が長くて…」
美幸はそう言うと、ゴムでたくし上げられたズボンの裾を俺達に見せた。
だけど、不思議と俺はそのことをマイケル達よりも野々村さんに相談したかった。
『野々村さんの言うことを信じろ。彼女の話はすべて真実だ。』
この言葉に、俺はなにか重要な意味があるように思えて仕方なかった。
「君達はけっこう年は離れてるのに仲が良いんだね。」
食器の後片付けを終えたマイケルが、微笑みながら俺達の所にやって来た。
「そうでもないよ。
兄さんとこんな風に話せるようになったのは、割と最近なんだから。」
「えっ!そうなの?」
「兄さんは私がまだ小さいうちに家を出て行ったし、なんか兄さんってちょっと怖いっていうか…話しにくい所があったんだ。」
美幸は俺と目が合うと、決まり悪そうに視線をさっと逸らした。
「そうじゃない。
こいつは元々ものすごい人見知りで、しかも、少々病み気味だったんだ。
だから、おばあちゃんの家に一人で住んでて……
でも、そこで、バイトとかするようになってから、人見知りも少しずつ直ってきたんだ。
以前の美幸だったら、おまえらみたいなタイプとは絶対普通に話せなかったと思う。」
「まぁ、確かにそうだね。
私、今でもイケメンとか若い男の人は苦手だから…」
「え!?じゃ、美幸ちゃんはイケメンじゃない方が好きなんだ?」
ビールを片手に持ったアッシュが、居間に来るなり話に割り込む。
「違うよ。
そうじゃなくて、イケメンは意識しすぎてしまうっていうか…
私がこんなだから、馬鹿にされそうで怖いっていうか…」
「そんなネガティブなこと言ってちゃ駄目だよ。
女の子は手間隙とお金さえかけりゃ、誰だって綺麗になれるんだから。
……ところで、美幸ちゃんはそういう服が好きなの?」
おしゃれでセンスの良いアッシュから見れば、美幸の服装はどうしようもないものだろう。
美幸が着ているのは、へんてこりんな漫画の描かれた寝巻きのような服だ。
「うん…
これね、私の大好きなアニメのキャラなの。
本当はLが欲しかったんだけど、LLしかなかったからこんなにズボンの裾が長くて…」
美幸はそう言うと、ゴムでたくし上げられたズボンの裾を俺達に見せた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる