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常夏の夢
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「アロ~ハ~」
「え?あ、アロハ!」
髪の長い綺麗な女性が俺にレイをかけてくれた。
「どうぞ食べてください。」
「え?わ、すごいご馳走だな!」
いきなり場面が変わり、俺はレストランのようなところにいた。
テーブルの上には、食べきれない程のご馳走が並ぶ。
ステージでは、フラダンスが披露されていた。
皆、若くて美人ばかりだ。
思わず手を振ると、美女達が皆、手を振ってくれた。
なんだ、これ?
まるで天国じゃないか。
俺は鼻の下を伸ばしながら、ステージに見とれた。
だけど、そんな幸せな気分がけたたましいベルの音でぶち壊された。
「ん?んん……」
当たりを見渡す。
そこは見慣れた俺の部屋。
「なんだ…夢かよ!」
悔しさを枕にぶつけた。
でも、不意に思い直す。
こんな幸せな初夢が見られたなんて、もしかして、今年は良い年になるんじゃないか?
そう思うと、イライラした気分は嘘のように晴れた。
でも、なんでハワイなんだ?
あ、そうか。
きっと今年が暖冬だからだな。
今だって、なんとなく汗かいてるもんな。
そんなことはどうでも良いが、本当に幸せな夢だった。
(きっといい事あるぞ!
やったね!)
俺は鼻歌を歌いながら起き出した。
まだ正月休みだから、起きなくても良いんだが、早く起きる癖をつけとかないと仕事が始まった時に起きられないから。
今年は、4、5日と働けば、6日からはまた三連休がある。
こういう時は身体のリズムが崩れやすいんだよな。
連休も何の予定もないあたりが切ない。
(いやいや、今年はきっと良いことあるから。)
初出勤は4日だった。
まだなんとなく正月気分が抜けない。
そして5日。
「小林、お前の家、確か〇〇駅の近くだったよな?」
「はい、そうですが。」
「これ、やるよ。」
係長がくれたのは駅前のスーパーの福引券だった。
ちょっと高いスーパーだから、普段は立ち寄ることがない。
「今日までだからな。」
「ありがとうございます。」
何が当たるのかわからないが、どうせ帰り道だから問題ない。
「わっ!」
スーパーの福引き場には、『新春ハワイアンくじ』と書いてあった。
一等はハワイ旅行だ。
頭の中を先日の初夢が過ぎる。
そうか、そういうことだったんだな。
あれは、ここでハワイ旅行があたるという予知夢だったんだ。
「お願いします。」
俺は10枚の福引き券を手渡した。
福引き器の前で気合いをこめる。
ハワイ旅行は金色だ。
最初に回したのは白だった。
スカのポケットティッシュだ。
いやいや、最初はこんなもんだ。
俺はなおも福引き器を回し続ける。
白、白、白、白…
スカばっかりじゃないか!
どうなってやがる!
気付けば、9回連続白だ。
残りは1回のみ!
「でぇぇぇ~い!」
残った気合いを絞り出して…
転がり出たのは金の玉。
「や、やった~!」
「はい、6等のマカデミアナッツチョコレートです。」
「え!?」
よく見たら、それは金色ではなく黄色だった。
連休は、マカダミアナッツのチョコを食べながら、まったり過ごそう。
放心しながらそう思った。
「え?あ、アロハ!」
髪の長い綺麗な女性が俺にレイをかけてくれた。
「どうぞ食べてください。」
「え?わ、すごいご馳走だな!」
いきなり場面が変わり、俺はレストランのようなところにいた。
テーブルの上には、食べきれない程のご馳走が並ぶ。
ステージでは、フラダンスが披露されていた。
皆、若くて美人ばかりだ。
思わず手を振ると、美女達が皆、手を振ってくれた。
なんだ、これ?
まるで天国じゃないか。
俺は鼻の下を伸ばしながら、ステージに見とれた。
だけど、そんな幸せな気分がけたたましいベルの音でぶち壊された。
「ん?んん……」
当たりを見渡す。
そこは見慣れた俺の部屋。
「なんだ…夢かよ!」
悔しさを枕にぶつけた。
でも、不意に思い直す。
こんな幸せな初夢が見られたなんて、もしかして、今年は良い年になるんじゃないか?
そう思うと、イライラした気分は嘘のように晴れた。
でも、なんでハワイなんだ?
あ、そうか。
きっと今年が暖冬だからだな。
今だって、なんとなく汗かいてるもんな。
そんなことはどうでも良いが、本当に幸せな夢だった。
(きっといい事あるぞ!
やったね!)
俺は鼻歌を歌いながら起き出した。
まだ正月休みだから、起きなくても良いんだが、早く起きる癖をつけとかないと仕事が始まった時に起きられないから。
今年は、4、5日と働けば、6日からはまた三連休がある。
こういう時は身体のリズムが崩れやすいんだよな。
連休も何の予定もないあたりが切ない。
(いやいや、今年はきっと良いことあるから。)
初出勤は4日だった。
まだなんとなく正月気分が抜けない。
そして5日。
「小林、お前の家、確か〇〇駅の近くだったよな?」
「はい、そうですが。」
「これ、やるよ。」
係長がくれたのは駅前のスーパーの福引券だった。
ちょっと高いスーパーだから、普段は立ち寄ることがない。
「今日までだからな。」
「ありがとうございます。」
何が当たるのかわからないが、どうせ帰り道だから問題ない。
「わっ!」
スーパーの福引き場には、『新春ハワイアンくじ』と書いてあった。
一等はハワイ旅行だ。
頭の中を先日の初夢が過ぎる。
そうか、そういうことだったんだな。
あれは、ここでハワイ旅行があたるという予知夢だったんだ。
「お願いします。」
俺は10枚の福引き券を手渡した。
福引き器の前で気合いをこめる。
ハワイ旅行は金色だ。
最初に回したのは白だった。
スカのポケットティッシュだ。
いやいや、最初はこんなもんだ。
俺はなおも福引き器を回し続ける。
白、白、白、白…
スカばっかりじゃないか!
どうなってやがる!
気付けば、9回連続白だ。
残りは1回のみ!
「でぇぇぇ~い!」
残った気合いを絞り出して…
転がり出たのは金の玉。
「や、やった~!」
「はい、6等のマカデミアナッツチョコレートです。」
「え!?」
よく見たら、それは金色ではなく黄色だった。
連休は、マカダミアナッツのチョコを食べながら、まったり過ごそう。
放心しながらそう思った。
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