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天使達の昼下がり
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「あ~あ、今年もまた嫌な日がやってきたわね。」
「人間達もどうしてあんなものに惹かれるのかしらね。」
雲の裂け目から地上を見渡し、天使たちは深い溜め息を吐いた。
今日はハロウィン、天使たちにとっては気の重い一日だ。
地獄から悪魔がぞろぞろ溢れ出し、さらに人間達までもがそれに同調するかのように悪魔の仮装をする。
それを見ながら、天使たちは優雅にお茶を飲む。
「あんな所にいて、人間達はよく平気ね。」
「それだけ人間の心が汚れてるってことじゃない?」
天使たちは、何度も頷く。
「そういえば、天使のイベントはどうなったのかしら?
かなり昔から神様達が働きかけてるはずだけど。」
「清き心を持った者達は、あまり騒いだり盛り上がったりすることが好きじゃないみたいよ。
だから、なかなか天使のイベントは人間界に定着しないんだって。」
「はぁ~~……」
皆んなの深いため息が、その場に広がった。
「じゃあ、せめて私たちの間だけでもイベントを広めましょうよ。」
「私たちだけ盛りあがっても、人間が知らないんじゃ、仕方ないんじゃない?」
「第一、盛り上がるって、どんなことをするのよ。」
その場に沈黙が流れた。
「私、知ってるわよ。
急に静かになる時、人間達は天使が通ったって言うのよね。」
「幽霊が通ったって言ってる人間もいたわよ。」
「天使と幽霊って、人間からしたら同じなのかしら?」
またその場に気まずい沈黙が流れた。
「このお茶美味しいわね。」
「森の奥に咲く花のエキスが入ってるんですって。」
「へぇ~」
「へぇ~」
「へぇ~」
雲の上のお茶会は、なおも続く。
「人間達もどうしてあんなものに惹かれるのかしらね。」
雲の裂け目から地上を見渡し、天使たちは深い溜め息を吐いた。
今日はハロウィン、天使たちにとっては気の重い一日だ。
地獄から悪魔がぞろぞろ溢れ出し、さらに人間達までもがそれに同調するかのように悪魔の仮装をする。
それを見ながら、天使たちは優雅にお茶を飲む。
「あんな所にいて、人間達はよく平気ね。」
「それだけ人間の心が汚れてるってことじゃない?」
天使たちは、何度も頷く。
「そういえば、天使のイベントはどうなったのかしら?
かなり昔から神様達が働きかけてるはずだけど。」
「清き心を持った者達は、あまり騒いだり盛り上がったりすることが好きじゃないみたいよ。
だから、なかなか天使のイベントは人間界に定着しないんだって。」
「はぁ~~……」
皆んなの深いため息が、その場に広がった。
「じゃあ、せめて私たちの間だけでもイベントを広めましょうよ。」
「私たちだけ盛りあがっても、人間が知らないんじゃ、仕方ないんじゃない?」
「第一、盛り上がるって、どんなことをするのよ。」
その場に沈黙が流れた。
「私、知ってるわよ。
急に静かになる時、人間達は天使が通ったって言うのよね。」
「幽霊が通ったって言ってる人間もいたわよ。」
「天使と幽霊って、人間からしたら同じなのかしら?」
またその場に気まずい沈黙が流れた。
「このお茶美味しいわね。」
「森の奥に咲く花のエキスが入ってるんですって。」
「へぇ~」
「へぇ~」
「へぇ~」
雲の上のお茶会は、なおも続く。
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