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(大丈夫、大丈夫。)
体育館の裏で、私は大きく深呼吸した。
高2で初めての告白は遅いかもしれないけれど、今まで好きな人がいなかったんだから、仕方がない。
彼に、メモを渡すことは成功した。
メモには、『放課後、体育館の裏に来てください。』と、それだけ書いた。
彼は来てくれるだろうか?
(き、来た!)
あぁ、心臓が口から飛び出してしまいそうだ。
「遅れてごめん。」
「う、ううん。」
「何か特別な用でもあるの?」
「あ、あの…こ、これ。」
私は紙袋を差し出した。
中にはチョコと手編みの手袋が入っている。
「え…?」
「あ、あの、バレンタインデーの…」
「あ、あぁ、そういうことか。
わざわざ呼び出すから何かと思ったよ。」
「ご、ごめんなさい。」
確かに、皆、教室で渡してた。
わざわざ呼び出したのは失敗だったかな?
「ううん、構わないよ。
ありがとう。」
「こ、こちらこそ。」
それだけで、三島君は戻って行った。
私が勇気を振り絞って告白したのに、たったそれだけ。
いや、正確には告白はしていない。
手紙を書いてみたけど、なかなかうまく書けなくて、だから、手紙を渡すのはやめた。
でも、バレンタインデーにチョコを渡すということは、私が彼のことを好きだってわかるはず。
わかっててあの素っ気ない態度…つまり、彼は私のことをなんとも思ってないっていうことだ。
(……仕方ないよね。)
彼はけっこう人気者で、私はクラスでも目立たないタイプ。
最初からうまくいくはずなんてなかったんだ。
悲しいというよりは、火が消えたような気分だった。
*
(えっ!?)
次の日、三島くんが私のプレゼントした手袋を付けていた。
「あ、岡田。これ、やるよ。」
「えっ?」
三島君が投げて寄越したのは、小さなのど飴。
のど飴は、私の手の中にうまくおさまった。
「すっごくスースーするぞ。」
「そ、そうなんだ。」
もしかして、脈はある?なんていう、厚かましい想いが一瞬胸を過ぎった。
(馬鹿だな、ただののど飴なのに…)
でも、私にとっては、すごく大切なのど飴。
体育館の裏で、私は大きく深呼吸した。
高2で初めての告白は遅いかもしれないけれど、今まで好きな人がいなかったんだから、仕方がない。
彼に、メモを渡すことは成功した。
メモには、『放課後、体育館の裏に来てください。』と、それだけ書いた。
彼は来てくれるだろうか?
(き、来た!)
あぁ、心臓が口から飛び出してしまいそうだ。
「遅れてごめん。」
「う、ううん。」
「何か特別な用でもあるの?」
「あ、あの…こ、これ。」
私は紙袋を差し出した。
中にはチョコと手編みの手袋が入っている。
「え…?」
「あ、あの、バレンタインデーの…」
「あ、あぁ、そういうことか。
わざわざ呼び出すから何かと思ったよ。」
「ご、ごめんなさい。」
確かに、皆、教室で渡してた。
わざわざ呼び出したのは失敗だったかな?
「ううん、構わないよ。
ありがとう。」
「こ、こちらこそ。」
それだけで、三島君は戻って行った。
私が勇気を振り絞って告白したのに、たったそれだけ。
いや、正確には告白はしていない。
手紙を書いてみたけど、なかなかうまく書けなくて、だから、手紙を渡すのはやめた。
でも、バレンタインデーにチョコを渡すということは、私が彼のことを好きだってわかるはず。
わかっててあの素っ気ない態度…つまり、彼は私のことをなんとも思ってないっていうことだ。
(……仕方ないよね。)
彼はけっこう人気者で、私はクラスでも目立たないタイプ。
最初からうまくいくはずなんてなかったんだ。
悲しいというよりは、火が消えたような気分だった。
*
(えっ!?)
次の日、三島くんが私のプレゼントした手袋を付けていた。
「あ、岡田。これ、やるよ。」
「えっ?」
三島君が投げて寄越したのは、小さなのど飴。
のど飴は、私の手の中にうまくおさまった。
「すっごくスースーするぞ。」
「そ、そうなんだ。」
もしかして、脈はある?なんていう、厚かましい想いが一瞬胸を過ぎった。
(馬鹿だな、ただののど飴なのに…)
でも、私にとっては、すごく大切なのど飴。
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