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帰宅

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(わぁ、暑いなぁ…)



夏ってこんなに暑かったっけ?
家に近付くにつれ、汗が滴る。
でも、嫌な感じじゃない。
あぁ、夏なんだなって気分になれる。
あ…この声は、蝉だ。
うるさいくらいの声をはりあげ、暑さを倍増させるかのように鳴いている。
蝉も暑さを謳歌してるのかな?



極彩色の光の中を私は駆けて行く。
この日をずっと待っていた。



「あ、おばあちゃん!」

あまりに早く走ったせいか、先に出たはずのおばあちゃんに追い付いた。



「美紀、えらく早かったね。」

「うん、早く行きたいから。」

そこからは、おばあちゃんと一緒に行く。
行き先は一緒だから。



「あ、なんか良いにおいがする。」

「なんだろね?唐揚げかな?」

家に着き、座敷に上がると、そこにはテーブルいっぱいの料理が並べられていた。



「わぁ!すご~い!」

「こりゃあ豪勢だね。」

「あ、スイカ!」

私の大好物だ。
思わずかぶりつく。



「あま~い!」

甘くて瑞々しくて最高だ。
私の好物を覚えててくれたのかな?
一番前に置いてあった。
おばあちゃんは唐揚げをつまんでいた。



「私達が一番乗りだね。」

「ちょっと早すぎたかねぇ?」



そんなことを話してるうちに、家の中には人がたくさん増えて来た。
気が付けば、辺りはもう薄暗くなっていた。



「あ、沙織達、夏祭りに行くみたい。
私もついて行こうっと。」



沙織の浴衣可愛いな。
私も浴衣着てくれば良かったか…
神社の境内には、派手な出店がたくさん出ていた。
沙織と一緒に、店を見て回った。



「お姉ちゃん、この人、誰?」

「誰って、どの人のこと?」

沙織の弟の颯太が、私を見上げ指差す。



「あ、その人?…宇宙人。」

「宇宙人って?」

「いいから、行くよ。
あ、颯太、あそこでかき氷食べよう。」

「かき氷?あ~!食べる~!僕、青い蜜かける~!」

颯太は、かき氷に気を取られたみたいだ。
小さな子供の中には、たまに颯太みたいに私の姿が見える者がいるから厄介だ。
まぁ、沙織は信じてないみたいだったから良かったけれど。



(お盆の時くらい、そっとしといてよ。)



16日の夜までは、思いっきり楽しむんだ。
久しぶりの我が家なんだから。
夜は御先祖様達との宴会だ。
ちょっと緊張するけど、楽しみだ。
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