131 / 393
サワディーカップ!
1
しおりを挟む
「わぁ、見てみて。すっごくいい景色!海が綺麗~!」
初めての海外旅行にはしゃぎまくる妻…元気で羨ましい。
僕は今は何も話せない。
飛行機に酔って、気分が悪くて最悪なんだ。
だけど、そんなことは言えない。
この旅行は、僕達のハネムーンなんだから。
僕が彼女に唯一隠しているのが、乗り物酔いが酷い、ということだ。
隠す必要は無いのかもしれないけど、僕は誰に対しても弱味を見せるのが嫌いなんだ。
だけど、逆に人生の伴侶となる彼女だけには打ち明けた方が良いのかもしれない。
そうは思ったものの、なかなか言い出せず、結局、話せなかった。
そんなわけだから、ハネムーンも僕は国内にしたかったのだけど、彼女の強い希望でこのプーケット島に決まった。
成田から9時間もかかる旅…どれ程辛かったことか。
「あ、早く行かなきゃ!」
「え?どこに?」
「象よ、象!」
僕達はホテルを後にした。
まだ9時間のフライトから回復してない身で動くのは辛い。
だけど、タクシーはエアコンも効いてたし、10分程で着いたから助かった。
象を見るだけなら、それ程疲れることもないだろう。
しかし、それは間違いだった。
象を見るのではなく、僕らは象の背中に乗せられた。
早くはないが、思っていたよりも揺れる。
早く降ろしてくれ!と、僕は心の中で叫んだ。
*
「わぁ~!美味しそう!」
妻は、テーブルいっぱいのタイ料理にまた興奮した声をあげた。
象が終わり、名所を見て周り、ショッピングをして、少し早めの夕食となった。
僕の体はまだ乗り物酔いから回復してなかったが、確かに空腹ではあった。
あれだけ動き回ったのだから、当たり前だ。
タイ料理は意外と食べやすく、自分でも驚く程、食べてしまった。
これだけ食べたんだ。
今晩、ゆっくり休めば、明日は回復するだろう。
「あぁ、美味しかった。さぁ、次はナイトフライトだよ!」
「えっ!?なに、それ…」
「夜景を見るんだよ!」
またタクシーに乗せられて、着いた先にはヘリコプターが待っていた。
ヘリコプターなんて乗ったことないぞ。
しかも、今はお腹いっぱい食べたばかりだ。
危険だ…あまりにも危険だ。
その後、せっかくのタイ料理が、すべて無駄になったことは言うまでもない。
僕はその晩、ついに乗り物酔いが酷いことを妻に打ち明けた。
初めての海外旅行にはしゃぎまくる妻…元気で羨ましい。
僕は今は何も話せない。
飛行機に酔って、気分が悪くて最悪なんだ。
だけど、そんなことは言えない。
この旅行は、僕達のハネムーンなんだから。
僕が彼女に唯一隠しているのが、乗り物酔いが酷い、ということだ。
隠す必要は無いのかもしれないけど、僕は誰に対しても弱味を見せるのが嫌いなんだ。
だけど、逆に人生の伴侶となる彼女だけには打ち明けた方が良いのかもしれない。
そうは思ったものの、なかなか言い出せず、結局、話せなかった。
そんなわけだから、ハネムーンも僕は国内にしたかったのだけど、彼女の強い希望でこのプーケット島に決まった。
成田から9時間もかかる旅…どれ程辛かったことか。
「あ、早く行かなきゃ!」
「え?どこに?」
「象よ、象!」
僕達はホテルを後にした。
まだ9時間のフライトから回復してない身で動くのは辛い。
だけど、タクシーはエアコンも効いてたし、10分程で着いたから助かった。
象を見るだけなら、それ程疲れることもないだろう。
しかし、それは間違いだった。
象を見るのではなく、僕らは象の背中に乗せられた。
早くはないが、思っていたよりも揺れる。
早く降ろしてくれ!と、僕は心の中で叫んだ。
*
「わぁ~!美味しそう!」
妻は、テーブルいっぱいのタイ料理にまた興奮した声をあげた。
象が終わり、名所を見て周り、ショッピングをして、少し早めの夕食となった。
僕の体はまだ乗り物酔いから回復してなかったが、確かに空腹ではあった。
あれだけ動き回ったのだから、当たり前だ。
タイ料理は意外と食べやすく、自分でも驚く程、食べてしまった。
これだけ食べたんだ。
今晩、ゆっくり休めば、明日は回復するだろう。
「あぁ、美味しかった。さぁ、次はナイトフライトだよ!」
「えっ!?なに、それ…」
「夜景を見るんだよ!」
またタクシーに乗せられて、着いた先にはヘリコプターが待っていた。
ヘリコプターなんて乗ったことないぞ。
しかも、今はお腹いっぱい食べたばかりだ。
危険だ…あまりにも危険だ。
その後、せっかくのタイ料理が、すべて無駄になったことは言うまでもない。
僕はその晩、ついに乗り物酔いが酷いことを妻に打ち明けた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
悪役令嬢(仮)に断罪された偽王太子は本物王太子に影武者としてこき使われる
雪野 みゆ
恋愛
王宮舞踏会で突然婚約者である王太子に婚約破棄をつげられた公爵令嬢フィルミナだが、あっさりと婚約破棄を受け入れた。理由も聞かずに去っていくフィルミナを引き留める王太子だが、それが運の尽き。彼にはある秘密が!?
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる