65 / 393
カボチャ頭
1
しおりを挟む
「副部長はドラキュラね。」
「えー…」
その理由はなんとなくわかる。
僕の歯が出てるからだな。
でも、ドラキュラはなにも出っ歯な訳じゃないぞ。
鋭い牙があるだけだ。
でも、そんな説明をするのもうざいので、僕は黙っていた。
部長の提案により、今年のハロウィンはみんなで仮装をして渋谷に繰り出すことになった。
何かと暗いイメージのある文芸部だから、そのイメージを払拭しようという狙いらしい。
部長以外は、皆、乗り気ではないのだが、反対しても無駄なことはわかっている。
従うしかないのだ。
「部長は何するんですか?」
「私は魔女よ。」
部長はおよそ魔女というキャラではないが、本人がやるというのだから仕方が無い。
演劇部の知り合いにそれらしき衣装を借り、メイクまでしてもらうことになっているそうだ。
「さぁ、みんな、急いで!
時間が無いわよ!」
僕達は急き立てられ、魔物たちに変身させられた。
*
「高田君、すっごい似合ってる。」
「本当だな。いかにもドラキュラって感じだな。」
ドラキュラが似合うなんて言われても嬉しくはないけれど、確かにいつもとは少し違って開放的な気分にはなれた。
他の部員も狼男やゾンビ、ゴースト等の扮装をしている。
部長の『魔女』は、どこから見ても魔女には見えず、勘違いした地下アイドルみたいだったけど、本人はご満悦だ。
「あ、みんなで記念撮影しましょ。」
部長に言われ、コスプレをした部員たちが集まった。
「じゃあ、撮るわよ。
はい、チーズ!」
*
「きっとたまたま紛れ込んだのよ。」
「なんで、撮る時、気付かなかったのかな?」
部室に帰り、記念撮影の画像を見たら、僕と部長の間…ちょうど中央あたりに、カボチャ頭が立ってたんだ。
でも、撮影の時、僕の隣には確かに部長がいた。
あんなカボチャ頭なんて、絶対いなかったはずなのに…
だけど、はっきりと映ってあるのだから、いたとしか思えない。
結局、その謎が解けることはなかった。
「えー…」
その理由はなんとなくわかる。
僕の歯が出てるからだな。
でも、ドラキュラはなにも出っ歯な訳じゃないぞ。
鋭い牙があるだけだ。
でも、そんな説明をするのもうざいので、僕は黙っていた。
部長の提案により、今年のハロウィンはみんなで仮装をして渋谷に繰り出すことになった。
何かと暗いイメージのある文芸部だから、そのイメージを払拭しようという狙いらしい。
部長以外は、皆、乗り気ではないのだが、反対しても無駄なことはわかっている。
従うしかないのだ。
「部長は何するんですか?」
「私は魔女よ。」
部長はおよそ魔女というキャラではないが、本人がやるというのだから仕方が無い。
演劇部の知り合いにそれらしき衣装を借り、メイクまでしてもらうことになっているそうだ。
「さぁ、みんな、急いで!
時間が無いわよ!」
僕達は急き立てられ、魔物たちに変身させられた。
*
「高田君、すっごい似合ってる。」
「本当だな。いかにもドラキュラって感じだな。」
ドラキュラが似合うなんて言われても嬉しくはないけれど、確かにいつもとは少し違って開放的な気分にはなれた。
他の部員も狼男やゾンビ、ゴースト等の扮装をしている。
部長の『魔女』は、どこから見ても魔女には見えず、勘違いした地下アイドルみたいだったけど、本人はご満悦だ。
「あ、みんなで記念撮影しましょ。」
部長に言われ、コスプレをした部員たちが集まった。
「じゃあ、撮るわよ。
はい、チーズ!」
*
「きっとたまたま紛れ込んだのよ。」
「なんで、撮る時、気付かなかったのかな?」
部室に帰り、記念撮影の画像を見たら、僕と部長の間…ちょうど中央あたりに、カボチャ頭が立ってたんだ。
でも、撮影の時、僕の隣には確かに部長がいた。
あんなカボチャ頭なんて、絶対いなかったはずなのに…
だけど、はっきりと映ってあるのだから、いたとしか思えない。
結局、その謎が解けることはなかった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【ショートショート】雨のおはなし
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう
白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。
ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。
微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる