11 / 20
クラッカー(乙女座)
1
しおりを挟む
「う…う~~ん…」
「なに?どうなの?
おいしい?
おいしくない?」
「……お、おいしい…とは…言えない…かな?」
僕は、むせそうになるのを懸命に堪え、涙を浮かべながらも作り笑いで微笑んだ。
「…やっぱり、ウケ狙いはだめってことか~…」
「……そ、そうかも…ね。」
僕は半分マヒした口の中を洗い流すように、大量の水を飲み干した。
「今日はもう食材もないし、残念だけどもうおしまいね。
また、明日頑張るわ!」
「いや、もう頑張らなくても良いんじゃないかな?」
……なんて言える筈もなく、僕は曖昧な笑みで誤魔化した。
僕の彼女は、何にでもすぐに熱中する。
最近は、料理にハマってるようなのだけど、それも至って簡単なもの。
今は「クラッカーを使ったパーティ料理」なるものに応募するんだとはりきっていて、そのおかげで僕は毎日おかしなものを食べさせられている。
中でもさっきのハバネロとあんこの甘辛クラッカーなるものは強烈だった。
ハバネロを炒めてる時には台所が催涙ガスにでもやられたかのようになってしまって、咳が止まらず苦しいし、涙がぽろぽろ出て来てどうなることかと心配した。
彼女はそれを予想していたのが、マスクとゴーグルを着用していて、涼しい顔で炒めたハバネロの上にさらに真っ赤になる程の大量の七味をふりかけた。
そして、それをクラッカーに載せると、その上にはたっぷりとつぶあんを載せ、トップには真っ赤な苺が座ってた。
彼女曰く、これは土と緑とその実りを表現してみたらしい。
言われてみればそうかもしれないけど、この味はあり得ない。
「う~…なにか、ないかな…」
彼女は動物のようにうなりながら、クラッカー料理のレシピに頭を痛めている。
僕は、テーブルにあった何も載せないままのクラッカーを口に運んだ。
あっさり味でさくさくしておいしい。
僕は、このままの方が好きなんだけどな…
そう思いながら、早く、彼女に別のブームがやってくることを心の中で密かに祈った。
「なに?どうなの?
おいしい?
おいしくない?」
「……お、おいしい…とは…言えない…かな?」
僕は、むせそうになるのを懸命に堪え、涙を浮かべながらも作り笑いで微笑んだ。
「…やっぱり、ウケ狙いはだめってことか~…」
「……そ、そうかも…ね。」
僕は半分マヒした口の中を洗い流すように、大量の水を飲み干した。
「今日はもう食材もないし、残念だけどもうおしまいね。
また、明日頑張るわ!」
「いや、もう頑張らなくても良いんじゃないかな?」
……なんて言える筈もなく、僕は曖昧な笑みで誤魔化した。
僕の彼女は、何にでもすぐに熱中する。
最近は、料理にハマってるようなのだけど、それも至って簡単なもの。
今は「クラッカーを使ったパーティ料理」なるものに応募するんだとはりきっていて、そのおかげで僕は毎日おかしなものを食べさせられている。
中でもさっきのハバネロとあんこの甘辛クラッカーなるものは強烈だった。
ハバネロを炒めてる時には台所が催涙ガスにでもやられたかのようになってしまって、咳が止まらず苦しいし、涙がぽろぽろ出て来てどうなることかと心配した。
彼女はそれを予想していたのが、マスクとゴーグルを着用していて、涼しい顔で炒めたハバネロの上にさらに真っ赤になる程の大量の七味をふりかけた。
そして、それをクラッカーに載せると、その上にはたっぷりとつぶあんを載せ、トップには真っ赤な苺が座ってた。
彼女曰く、これは土と緑とその実りを表現してみたらしい。
言われてみればそうかもしれないけど、この味はあり得ない。
「う~…なにか、ないかな…」
彼女は動物のようにうなりながら、クラッカー料理のレシピに頭を痛めている。
僕は、テーブルにあった何も載せないままのクラッカーを口に運んだ。
あっさり味でさくさくしておいしい。
僕は、このままの方が好きなんだけどな…
そう思いながら、早く、彼女に別のブームがやってくることを心の中で密かに祈った。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる