123 / 135
休日のおでかけは、ファンタスティック!
19
しおりを挟む
「もしかして、おじい様と何か?」
「つまらない話だ。
訊いても面白くもなんともないと思うけど…」
「それでも、訊きたいです。」
私がそう言うと、史郎さんはぽつりぽつりと話し始めた。
史郎さんのお母さんは、お父さんとの結婚を反対され、家を出たとのことだった。
あれだけのお金持ちだから、きっとそれなりのお相手を考えていたのだろうけど、史郎さんのお父さんは絵描きさんだったらしいから、、きっとおじい様のお眼鏡に適わなかったんだね。
史郎さんのご両親は仲は良かったけど、経済的には苦しい生活をしていたらしい。
そして、まだ史郎さんが幼い頃にお母さんが急な病で亡くなり、その後を追うようにお父さんも亡くなって、史郎さんはひとりぼっちになって、おじい様のところに引き取られたらしい。
「うちの祖父母はとにかくしつけには厳しかった。
全く興味のない習い事も無理やりにさせられた。
そんなことから、俺はだんだん反抗するようになり、特に思春期になった頃には、祖父母を憎むようになってたんだ。
祖父母が両親の仲を認めてくれてたら、二人の人生は変わったのかもしれない。
少なくとも、あんな貧しい生活はしなくて済んだはずだって思ってね。
ま、今にして考えれば、逆恨みみたいなものだけど。
だから、俺はとにかく反抗した。
祖父母を相当に困らせたよ。本当に馬鹿だよね。」
そう言って微笑んだ史郎さんの顔は、なんだか見るのが辛いほど、寂しげなものだった。
「つまらない話だ。
訊いても面白くもなんともないと思うけど…」
「それでも、訊きたいです。」
私がそう言うと、史郎さんはぽつりぽつりと話し始めた。
史郎さんのお母さんは、お父さんとの結婚を反対され、家を出たとのことだった。
あれだけのお金持ちだから、きっとそれなりのお相手を考えていたのだろうけど、史郎さんのお父さんは絵描きさんだったらしいから、、きっとおじい様のお眼鏡に適わなかったんだね。
史郎さんのご両親は仲は良かったけど、経済的には苦しい生活をしていたらしい。
そして、まだ史郎さんが幼い頃にお母さんが急な病で亡くなり、その後を追うようにお父さんも亡くなって、史郎さんはひとりぼっちになって、おじい様のところに引き取られたらしい。
「うちの祖父母はとにかくしつけには厳しかった。
全く興味のない習い事も無理やりにさせられた。
そんなことから、俺はだんだん反抗するようになり、特に思春期になった頃には、祖父母を憎むようになってたんだ。
祖父母が両親の仲を認めてくれてたら、二人の人生は変わったのかもしれない。
少なくとも、あんな貧しい生活はしなくて済んだはずだって思ってね。
ま、今にして考えれば、逆恨みみたいなものだけど。
だから、俺はとにかく反抗した。
祖父母を相当に困らせたよ。本当に馬鹿だよね。」
そう言って微笑んだ史郎さんの顔は、なんだか見るのが辛いほど、寂しげなものだった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる