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the past story
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「ベル…君は…」
「…あなたも無粋なお方ですな。
なにもこんな時に訪ねてこられなくても…」
ルノーはベルの肩に手を回し、にやにやと笑っている。
ベルは、自分の顔がかっと熱くなるのを感じた。
(……死んでしまいたい……)
ロジェはルノーの言葉には耳を貸さず、ベルの方に向き直った。
「ベル…一体、何があったというんだい…」
「…ロジェ…」
すべてを打ち明けてしまおうか…
そう思った時だった。
「以前からこの女と私は深い関係でしてね。
私がなかなか結婚を切り出さないものですから、あなたをおとりに使ったようです。
しかし、なにぶん、この女と私は身分が違いますからな。
両親を説得するのも大変だったのですよ。
そしてついにこの女のしたたかな罠にかかってしまったというわけですよ。
あなたには本当に申し訳ないことをしましたな。」
「嘘だ!
ベルはそんな女じゃない!」
「あなたは騙されていたのですよ。
こいつは私の体と金が大好きなしたたかな女なんですよ。」
「やめろ!
ベルをそれ以上、侮辱すると許さないぞ!」
「…許さない…ですと…?」
ルノーの顔つきが変わった。
(…危険だわ…!!)
「あんたもいいかげんに目を覚ましたらどうなのっ!」
「……ベル……」
「この人の言ったことは全部本当よ。
私はね、もうあくせく生きていくのは嫌なの!
この人と結婚すれば、こんな大きなお屋敷で、おいしいものを食べて綺麗な服を着て、毎日楽しく暮らしていけるのよ!
ほら、見て!
この見事なルビーを…
あなたにこんなものが買えて?
あんな小さなムーンストーンとは比べ物にならないわ!」
「…ベル…一体、どうしたというんだ…
何があったんだ…
君はそんなことを言う人じゃない…!
何かわけがあるのだろう…
話してくれ、ベル!!」
「…あなたも無粋なお方ですな。
なにもこんな時に訪ねてこられなくても…」
ルノーはベルの肩に手を回し、にやにやと笑っている。
ベルは、自分の顔がかっと熱くなるのを感じた。
(……死んでしまいたい……)
ロジェはルノーの言葉には耳を貸さず、ベルの方に向き直った。
「ベル…一体、何があったというんだい…」
「…ロジェ…」
すべてを打ち明けてしまおうか…
そう思った時だった。
「以前からこの女と私は深い関係でしてね。
私がなかなか結婚を切り出さないものですから、あなたをおとりに使ったようです。
しかし、なにぶん、この女と私は身分が違いますからな。
両親を説得するのも大変だったのですよ。
そしてついにこの女のしたたかな罠にかかってしまったというわけですよ。
あなたには本当に申し訳ないことをしましたな。」
「嘘だ!
ベルはそんな女じゃない!」
「あなたは騙されていたのですよ。
こいつは私の体と金が大好きなしたたかな女なんですよ。」
「やめろ!
ベルをそれ以上、侮辱すると許さないぞ!」
「…許さない…ですと…?」
ルノーの顔つきが変わった。
(…危険だわ…!!)
「あんたもいいかげんに目を覚ましたらどうなのっ!」
「……ベル……」
「この人の言ったことは全部本当よ。
私はね、もうあくせく生きていくのは嫌なの!
この人と結婚すれば、こんな大きなお屋敷で、おいしいものを食べて綺麗な服を着て、毎日楽しく暮らしていけるのよ!
ほら、見て!
この見事なルビーを…
あなたにこんなものが買えて?
あんな小さなムーンストーンとは比べ物にならないわ!」
「…ベル…一体、どうしたというんだ…
何があったんだ…
君はそんなことを言う人じゃない…!
何かわけがあるのだろう…
話してくれ、ベル!!」
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