十五の石の物語

ルカ(聖夜月ルカ)

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the past story

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「ソフィーさん、いつもどうもありがとうございます。」

 「あっっ!!レ、レヴィン様…!」

 不意に声をかけられ、ソフィーは手に持った百合の花を落としてしまった。

 「あ…」

 拾おうとした時、同時に差し伸べられたレヴィンの手がそフィーの手に触れた。
たったそれだけのことだったが、ソフィーの頬は薔薇色に染まっていた。

 「あなたのおかげでいつも清清しい気分にさせてもらってますよ。
 本当にどうもありがとうございます。」

 「いえ…こんなこと位でそんな…」

レヴィンが拾った百合の花をソフィーに渡すと、ソフィーはそれを無造作に花瓶に挿し、「それでは失礼します。」…と、走り去ってしまった。

 「おやおや…」

 「ヴァンヴェール、今、ソフィーさんが…」

 「ええ、見てましたよ。
ソフィーさん、あんなにあわてて…」

 「何か急用でもあったのだろうか?
せっかく会ったのにゆっくり話も出来なかった。」

 「兄上は本当に鈍いお方だ…」

 「何のことだ…?」

 「いえ…なんでもありませんよ。」

 「おかしな奴だな…
まぁ良い。そろそろでかけるとしようか。」

 「そうですね…」

 2人はいつものように朝早くに出かけた。
 今日は身寄りのないお年寄りの世話をしにいく日だ。

 「今日も良い天気だな。」

 「本当ですね。あんなに空が真っ青ですよ。」

 2人がのんびりと空を眺めながら歩いていると、ただならぬ女性の悲鳴が聞こえてきた。



 「誰か!誰か、あの子を助けて~~!」


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